一戸建て 堺 スケルトン リフォーム

 

 

 

LOST WORLD 8

 

 

 熱い舌が咥内に入って来る。

「ん…っ!!」

 ナルトはハッとして、ぐいっとシカマルの胸を押し返した。シカマルを拒む様な動作にシカマルは指先に自然と力が入るのを感じる。当たり前のように逃げるような舌を追いかけて絡め取り、ナルトの抵抗を許さない。

 難しい話なんて必要ないのだ。二人の間に必要なのは、お互いがなんであるのかを認識すること。

「や…っ、ん…あっ…やめろって…」

 片手でナルトの顎を固定すると、ゴクリと唾を飲み込む様が見えた。

 そして目尻から零れている透明な液体。それがナルトの悲痛感を露わしているようで、シカマルの胸も締め付けられるように苦しくなる。

 唇を解放したシカマルはぎゅっとナルトを抱きしめた。息を乱すナルトが大人しくその腕の中で呼吸を整えているのが視界に入る。

「泣くなって……」

 それを煽っているのはきっと自分なのに、身勝手な言葉だと思う。

「なんで…こんな……」

「分かってねえのか?ホントに?」

 静かになったナルトの身体を抱きしめながら、シカマルは口元に自然と笑みを乗せた。

「俺が、お前にキスしたり…抱き締めたりする理由が分からねえって?」

 ふっとナルトの顔を覗きこむと、少し困惑したような顔つきでその頬がほんの少しだけ赤い。

「忘れんなよ。俺はお前の大切な恋人だろ?」

 強張った身体からその緊張が伝わってくるようだ。

「そーゆうコト……なの、か?」

 ナルトの呟きで、彼の中で少しも自分の存在が無視されていなかった事に気が付く。

「忘れてても、残ってるはずだぜ?」

 心が否定しても、忘れたがっていても、抗えない感情や本能や。

何かしらナルトの中に響いているはずだ。

「お前はキスすると、いつも落ちついた」

 ナルトはシカマルの言葉に何も答えない。答えないが否定しない事が肯定したという証拠のような気がしていた。

「拗ねてる時は、抱き締めると、…最初はツンツンしてるくせに甘えてきた」

「も、いいから!口にすんなってばよっ!」

 シカマルの口を両手で覆ってきたナルトの行動が、シカマルの知っているナルトと重なる。その手を取って、ゆっくりと両脇に縫いとめた。同じようにゆっくりと身体を横たえ、見上げてくる瞳をじっと見つめながら。

「そして、それは過去形じゃない。今も、進行形…」

 ぎろっとシカマルを睨みつけて、ぷいと顔を逸らすナルト。だから、露わになった首筋にシカマルは唇を寄せる。

「ちょっ…!!」

 慌てたナルトは拘束された両手に力を入れる。もちろんそれはびくともしない。キスをしていた白い首筋に舌を這わせると、ナルトの呼吸が一瞬止まる。

「どうして木の葉に帰って来て、逃げたのか本当の事を言えよ。九尾だとか人柱力の事実がお前を苦しめたのだとしても……それが決定打なんて俺は信じてねえよ」

「何度も…同じ事、聞くなってば…」

 それは先程も問われた事で、ナルトは素直な気持ちをシカマルへ告げた筈だ。

「俺がそんなに、怖い?」

 ナルトはきゅっと唇を噛みしめる。

「……そう、思った」

「考えると辛いのも痛いのも、それはお前が俺を求めてるだからだろ?」

「え…?」

「認めちまえよ。記憶がどうこうじゃねえだろ?俺はお前を失うのが怖い。だから、自分の為になんでもするきっと“狡い”人間だせ?お前より、もっと狡い奴だ」

 どれだけでも認める事ができる、ナルトを手放すのが怖い。彼が自分の世界からなかったことになってしまうという未来を受け入れる事が出来ない。だから、情けない自分の姿も感情も認める事ができた。そして、どうする事が最善なのか自分の為に考えた。

