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Lesson 2
「ま…どうにかするのはシカマルの役目だってば…」 「は? なんで俺なんだよっ!」 ナルトは青色の瞳をシカマルに向ける。シカマルと視線が合うと、にかっと笑った。 「だってよ〜…オレよりもシカマルのが頭いいじゃん。それに、オレってば本とか読まねえから、よく分かんねえもん。だから、シカマルが解決してくれってばよ。オレは風呂に入ってくるってば」 お気楽そうな笑みを見せたナルトはシカマルに背を向けると、バスルームの扉をばたんと閉めた。シカマルは眉間に皺をよせながら、鼻の頭をかく。 「…全然、変わってねえぞ。ナルトのなるようになるだろってとこ……」 すぐにシャワーの音が聞こえて、シカマルは溜息をついてベッドの上に腰を下ろした。
また勢いよく扉が開いたら、髪の毛を拭きながら奥からナルトが出てくる。腰にはタオル一枚を巻いているだけの姿だ。肩からかけたバスタオルで前髪をごしごしやっていたナルトは、ふっとシカマルに視線を向ける。 「シカマルも、入る?」 水を向けられたシカマルと言えば、ベッドの上で胡坐をかいて座っていた。むすっとしたシカマルはちらりとナルトを伺ってから、これ見よがしな溜息をつく。 「俺、考えたんだけどな…」 「あ、難しい話する前にメシにしねえ?」 「……メシって」 「だって、やっぱ腹ごしらえしねえと。えっと、ラーメンでいいってば?」 食糧庫をごそごそやっているナルトを見て、シカマルは頭が痛くなる。確実に分かった事と言えば、三年後もカップラーメンを仕舞う場所は変わっていないと言う事だけだ。 「なぁ、ナルト」 「あ…味噌が一個しかねえってばよ〜。シカマルは何にするってば?」 「つうか!朝からそんな重てえもん食ってんじゃねえよ」 ナルトはシカマルのお小言を聞いてくすりと笑う。くすくす笑うナルトにシカマルは顔をしかめた。 「ンだよ…」 「なんか…シカマルは昔っからシカマルなんだなぁって考えたら笑えて来たってば」 「当たり前だろ?お前が知ってる俺が目の前にいるだけなんだから…」 それに比べ、十六才のナルトの事は何も知らない。現在の自分よりも背が高くなっていることと、中身があまり成長してない事くらいだ。見てくれと言えば、青い瞳も金色の髪も同じだと言える。目にするナルトの顔が少し大人びているのを不思議な気持ちで見つめてしまうのだが。 じっと見つめていると、ナルトがくすくす笑いながら近づいてきた。 「なんかシカマルが可愛く見えるってば〜!不思議…」 シカマルの顔を覗きこんでくる瞳にシカマルは顔を赤くする。 「あ。赤くなったってば…」 「う…うるせーよ!」 シカマルの隣に腰を下ろしたナルトが、くすりと笑った。 「やっぱ、照れてんじゃん!なんか、あんまお目にかかれないシカマルだってばよ…?」 シカマルはナルトの胸元に視線を落として、ぎょっと目をむく。キスマークだと分かる鬱血痕を見つけてしまった。それも、その数が一つや二つではない。まるで、情痕を見つけてしまった気になって顔を背けた。 「ん?」 ナルトはシカマルが顔を背けてしまった事で、自分の身体に視線を落とす。そこには昨夜シカマルから刻まれた花弁が赤く散っている。これを見てシカマルは照れているのだろうか。そう思うとまたくすぐったい気持になる。 「な〜に照れてんだってば?全部、シカマルが付けた癖に――――――」 「ばっ、ばか!未来の事は口にすんなよ…俺がそれを知った事で歴史が変わるかもしんねえだろ?」 「……へ? そうゆうもんなの?」 「そうなんだよ。だから、俺は聞かないからな!」 ナルトは困ったように口を歪めた。気を付けていても、ついつい口が滑ってしまいそうだ。 「気ぃ付けるけど……シカマルも気を付けてくれってば」 シカマルは頭を抱えたくなる。ナルトの言葉を先読みしてそれを阻止しろというのは無理に近いような気がするのだ。それを全部自分に求められても困る。 「おい、ナルト…」 顔をナルトに向けたシカマルはそこで固まってしまった。ナルトの身体に着いたキスマークは胸元だけではなく、背中にまであるのを発見してしまったのだ。「全部、シカマルが付けた癖に……」というナルトの言葉から、ナルトと自分が三年後も関係がある事を教えてくれた。何故か、自分の独占欲を見せつけられた気分になって気恥かしい。 呼ばれて顔を上げたナルトは黙っているシカマルを見て首を傾げた。その仕草は自分が知っているナルトそのものだ。もちろん、彼が三年と言う月日を超えたナルトなのだから当たり前の事なのだが。 