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Lesson 1
大雨、それも雷を伴う。 風によってガタガタ揺れる窓枠に、腕の中の体がびくりと揺れる。 「おい…なにびくついてんだよ?」 笑いを含んだ声が耳元で聞こえて、ナルトはふうっと息を吐く。 「違うってばよ…べつに、びくついてなんかないってば!」 もちろん、それは強がりなのだが。シカマルはそんなナルトの心の内など重々承知だ。隠そうと本人は躍起になっているかもしれないが、その態度と声色で彼がどう思っているのかはシカマルにすぐにばれてしまう。分かりやすいのだ。昼間から降りつける雨にナルトが心配そうに空を仰いでいたのも知っている。 「しゃーねーなぁ…ナルトは雷、嫌いなんだもんな?」 泊まりに来ないかと聞かれて、シカマルは悩んだ。…ふりをした。「どうすっかな〜」と言うシカマルの呟きに懇願する瞳を向けてきたのは夕方の出来事。シカマルからOKの返事を貰って、ナルトの顔が笑顔になったのは言うまでもない。その瞳が涙で潤んでいた。 早々と寝ようと言う話になってベッドに潜り込んだまでは良かったのだが、とうとう雷が鳴り出しのだ。シカマルのパジャマを握り締めて声を我慢するナルトが、雷が光る度にビクビクするのを内心楽しんでいたシカマルは、そっとナルトを抱き寄せる。 「悪りぃ、悪りぃ。もう、からわないから寝ろよ」 「……だから、違うってばよ」 「へーへー。わぁったよ…」 「ホントだってばっ!」 がばりと顔を上げた瞬間、真っ暗な部屋が雷光によって昼間のように明るくなる。目いっぱい開けられた青い瞳を余裕な笑みを見せて覗きこむシカマル。 「ひ、光った!」 「雷なんだから、当たり前だろ?」 「寝る…」 ぎゅうぎゅうと自分に引っ付いてくるナルトをカワイイなどと思いつつ、シカマルはもう一度ナルトを抱きしめた。
朝になるとどうして雀が鳴くのだろうか。耳につくちゅんちゅんという鳴き声が、シカマルの目覚まし変わりとなっていた。部屋に差し込む太陽の光から、嵐は去ってしまったのだろうと予想もつく。 「かったりぃ……起きたくねえな」 朝から暗い溜息をついたシカマルは、自分の隣を見てナルトの姿がない事に気がついた。がばりと起き上がりベッドの下を覗きこんで、口元に笑みを浮かべた。布団にぐるぐる巻きになりながら眠る金髪が見える。昨日はしっかり抱きしめて寝たつもりだったのだが、寝相の悪いナルトの事である。安心して爆睡し、挙句ベッドの下に落ちてしまったのだろう。 「つうか…落ちた時に気がつけよ。バカナルト…」 自分が一緒に居る意味がないではないか。シカマルがくすりと笑った瞬間、「う〜ん」と言う唸り声と一緒にナルトが起き上がる。目を擦りながら、部屋の様子を見渡す様にきょろきょろしている。 「あれ…オレんち、いつ帰ってきだってばよ」 大きな欠伸をしたナルトがベッドの上のシカマルを見て、にっこり笑う。 「あ、シカマル居たんだ。なに、遊んでんだってばよ〜」 シカマルはベッドの上で固まっている。 「おい、遊んでんのはお前だろ」 「寝起きから体力使う遊びしないってば……」 「俺は遊んでねえぞ。かなり真剣に言ってんだからな」 ナルトはぱちぱちと瞬きをしてから、シカマルを指差す。 「じゃ、なんで変化してんだってばよ?」 「その言葉、全部お前に返してやるよ」 「む。オレはオレだってばよ!オレの事、からかおうとかしてんだろ?」 シカマルの視線の先には、ナルトなのだろうがナルトでない者が布団に包まって座っている。 「お前、ほんとにナルトだろうな?」 「はあ?お前こそシカマルかどうか怪しいってばよ。ってか、早く変化解けってば!」 ナルトの顔に嘘はない。