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 雨月夜2

 

 

 頬から滑らせるように首筋へと唇を移動する。ふっと息をかけるだけでも、ナルトの身体がぴくりと反応した。舌先で耳の付け根をくすぐってから、少しきつめに吸うと震えているまつ毛が視界に入る。

 手のひらはゆったりと胸元へ滑らせて、上着のジッパーを下していた。

「…ナルト?」

 行為への確認のためなのか……もし、ナルトがノーだと言っても聞いてやれる余裕がないのも本音なのかもしれない。静かに上がったナルトの手が、シカマルの手に重ねられた。

「やじゃ…ねえって、ホント」

 ふっと笑ったナルト頬がシカマルに寄せられた。

「すげえ、好き……シカマル」

 シカマルが言葉にしない分、ナルトの方が自分の気持ちを言葉に変える。言葉は不思議だ。心で思ったり、願ったり、誓ったりとは違う不思議な力を持っている。

感情を、素直な気持ちを言葉として口から発した瞬間に、意味が生まれる。まるで、この世に生命が誕生するかのような奇跡の瞬間でもあるのだ。

 言葉に思いが重なる。そして、意味は偶然ではなく必然の理を成す。

 ナルトは難しい事を考えて自分の気持ちを音として発するわけではないのだろうが、それはシカマルにとっては極めて重要な意味があるのだ。

ナルトが「好き」だと口にする。その中には多くの意味や感情が含まれている事が多々ある。嬉しい、悲しい、さみしい、愛しい。好きだと文字として並べれば一つの意味しか持たない単語が、口から生まれた瞬間に感情とか、それを伴った要旨を持つような気がしていた。

だからだろうか、シカマルはナルトの話を聞くのが好きだ。他愛のない日常の出来事や愚痴すらも、彼を作り出す一つの“奇跡”。言葉を話すナルトと一緒にいる時間がとても心地いい。

「ナルト……俺も、お前が好きだ。こんな言葉だけじゃ足りねえくらい」

「う…ん」

 頷いたナルトが恥ずかしそうに、それでも嬉しそうに、少しだけ口元を緩めた。抱き合って体温を分け合うだけでも満足できる夜もあるのに、今と言う瞬間はそれだけでは足りない。

 貪欲になりつつある本能。

 セックスは愛を確かめ合うためだけの行為ではなく、愛を伝え合う行為だと思うのだ。だから、どれだけシカマルという個がナルトを欲して愛しているのかを、彼に知らしめたい。

「ありがとな。俺の誕生日ってだけで、旅行とか計画してくれてよ」

「それは……」

 ナルトが口籠ったのでシカマルは、優しく彼の身体を抱きしめた。火が付いたような熱が去ったわけでもない。まだ、きっとお互いの中で燻り続けている。それでも、二人の間にある柔らかい優しい雰囲気を壊したくもなかった。甘えるようにシカマルにすり寄ってくるナルトの金糸が鼻先をくすぐる。

「カレンダー見てたらさ。シカマルの誕生日の日付けに……中秋の名月って書いてあって。んで、去年……一緒に居られなかったから………」

「…ん?」

「誕生日じゃなくって………その、月見出来なかったから」

 ナルトはシカクやヨシノから十五夜の話を聞かなければ、中秋の名月だ月見だと言う事は知らなかった。それでも、季節の流れを感じる事ができる行事にシカマルが一緒に居ないことがさみしくてしょうがなかった。昨年はシカマルの催してくれたサプライズパーティの経緯上、シカマルとすれ違っていたと感じていたのである。だから涙で歪んだ視界に見えた月は、とても寂しく見えてその美しさも情緒も台無しだった気がする。

「今年は、シカマルと一緒に月見して……それで、なんだろ?……えっと、リベンジだってばよ」

「その気持ちだけでも嬉しいんだよ。今日は月見は無理そうだけど、俺はお前が俺の事を考えてくれて一緒に居たいと思ってくれただけでも、すげえ嬉しいぜ?」

「へへっ…んじゃ、リベンジ成功かな?ってな」

 本気で喜ぶナルトの顔を見たとき、シカマルの中で何かが弾けた音が聞こえた。理性では止められない、奥の方にある本能の核の部分と言えばいいのだろうか。コアな部分を直接刺激された気分になって、乱暴にナルトの唇を奪う。