「シカマル、変な顔してる…」 「うっせー」 「安心しろってば。オレとシカマルは三年後もラブラブだってばよ?」 にっこりと笑顔付きで言われたシカマルは耳を塞ぎたい気持ちになりながら、ナルトを睨みつけた。 「おい。未来の事は言うなって言ったばっかだろうが!」 「あ…そっか。でも、いいんじゃねぇの?シカマルとオレの事なんだし」 「そーゆう問題じゃねえだろうが」 「そうゆう問題だってばよ!シカマルはシカマルなんだから、オレってば急に変われねえもんっ!」 ナルトは憤慨したように頬を真っ赤に染めている。シカマルは根気負けした気分になりながら溜息をつく。 「じゃあさ…シカマルは、オレがシカマル以外の奴と付き合っても平気なんだってば?シカマルじゃない誰かとエッチなことしても、全然平気なのかよっ!」 「……話の論点、滅茶苦茶ずれてんだけどよ」 「オレは絶対やだからな。よく覚えとけってば、十三才シカマル。そんな事したら、ぜってーに許さないからな」 ナルトはぷうっと膨れて、シカマルを見つめてくる。その瞳が潤んでいることに気がついたシカマルは力なく笑った。泣き虫な所も変わっていないではないか。変な所で頑固な所も、素直…というかバカがつくくらい正直な所も。 「めんどくせえな…泣くなよ。分かったから…とにかく、これから起こる事とかそうゆうのは口にすんなよ?マジでめんどくせえ事になるからよ。俺は一度見聞きした事は忘れられねえ性質なんだ」 ナルトはむうっと膨れたままだ。それでも、やはりこれだけは約束してもらわないと困る。自分が何かを聞いた事によって、歴史に歪みが生まれてしまうかもしれないのだ。無意識な内にもそうなってしまっては困る。 「じゃ、シカマル」 「なんだ?」 「キスしてくれってば…」 子供が駄々をこねる様に言ってくるナルトを思わず見つめてしまう。 「シカマルはオレの事…」 「おい、ナルト」 「嫌いなんだってば?」 「……は?」 ナルトの腕がシカマルの肩にかかる。容易く後ろに倒れたシカマルを覗き込むようにシカマルが肌を寄せてくる。目を丸くしているシカマルの顔を見て、ナルトがくすくす笑った。 「やっぱ、可愛い…」 くすくす笑いが大きくなる。シカマルの隣に寝転がったナルトは天井を仰ぎながら、思いだすようにまた笑い始めた。シカマルは自分がからかわれているような気分になる。がばりと起き上がると、ナルトの肩をベッドに押し付けた。 「シカマ…」 その言葉の続きを飲み込んだ。唇を合わせて、ナルトの口内に舌を侵入させた。最初は驚いていたようなナルトも、シカマルの舌に自分の舌を絡めてくる。 「ん…」 鼻を抜ける様な甘い吐息。この声を知っている。ナルトはいつも自分を拒む事はしない。息を継ぐ間も与えないように角度を変えながら、口づけを深くしていった。 シカマルの肩をぎゅっと掴むナルトの指が上衣に皺を作っていく。 「は……んっ」 シカマルの唇から解放されたナルトは、睫毛の奥から潤んだ瞳をシカマルに向ける。シカマルの顔を見て、口元に笑みを乗せた。 「オレ、そうゆうシカマルの顔、大好きだってばよ?」 シカマルは照れたように、ナルトから視線を外す。自分がどんな顔をしているのかなんて、分からない。ナルトがこういった事を口にする事は余りないのだ。 「オレの嫌いなとこは……」 「歴史が変わるんじゃ教える訳にはいかないってばよ!」 「……都合よく理解してんじゃねえよ!」 「ん〜…とりあえず、やっぱ朝メシ食わねえと。で、シカマルは何にするんだってば?味噌は譲らねえけど」 真剣な顔付きで言ってくるナルトに背を向けたシカマルは、しょうがないという気持ちでベッドから降りる。まだ寝転がってるナルトをちらりと伺って、何度目かの溜息をついた。いつもの調子が狂ってしまう。ナルトはナルトなのに、いつもよりもそのマイペースぶりが割増されていているように感じる。それに振り回されている自分に少しだけ情けない気分になった。 「俺がなんか用意すっから、とにかくお前は着替えろよ」 ぱちぱちと瞬きをしたナルトがにかっと笑う。 「了解だってばよ!」 これからの事も話すチャンスもないまま、このペースを貫き通されそうな不安を覚えてシカマルは力なく笑う。目に見えて自分が振り回されている事が気に入らない。少しだけ三年後の自分に同情してしまった。
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なんでしょうか…この終わらない雰囲気は(^^ゞ
や…なんか、楽しいんですけどね。
調子が出ないのはシカマルっすよ。
ナルトに振り回されてるシカマルが!!
最後まで呆れずにお付き合いください(>人<)