憤慨したように頬を赤くしてぎろりと青い瞳がシカマルを射抜く。 「………ナルト?」 「シカマル、せっかく今日は任務が休みなんだってばよ。もう、くだらねえことやめねえ?」 「おい、ナルト。お前が嘘が下手だって知ってるけどよ……お前、いくつ?」 「へ? ぴっちぴちの十六才だってばよ」 「……マジかよ」 シカマルはじいっとナルトを見つめる。自分が知っているナルトは、自分と同い年の十三才だ。 「シカマルだって、オレと同い年なんだから……」 「十三才」 ナルトの言葉を遮る様に言うと、ナルトがぷっと吹き出した。 「何言ってんだってばよ〜。シカマルがそーゆうの好きなタイプだとは知らなかったってば」 「おい、何の話だ?」 嫌な予感がして訊ねると、ナルトはきょとんとした顔で首を傾げた。 「なんかのプレイじゃねえの?」 「そんなめんどくせえ事しねえってのっ!」 ナルトは慌てたように立ち上がると、不安そうな顔つきで自分の部屋を見渡す。 「だって…ここ、オレんちだってばよ」 「すっげーつまんねえSF小説みてえだな……よくある、つうかベタな展開で笑えねえけど」 「十三才シカマル!どうにかしろってばっ!」 「へぇ…ナルトでも分かったのか」 ナルトはむうっと口をへの字に曲げた。その表情はシカマルの知っているナルトそのものだ。ナルトなのだからしょうがない事なのだが。 「だってよ、オレも十三才シカマルも本物なんだろ?ってことは、どうにかしてオレは昔の世界に来ちまったってことじゃねえのかよ」 「もしくは、俺が未来に来たって事も考えられるけどな」 「あ、そっか…」 あからさまにホッとしたような顔をしたナルトがふうっと息を吐いた。シカマルは立ち上がったナルトの隣に立ってみる。見上げてしまう程の身長差。いつも見下ろしているはずのナルトを見上げている事を不思議に思う。 「なぁなぁシカマル〜…いっその事、外に出てみねえ?外に出りゃ、どっちだかはっきりするってばよ?」 「お前なぁ。三年後でもそんなにバカなのか?俺なのかお前なのか置いといても、未来の人間と過去の人間が会うって事はタブーだ。歴史が変わんだからよ……ここは窓から外を伺うとか」 ナルトは箪笥の中をごそごそやり始める。最初からシカマルの話を聞く気がないのか、着替えて外に出て行こうとしているのだ。 「人の話聞けよ!成長してねえ奴だな……」 くるりと振り返ったナルトは真剣な目をしてシカマルを見つめる。身体から力が抜けたようにぺたんと床に座り込んだ。 「その必要…ねえみてえだってばよ」 落ち込んだナルトは箪笥を指差すと肩をがっくりと落とした。 「オレの服が小せえもん。全部!」 「そうゆう事か…」 ナルトにしては洞察力がある。さすがに三年も先だと、少しは成長しているようだ。シカマルは項垂れる肩に手を置いた。 「ま、なるようになるからよ。そんなに落ち込むんじゃねえって、ナルト…」 「シカマル〜っ!」 がばりとシカマルの腰に抱きついたナルトが、顔を摺り寄せてくる。シカマルはふっと笑うとぽんぽんと金色の頭を撫ぜる。 「なんだよ、大きくなったのは身体だけかよ。泣き虫の所はちっとも変ってねえのな?」 「安心しろってば!シカマルもちっとも変わんねえから…」 ぐずりと鼻をすする音が聞こえて、シカマルは重たい溜息をついた。
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Diaryキリ番1234のキリリクです。
桜庭様より頂いたリクエストは「13才シカマル×16才ナルト」!
また、くだらなくパターンを考えてたんですが…
とりあえず、ベタな感じで行こうと思います。
って、これ思いっきり序章ですよね(汗)
あはは、やっぱり続きものになってしまったのです。
タイトルには深い意味はありません(^^ゞ