「シカマ…!んんっ……んっ……」

 驚いたのはナルトだ。話していた途中でいきなり唇を奪われたのだから。啄むようなそれではない。まるで貪り合うと表現した方が正しいような………、熱くて激しくて甘い触れ合い。舌が絡んで、他のなにものでも埋められないシカマルの唇が、ナルトの咥内の自由を奪う。息をするのも苦しいくらいに、角度を何度も変えながら深くなる口づけ。

 ナルトの身体からくったりと力が抜け、畳にぱたりと両手が落ちた。上唇を挟まれて吸われ、ナルトはそれに応えるように、シカマルの下唇を舌先で舐める。

 敏感になる肌が粘膜の触れ合いによって、もっと過敏になっていった。

「あ……っ…」

 キスだけで息があがり、身体の奥が熱くなる。そして、それに比例するように体の中心にある部分が、どくりどくりともう一つの心臓を持った。きゅうっと締め付けられるように、中から沸いてくる快感にナルトが身を捩る。

「シカマル……も、……」

「ああ……」

 二人の耳に、不意に届いた音。

 それはパラパラと表現した方がいいのだろうか?最初はそうだったその音が、少しだけ大きくなる。

「降ってきやがったな」

 曇り空はいつ泣き出してもおかしくない様子だった。宿に着くまで降らなかっただけでもありがたいと言えるだろう。障子の外にあるだろうガラス窓にあたる雨の音。

「シカマルが…一緒だから、いい」

 それは、今晩月見が出来なかった事についてだろう。嬉しいことを言ってくれるナルトの頬にちゅっとキスしたシカマルは、胸元を愛撫しながら首筋に舌を這わせた。

 とにかく一つになりたい。

 その思いだけが先行する。何度も二人の間に存在している行為なのに。性急な何かに後押しされてしまう。まるで初めて身体を合わせた時みたいにがっついている。お互いに余裕がなくなる。

 感情が抑えきれないで溢れてきている。ナルトもシカマルもそんな自分たちに気づいているのに、この慌ただしいような欲求に勝てないのだ。焦る気持ちが、早く一つになりたいお互いを手こずらせている。

体が邪魔になる瞬間、繰り返し繰り返し呆れるほど求めあってきたのに……。生まれる瞬間の感情は常に新鮮で、ピュアなものに近い。

「シカマル……早く…ほし…」

「俺もに決まってんだろーが」

 シカマルによって足を割られる。片一方を腕にかけたシカマルは、ナルトの恥部に唇を寄せる。

「ン…あっ…」

 いつもなら舌で慣らされる事は好きではない。強い刺激には何時になっても慣れないし、恥ずかしくてしょうがない。舌と一緒に指が入ってくる感覚にナルトの内腿が引きつって震えた。

「……もっ…シカマ…いいから……」

「よくねえよ」

 息がかかって、シカマルによって露わにされた後腔がひくついた。

「や…っあぁ……っあっ…もぅ…」

 襞を舌先でかき分けられて、指の本数が増える。それが、ナルトの孔の奥で妖しく蠢いた。強い刺激を与えられなくても、シカマルの指が抽出される度に前で起立したものが震えて先から愛液が滴る。自分を傷つけない為に彼が後腔をほぐしてくれる優しさと、本当に欲しい物が与えられないもどかしさが頭の中で交錯した。

 狂いだそうとしている細胞がシカマルを求める。ツッと目尻から涙が零れた瞬間に、シカマルの指がナルトの中から名残惜しそうに出ていく。そこで、ほっと息をついてしまう。そして、吐き出される熱い吐息は次にやってくる甘美な疼きへの期待。

「ナルト…」

 激しい感情とは裏腹の優しい声。

 鼓膜に響く甘い音。

「シカマル……好きだってばよ……?」

 ナルトは心の中の全ての感情がヒトコトで届けばいいのにと本気で思う。何度も零れ落ちた先走りがナルトの陰茎を濡らしていた。ぐっしょりと濡れたものにシカマルの指が絡む。

