ネイルアート 税理士 紹介

 

 

 

WILL second 2

 

 

 寄り添いながら眠る二人の姿を見たテマリとサクラは、ぷっと吹き出す。

「なんか、ナルトと我愛羅くん兄弟みたい」

 サクラが思いつきを口にすると、テマリは苦笑してしまう。姉として、我愛羅にしてやれる事は少ない。我愛羅が変わったのは奇しくも木の葉崩しでナルトと戦った後だ。ナルトという存在が我愛羅を変えた。それを身をもって感じるのは、一番近くに居る肉親だからだと言えよう。だが、それまでは我愛羅は弟の一人だと言うのに、彼に対して感じるのは恐れの感情が一番強かったと思う。我愛羅自身も、尾獣を身体の中に入れられ幼いころから精神的に不安定な存在だった。テマリにとっても手に余る存在だったのだ。

「もう少し…このままにしておくか」

 テマリの呟きにサクラも笑顔になる。起こすのは忍びないくらい、二人は幸せそうな顔で眠っていたのだ。我愛羅が人の気配にも気がつかず眠るという事は珍しい。そうさせているのは、ナルト。赤の他人の彼が我愛羅に人間らしい表情をさせている。その事実に少しだけ嫉妬心を感じてしまうが、テマリは弟が幸せなら、それだけで満足だと思えたのだった。

 

 

 

 

 身体の半分に、温かい感触がある。ナルトはいつものように、それがシカマルだと思ってしまった。砂隠れの里に来ている事も、頭の中からすっぽりと抜け落ちていた。身じろいで、身体をすり寄せる。いつもなら、そこで強引な腕が自分の身体を抱き寄せるのだが、今日は違う。

 ぼんやりして目を空けると、夕日色の髪の毛が目に入ってきた。それでも、ナルトは気がつかないでいる。自分が寄りかかるようにして寝ているのが我愛羅だと言う事に。

「…シカマル?」

 不思議に思って名前を呼ぶけれど、返事はない。ぱちぱちと瞬きを繰り返し、ごしごしと目を擦る。いつの間に寝てしまったのか。記憶を手繰り寄せて、行動を振り返ってみた。

「……あ!」

 そして、ようやく自分が砂隠れの里に来ている事を思い出す。視界の中に見えるのは我愛羅の髪だ。頬に触れた感触が柔らかい。いつの間に寝てしまったのだろう。そして、どうしてこうしているのだろう。ナルトは我愛羅に肩を借りる形で眠りこけていたのだ。

 そろそろと我愛羅から離れて、顔を覗きこむ。端正な顔つきの彼は、最近は優しさが加わってとても柔らかい表情をするようになったと思う。風影として里長の厳格な表情の中にも、三年前には見られなかった彼本来の性格が溶け合って、いい具合に融合していると思う。カンクロウ曰く、クールな立ち位置に居るというのに、女性受けがいいのはこの優しい雰囲気の賜物だろう。

 ナルトは我愛羅を起こしていいのかどうか迷う。迷って、じっと彼を見つめた。すると、間もないうちに我愛羅の瞼がそっと上がる。

「我愛羅、起きたってば…?」

「ああ…」

「ゴメン、オレ寝ちまったみたいで……」

「いや、いい。疲れていたのだろう。やはり、部屋で休んでもらえば良かったな」

 ナルトはくすりと笑う。いつも先に自分より他人であるナルトの心配をしてくれる。

「そんな事ないってばよ!それより、我愛羅の方こそ、疲れてんじゃねえの?」

 転寝する我愛羅なんて初めて見た。どちらかと言うと、誰に対しても気を許していないような、いつもピリピリしているイメージがあったのだ。

「どうしてだろうな。ナルトが寝てるのを見たら、急に眠くなった」

 我愛羅も微笑を浮かべる。

「守鶴が身体の中に居たころは……気を許して眠ることなんて出来なかった。一番、気を許せないのは自分自身にだったけれど」

「そっか。じゃあ、今はちゃんと寝てるってば?」

 我愛羅はその返事を曖昧に濁す。ナルトはテマリの言葉を思い出す。いつでも無理をごり押しする我愛羅の事を真剣に心配していた。

「ちゃんと寝ないと、身体ももたないってばよ?綱手のばあちゃんみたく、適当に力抜いてかないと!」

「火影殿が?」

「ばあちゃんの場合は気を抜きすぎて、シズネの姉ちゃんに叱られてばっかだけど…」

 その様子を思い出したナルトは、くすくすと笑う。我愛羅はその顔を見るだけで心が穏やかになるような気がした。ナルトは不思議な存在だ。一緒に居てくれるだけで、こんなに穏やかな気持ちにさせてくれる。

「オレが居る間は、仕事も休みだってカンクロウも言ってたし…」

「あれは…」

 カンクロウなりの気遣いのひとつなのだと思う。風影である自分が、何もしないで居る訳にはいかない。現実的には難しいだろう。それでも、少しでもナルトと同じ時を過ごしたいというエゴもある。