その最善は、自分だけでなくナルトにとっても同じだと思いながら。

「空っぽなのは、俺の存在がないから」

「……シカマル」

「引っ掛かるのは、俺がいないから」

「も、それ以上……言うなってばよ」

「じゃあ、お前が俺の口を塞げよ」

 囁くようなシカマルの声が大地に水がしみ込んでいくように、ナルトの中の何かに触れる。何が真実で何を求めたいのかなんて、はっきりした答えはナルトの中にもない。

 傷口を抉ろうとするシカマルの唇を見つめたナルトは、誘われる様にその言葉を塞ぐべく唇を押し当てた。

「お前の全部を俺に響かせろよ……」

 それは懇願にも似たシカマルの呟きだった。

 

 

 

 求められるままに唇を貪る。

 腕は彼の首の後ろで交差されて、ぎゅっと離れないように抱き締めている。

 身体を弄る手も指先も、的確にナルトの快感を呼び起こすもので……

「あ…っ……ん、あっ…」

 傷の付いていない肌に紅い印をつける。指先に引っ掛かる胸の突起を弄ぶと、ナルトの喉から苦しそうな、それでいて歓喜のような声が漏れた。

「ナルト…」

 離れていた時間を埋めることは出来ないけれど、この思いが届けばいいと思った。ひどく醜くて、苛烈な思いが彼を傷つけてしまってもそれを癒すことが自分には出来ると自負できる。

 ナルトがどんな思いでこの行為を受け入れているのか、求めているのかなんて分からない。

 否、もしかしたら簡単な答えかもしれない。

「ナルト……」

 囁く声に愛しさを重ねて、名前を呼ぶ。

「は…っ、んっ……ん」

 お互いの汗が熱い。肌の上で交り合う確かな感覚に、感情が麻痺する。

「愛してる」

 愛撫に感じたのとはちがう身体の強張りを感じた。

 何度でも彼をどれだけ求めているのか言葉にする事ができるような気がした。

 それが、ありきたりな言葉でもいいような気がしたのだ。素直に自分の感情を吐露する事で、ナルトの中の何かに触れる事が出来たのなら。それで、全部いい。

 少しずつでいい。急いでいない。性急に物事を進めてしまえば、またどこかへ彼が消えてしまいそうで怖い。それならば、離れられない現実と離れたくない胸裏を重ねてしまえば、自ずと答えに導かれるような気がしていた。

「ナルト…ナルト…」

 柔らかい肌の全てを愛撫しながら、思いを込めて名前を呼ぶ。そのシカマルの声に反応するようにナルトの腕がシカマルを抱いた。それは懐かしく思える温もりの一つ。

 ナルトの足を割り、シカマルは熱い楔をゆっくりと彼の中に進める。

「んん…っ…や、いたっ……」

「痛く、しない」

「嘘、シカマル…も」

 荒い息がナルトの喉を揺らす。見つめてくる潤んだ青色にシカマルは微笑を浮かべた。

「帰ってこいよ……お前は、俺の近くに居る必要があんだよ」

「は…っあ…んっ」

 睦言を囁かれる度に、強張りが解けていく。それは身体だけでなく心の中までのような気がした。湧き上がる思いに名前をつける事ができない。それを知らないのだから何と呼べばいいのか、ナルトには分からないのだ。だが、覚えている。ゆっくりと身体を侵す熱とは違うぬくもりが、胸の中に溢れる事を。

 

 隠している闇。

 せり上がってくる感情。

 それは苦しくて、全てを切り刻む様な痛苦を伴う。

 黒い黒い、感情。

 

「やだ…っ」

 ナルトは夜毎訪れていた苦しみを思い出した。それに触れたくないから、辛いから、全てにフタをするように心の扉に鍵を掛けたのだ。激しい音を立てて閉まった扉の鍵は、どこかへ置いてきてしまった。