「あ…っ、うっ…んっ……違うって……」

 ナルトはぎゅっとシカマルを抱き寄せた。わかっているくせに、意地悪するシカマルを睨みつけてからちゅっと首筋を吸った。悪戯なナルトにくすりと笑ったシカマルは、本当ならばナルトから請求されなくても彼に埋めたい熱の楔を、解きほぐした孔に当てた。ナルトの痴態を見て同じように興奮していたシカマルの性器の先も濡れている。その熱い感覚にぴくりと反応したナルトは無意識に身体から力を抜いた。ぬちょぬちょとナルトの孔を突きながら、ゆっくりと埋め込まれるその感覚にナルトの腰も自然と動いてしまう。

 もっと、近くで。

 もっと、深い所で。

 感じ合いたいから。簡単で、それでいて厄介で。

 体より先に感情が昂ぶる。

 快感だけでは済ませる事ができない、感情の波が胸の奥からせりあがる。限界を超えた感奮が弾ける瞬間に、余分な音が二人の中から消えた。

 一番最奥の気持ちいいところをシカマルにこすられて、背が弓型にしなった。

「…シカ……あ…っ、む……も…っ、ああ…っんっ、シカ…」

「ナル…」

 刺激に慣れない。だから、強い快感だけが追いかけるように、ナルトの身体の中を走り回る。無意識にシカマルを締め付けてしまって、きゅと唇を噛みしめる。

 余裕のない二人は、やはり初めて肌を重ね合わせるように不器用で。

「ナ〜ル…」

 優しい声が耳元で囁かれる。涙の膜が張った青い瞳がゆっくりとシカマルに向けられる。

「シカ…マ、ル?」

「来いよ、俺は全部お前を受け止めてやれるからな」

「意味わかんね……」

 くすっと笑ったナルトにシカマルもふっと笑った。

「ナルトの好きなように……」

 シカマルの声につられて、彼の唇を求める。ゆっくりと抽出を始めたシカマルは温かく自分自身を包み込む肉襞のひとつひとつに愛しさを埋め込んでいく。

 全てが溶けてひとつになれればいいのだ。

 

今、交わしているのは、言葉のない会話。言葉の必要のない会話。

 

「夜はなげーぞ?」

「ばか…腹へるってば」

 最初の穏やかさを取り戻したお互いは、二人の熱を一つに混ぜ合わせて、ゆっくりと高みに昇っていった。

 

 

 

 

「わ〜っ!すげえ美味そう!!」

 ナルトがそう言ってはしゃぐ度に、浴衣の合わせから情事の痕が見えてしまうのではないかとシカマルは少しだけひやりとする。もちろん、自分はそんな小さな事を気に掛けるような性格ではない。誰にどう見られようと詮索されようともナルトとの関係に堂々と出来るからだ。だからと言って、ナルトがシカマルとの関係を恥ずかしがって隠したいと思っている訳でもないのだ。きっと、恋人なのかと聞かれれば素直すぎる部分があるナルトが他人に隠し事ができるはずもない。隠すつもりもないが吹聴する気もないというシカマルとは同じ意向である。わざわざ詮索しない相手にまで言う必要がないと思っているし、砕けて言ってしまえば恋人にラブラブな自分が恥ずかしかったりする。そうゆう可愛い部分がシカマルは好きだから、ナルトの意向も尊重しているだけ。不意にキスを奪ったりするのは悪戯心からだったりした。

里芋の絹かつぎ、月見豆腐に枝豆の盛り合わせ。その他、山の幸をふんだんに使った色取り取りの煮つけ。定番の月見料理が盆に乗せられていた。そして、海が近いという利点から山の中では珍しい新鮮な刺身が船盛で付けられた。