「ナルトは…どれくらい里に滞在する予定なんだ?」

「えっと、それは…サクラちゃんの方の進み具合が問題なんだってばよ。オレにはよく分かんねぇけど」

「そうか…それでは、薬草の温室に行ってみるか。俺も見ておきたいし」

 そう言った我愛羅の手が、そっとナルトの髪に触れる。ナルトは首を傾げて、我愛羅を見つめた。

「どうしたってば…?」

「いや、柔らかいと…思って」

「そっかなぁ〜」

 ナルトは自分の髪を触ってつまみ上げた。そんな事を考えた事もなかった。目が合うと、我愛羅の視線がすっと外される。その時我愛羅は、盗み取った唇の事を思い出していたのだ。柔らかい唇に触れた瞬間、血液が沸騰するのではないかというくらいに、身体が熱くなったのを思い出す。無意識にそうしてしまったのだけれど、なんだか気が咎める。友と言う位置でいいから、ナルトと一緒に居たいと言っておきながら、彼の唇を奪った後ろめたさ。まるで、それは甘い罪のような感覚。

「我愛羅…どうかしたってば……?」

「…いや、行こうか?」

 我愛羅は立ち上がると、ナルトの顔を、正しくは唇を見ないように扉に向かった。その背中を不思議な気持ちでナルトは追いかけたのだった。

 

 

 

 

 温室への道のりの途中、テマリとサクラが向こうから歩いてくるのが見えて我愛羅の歩みが止まる。

「あ!サクラちゃん〜」

 ナルトはぶんぶんと手を振ってサクラに自分の存在をアピールしていた。もちろん、うるさいナルトにすぐに気が付いたサクラは恥ずかしそうに眉をひそめている。

「ちょっと、うるさいわよ!アンタ…」

「え?そうかな…」

「そうよ。全く…外見は変わっても中身は子供のままなんだから」

 腕を組んでナルトを睨みつけるサクラの姿が、テマリの姿と重なる。我愛羅から見れば、サクラは年の近いナルトの姉のように見える。お小言も板についたという感じで、ぽんぽんと交わされる会話の調子が面白い。

「挨拶も後になってすまない」

「いいえ。こちらこそ、砂隠れの里に到着してからすぐに作業に入っちゃったから」

「具合はどうだと聞くのは、少し早いだろうか?」

 我愛羅の質問にサクラは少し考えたように首を傾げた。

「…結果は、経過を観察してみないと何とも言えないわ」

「サクラちゃん、オレたちってどれくらい砂隠れの里に居るんだってばよ?」

 我愛羅とサクラの会話に割り込んだナルトは、サクラに頭を叩かれる。

「イテ…」

「アンタねぇ…話の途中でしょーが!」

 我愛羅がくすりと笑った。サクラは恥ずかしそうに頬を染める。そしてナルトをきっと睨みつけた。

「それも経過次第よ。木の葉から持ってきた苗が土に根を張るまでに数日かかるだろうし」

「よろしく頼む」

「いいえ。私に出来る事なら、綱手様からも我愛羅くんによろしくって伝言を頼まれてるし」

「綱手様が…なかなかこちらから出向く事もできず申し訳ないと思っているが…」

「我愛羅。急がなくても、また木の葉には行ける」

 テマリの言葉に我愛羅も笑顔になって頷く。

「それより、サクラと食事をとろうという話になっているんだけど……」

「テマリの姉ちゃん!オレってば腹減った〜…」

「ナルト!」

 サクラが呆れたようにくすりと笑う。それにつられたようにテマリも笑顔を見せた。テマリはやはり木の葉からナルトを呼んだのは正解だったと思う。我愛羅の表情が優しい。落ち着いているといったところだろうか。毎日の執務の疲労はあると思うが、ナルトとの触れ合いが彼の心を癒しているように思えた。放っておくと、食事の時間も惜しんで仕事漬けになるような弟だ。たまには肩の力を抜いてほしいのだが、年寄連中からの牽制もあって、なかなか息もつけないのだろう。

 それから、カンクロウも加わり久し振りに兄弟で食事をとる事ができた。我愛羅は途中、執務の事が気になった様だが、カンクロウから「休息をとる事も大事だ」と言われて、渋々頷いた。ナルトから火影の話を聞いていた所為もある。気を張ってばかりではいけないと、少しは考え直したのだ。