 だから、もう……開く事はないのに――――――

「ナルト…」

 優しい声が。

「ナル…」

 身体が繋がって響いて来る優しさが、とても懐かしく恋しい。

「俺を…見ろよ。目の前に居るのは、俺だけだろ?」

 固く閉ざした心の中の琴線に触れる様なシカマルの科白にナルトは、ふっと息を吐く。

「なんで…も……こんなに……」

 目尻にぽろりと落ちた雫をシカマルは下先で掬う。

「しゃーねえ…俺がお前を離せねえんだから」

 その気持ちは同じだとシカマルは信じたかった。

「シカマ……んっ!」

 二人の間ではごくごく普遍的な感情が、お互いを求める。ゆったりとナルトの中を泳ぎながら、シカマルは震えるナルトを見つめた。

「あ…あ…っ……んっ、はぁ…やっ」

「全部が分からなくなっても、身体は覚えてるだろ?」

 皮肉っぽく笑うと、くすっと笑ったナルトの指がシカマルの腕に食い込む。それから掻き抱くようにナルトの腕がシカマルを引き寄せた。

 

 

 

 ただ、言葉もなく肌を寄せている。後ろからナルトを抱きしめながら、シカマルは彼の匂いを吸い込んだ。熱を解放し合った後に訪れた静寂の中で、二人の間に言葉なんて不確かでかつ明確なものが要らなくなっていたのだ。

 ナルトの胸の前で交差したシカマルの腕に、ナルトの頬が寄せられている。一瞬、ぶるりと震えた身体をシカマルは抱き直した。

「寒いか?…」

「だいじょ…」

 大丈夫だと答えようとしたナルトの声が嗄れている。散々鳴かした喉が潤いを欲しているのだろう。なんだかそんな些細な出来事も甘い痛みとなってシカマルの胸に溢れた。

「ナルト…」

「オレ…」

 ぎゅっと抱いた後、シカマルはナルトからそっと離れる。それに驚いたのか、振り向いたナルトはシカマルの行動を見てほっとしたような表情を見せた。座卓の上から湯呑を取ったシカマルは、冷めてしまったお茶をナルトに進める。

「ありがと」

 払拭されたのは二人の間の違和感だけ。素直に湯呑を受け取ったナルトは、こくりと喉を潤す。それから自分の上着を手にしたナルトが、それを肩から掛けた。

「やっぱ、寒みぃんじゃねえの?」

「ち、違う。恥ずかしい…んだってばっ」

 瞳を大きく見開いたナルトがシカマルの視線から逃れる様に俯く。彼の言葉は嘘ではないらしい。見えている耳朶が真っ赤に染まっていく。先程まで激しく抱き合っていたと言うのに、恥じらう姿が可愛く見えた。

「シカマルも……なんか着ろって!!」

 ナルトは本当に恥ずかしがっているようだ。シカマルは気にしないが、これでは何かを話そうとしてくれている彼の気持ちを尊重できない様な気がして、用意されている浴衣に腕を通す。適当に帯を結んで、とりあえずは体裁を整えた。

「着たぜ」

 ちろっとシカマルを見上げたナルトは、その姿を確認して軽く頷く。そして湯呑を座卓の上に戻してから、何かを考える様にぽつりぽつりと話し始めたのだ。

「オレ…怖かったんだってばよ」

 だから、シカマルは一つも聞き逃さないつもりでじっとその声に耳を傾けた。

 

 

 

 

  

 

 

予定では次回でラストのはず?

こうゆうのはいつも嘘つきなので() 

RUIの中ではよくあるパターン…

えーと。一応、赤文字指定?あ、はい。ちろっと?

行為というより二人の感情の流れとか書きたかったのですが(^^

それがちゃんと表現できたのかは不明です。

久し振りにシカマルがナルトに対して、大っぴらに甘い!