「シカマル!美味しい内に食うってばよ」

 満面の笑みで箸を握っているナルトには、つい先ほどまで見えた妖艶な雰囲気は微塵とも見られなかった。昇りつめて達し、くったりとしていたのはほんの少し前の話なのに。全力疾走したような性交に息も絶え絶えだったナルトを清め、身を正しのはシカマルだ。シカマルも誰にも譲るつもりはないのだが(ナルトにもである)。

「ご飯は栗おこわと山菜をご用意しておりますが…」

 仲居の声にナルトの瞳がキラリンと光ったような気がした。シカマルはぷっと笑うと「両方で」と短く答える。

「な〜。シカマル、この豆腐どうなってんの?」

 月見豆腐に箸を入れていたナルトは、ふんわりと上がる湯気に交じる出汁のいい香りに唾を飲み込む。

「当宿で仕入れております絹ごしの豆腐の中に、黄身を入れて出汁で蒸煮しております」

 説明の一つ一つに、うんうんと頷いたナルトは半熟の黄身部分から箸を入れる。半熟具合の卵が上品な出汁に絡まった。豆腐と一緒に口の中に入れると、とろりと甘い黄身の味と出汁の旨みが口の中に広がる。

「……うまい」

 添えられた絹さやの緑が真っ白な豆腐や、月に見立てた黄身とマッチしている。

「シカマル、超美味い!!」

 ナルトの飾りっ気のない称賛に、仲居が自然な笑みを浮かべたことは言うまでもない。一人鍋にろうそくを灯した仲居は、湯気があがってから蓋を開けるようにと言って退室してしまった。栗おこわと山菜ご飯の入った小さなお櫃と茶碗も先出してもらう。それと一緒に汁物も用意してもらった。本来ならば一つ一つの料理がタイミングよく運ばれてくるのだろう。それはそれでいいのだが、ゆっくりと二人きりの時間を楽しみたいというのも本音である。

「卵は地鶏だってばよ。やっぱ、なんか違う気がする……」

「違わねえだろ…ってか、そんな繊細な感覚がお前にあるのか?」

「…ある!!」

 他愛のないやり取りと美味い料理。食前酒はあったが、特にはアルコールを注文していない。それは、ナルトが後で月見酒を予約していると言ったからだ。デザートは、当たり前のように月見団子で里芋を見立てるようにこしあんが半分だけ巻かれていた。どれもこれも、うまいうまいと咀嚼するナルトを見ているだけでシカマルも嬉しくなる。

「あのさ、シカマル」

「…ンだ?」

「あのさ……一応、ケーキも頼んであるんだって」

「……これ以上、食うのか?」

「へ?…いけねえ?」

「いや。そんな事ねえけど……」

 シカマルは少しだけ真剣な顔をしているナルトに、ふうっと息をつく。

「あんなぁ…今、変な心配してんだろ?お前」

「…ちょっとだけ、した」

「すげー嬉しいから。迷惑とか考えてねえし……」

 ナルトの頬が、ほっとしたように緩む。それを見てシカマルは肩をすくめる。

「やっぱしてんじゃねえのかよ、いらねー心配」

 

 ナルトが頼んでいたケーキは、真っ赤なイチゴの乗った定番のショートケーキや、栗やチョコレートなど様々なものが楽しめるようになっていた。シカマルの事を考慮してか、それはホールではなく小さく切り分けられた一口サイズ。殆どをナルトが消費したのだが、シカマルもナルトから「あーん」されては断れるはずもなく………そこに気の知れた仲間が居たらドン引きされてしまうくらいの甘い態度で、ナルトを甘やかしてしまったのであった。

 

 

 

 

  

 

 

 

なんか、久々に……甘い甘い甘すぎるイタイ二人を書いてる気まんまんです(笑)

つーか…終わってねえじゃん!的な?

いや、いつか終わりますよ。楽しいシカマルの誕生日ってのが副題?

お月見を楽しむはずの、月見料理ですが。ま、月はなくても美味しかったら問題ナッシン!

RUIも、今夜が月見料理でした…あんま月見関係ない?

いや、里芋と枝豆ってだけだけど(^^

月見豆腐はちょっと書いてて食べたくなった〜

ちょっとくらい言い訳したいけど、もう…いいですシカナルなら!