 食事と雑談を済ませた我愛羅は、話のきりがいいところで席を立つ。

「どうしたんだ?我愛羅」

 責めるような口調のテマリに苦笑した。

「ナルトもサクラも、木の葉からの旅で疲れているだろう。この辺りで解散した方がいいと思ったんだ」

「ああ…」

 我愛羅の言う事も一理あるとサクラを見ると、彼女は欠伸を噛み殺している。

「そうだな…部屋に案内しよう」

「ありがたく、そうさせて頂きます」

 ぺこりとお辞儀をして出て行くサクラの背中を見送った我愛羅はもう一度席に着く。それからナルトに視線を向ける。

「ナルト…」

「我愛羅、俺ももう寝るじゃん。ナルトの事は任せてもいいか?」

「あ…ああ、いいが…」

 カンクロウはにっこりと笑うと、さっさと部屋を出て行く。

「我愛羅、なんだってばよ?」

 我愛羅の言葉がカンクロウに遮られて、ナルトは続きが気になってしょうがない。

「いや…もうナルトも休むかと聞きたかったんだが…」

「オレは昼寝もばっちりしたし、あんま眠たくないってばよ。我愛羅はまたこれから仕事…とか言わないよな?」

 我愛羅は驚いたように目を丸くする。そんな風に言われるとは思っても居なかった。

「風が強いが……星を見に行かないか?」

「星?」

「この塔のはかなり高いから、星も奇麗に見える。今日みたいな日は特にそうだろう」

「そうなんだってば?」

「ああ、砂隠れに来る途中に砂嵐にあっただろう?砂嵐の後は、空気中の塵が少なくて空も奇麗に見える」

 ナルトは感心したように頷いた。

「いいってばよ!」

 ナルトは笑顔になると、すぐに我愛羅の手を取った。決まったら即行動しないと気がすまないのだ。意外とせっかちな部分を垣間見て、またナルトへの見解が変わる。会うたびに新しい発見があり、退屈しない。自分を急かすように手を取ったナルトが、年齢よりも幼く見えた。

 

 

 

 

 塔の上に上ると、本当に強い風が吹いていた。その勢いにびっくりしたナルトの身体を支えてやる。

「ぼけっとしてると、転ぶぞ?」

「だ、…大丈夫だってばよ!」

 月もなく、星の光を遮るものもなにもない。真っ暗な空に煌めく、小さな光。我愛羅は空を仰ぎ見て、ほうっと息をついた。ナルトとの手は繋いだまま。ナルトも空を見つめていた。

「ほんっと、キレイだってばよ〜」

 里全体に余分な灯りがないのもいいのかもしれない。ナルトが下を見ると、転々と家屋の灯りは見えるが、それも疎らだ。

「我愛羅は……よく星とか見んの?」

「そうだな」

「一人で?」

「…大抵、一人だ」

 真っ暗な空を一人で眺めるのは、一体どんな気分なんだろう。

「テマリの姉ちゃんやカンクロウとかと一緒に見ればいいってばよ…」

 なぜか、この暗闇の中に一人でいるのは寂しいと思ってしまった。それはナルトの穿ち過ぎなのかもしれない。

「気分転換に来るんだ。一人の方が、都合がいい」

 ナルトは繋いだままの我愛羅の手をぎゅっと握る。その行為に意味なんてない。

「それに、今日はナルトがいる…」

 ナルトは自然と我愛羅に視線を移す。身長が余り変わらない事もあって、同じような目線の高さになった。

「オレってば…一人で、夜になるのとかすんげーやだった。アカデミーが終わって、仲間と遊んでも…その時間が終わったら、一人になる訳じゃん。アパートにつく頃には、真っ暗になってて家族が居ない部屋は電気もついてないから真っ暗で、窓から見える星が……なんか寂しかったんだってばよ」

 ナルトは少しだけ昔を思い出したように笑みを作る。

「でも、夜が来たら朝がくるから…それを待つ楽しみがあったのかなぁ」

 我愛羅はナルトの手を探る。すぐに両方の手が繋がった。触れている指先から流れてくる温度が、少し切ない。

「運命は…変わらないと、絶望していた。生きる意味が殺戮衝動だった…俺は、光のない闇の中にいたんだ。それを救ってくれたのは、お前だと…俺は思っている」

「我愛羅…?」

「そう思いたい。記憶はいつか薄れて行く。いい意味で、思い出と言う痛みになる。その痛みも時間が癒してくれる…」

「違うってばよ。オレだけじゃないってば…」

「言い方を変えれば、きっかけをくれたのはナルトと言う事だ。眠って見る夢は悪夢ばかりだった。毎日、暮らす生活の中に夢なんてものは存在しなかった。それを求めるのすら、俺には大層な事に思えていたんだ。だが、俺はお前がいう、つながりというものを信じてみたくなった。それが夢になった…周りを見る事で、自分の夢が見られるという事に気がつけたんだ。それは、ナルトが居てくれたからだと感謝している。蹲って膝の間から見えていた世界は、暗くて狭い。顔をあげて、自分を取り囲むつながりと言うものに目を向けられたのは、風影になれたのは…ナルトのお陰だ」

「我愛羅が頑張ったから、今も頑張ってるから風影になれたんじゃん。オレは関係ないって…」 

 少し照れたように笑うナルト。我愛羅は胸が急に苦しくなるのを感じる。

「許してくれ、ナルト…」

 我愛羅は自分の中に湧き上がる感情のひとつを押さえきれない。

「え…?なに言って…」

 その言葉を遮るように、口を塞いだ。何をされているか把握できないナルトは、我愛羅に抱き寄せられて初めて、それがキスだと自覚する。なぜ、我愛羅が許してほしいと言ったのかも分かった。

 

 

 

 

    

 

 

 

我愛羅にキスさせちゃった…

意識があるのとないのとでは、意味も違うよなぁと思うのですが。

やっぱり、我愛羅はナルトが好きなんですよね。

ちゅうか、ナルトも我愛羅が好きだけど…隙ありすぎですな(-“-)