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KOI‐GOKORO 4
「ナルト、好きなもんおごってくれるって言ったよな?」 「…ん? いいってばよ。お好み焼きとかにする?バーガーとかでもいいだろ?」 ナルトの屈託ない笑顔が、シカマルの琴線に触れる。 少しだけ破壊的欲求。 「俺はお前が欲しいんだよ…」 「へ? オレ……? 意味、わかんねえよ??」 二人きりの部屋。密室空間と呼ぶには、少しだけ心許ない。 それでも、衝動が止められない。 「……わかんねえんでもいいけどよ」 「シカマル?どしたの?」 急接近した二人の距離に、ナルトの不思議顔。きょとんとした表情からは、性的なものは一切感じられない。心の中で、急ブレーキと理性の壁が邪魔する。
だけど、嫉妬心にかられた欲望が止まらない。
「ナルト…、お前の事、好きなんだ。こーゆう意味で」 ほら、どんどんと大胆になる言葉。 「シカマル?」 童顔に相成って、見上げてくる瞳の色が凶悪なくらいの色香を放っている。本人すら気が居ていないだろう……。狡さは自分の方が一枚も二枚も上手。
この関係を崩す準備なんてできていない。それでも止められない衝動。
ナルトの身体を引き寄せて、きょとんとした顔に唇を寄せる。驚愕したような瞳を無視して、唇を寄せる。一番欲しいのは、ナルトしかない。空腹状態はもう破綻寸前。 めちゃくちゃに彼を犯したい感情が、堤防を越える。 「ええ?え? シカマル……?」 今、崩壊寸前の……超えてはいけない一線を越えようとしている自分が居る。 ナルトはどう思うだろう?軽蔑されるかもしれない。もう、二度と「親友にも同居人にも幼馴染」にも戻れない。 それでも、求めない訳にはいかない。暴走する気持ちを止められないのだから。 「ナルト……好きなんだ。お前の事しか、考えられねえ」 本心だけが言葉になる。素直な気持ちである事は確かで……着痩せする細い体を押し倒した。白い首筋に唇を落として、がちがちに緊張している身体を抱きしめる。
ほら、逃げるなら今の内。 だけれど、シカマルはナルトを逃がしてやるつもりは毛頭なくて。 「シカマル…ちょ、やだってばよ!やめ…」 一生のお願いのツケは大きいのだ。そんな事を考えながら、パニくったナルトの唇を奪った。
「――――――― おいおい……」 ぱちりと目を開けて、最悪の気分を味わう。見慣れた部屋の天井。 カーテンの隙間からは、朝を知らせる太陽の光。 「……夢オチって最悪じゃね?」 それは何に対する「最悪」なのかは、シカマルにも分からなかった。どうせ夢ならば、最後まで……なのか。それとも、夢にまで見てしまうくらい切羽詰まった自分の状況なのか。 昨日は、ナルトがストーカーに「好きな人がいる」発言をかまし、それにずーんと落ち込みながら帰宅したのだ。電車に乗る時にはお互い会話も少なかった。 多分、ナルトは気恥ずかしかったのかもしれない。そして、自分はと言うと……あまりのショック状態から僅かな間だけれど放心してしまっていたのだ。一度だってナルトから、そんな話を聞いた事がない。同じクラスの春野サクラが憧れの存在なのは、幼少の頃からなので恋心だとも考えにくかった。リアルにナルトとサクラの何かを想像するのも難しいのだ。それに彼女にはちゃんとした思い人も存在する。 取り繕う為なのか、自宅近くのお好み焼き屋により奢ってももらった。その味は思い出せないが。二人で言葉少なにお好み焼きをつついたのだ。 ナルトが告白された事も、ストーカー行為にあっている事も、好きな人が存在する事も、何も知らなかった。お互い良くも悪くも知っているつもりでいたのに、それは自分の勝手な思い込みにしか過ぎなかったのだ。それが、かなりの打撃をシカマルに与えている。 シカマルは重たい身体を起こすと、しょうがなくベッドから下りる。今日は学校が休みだ。早起きする理由はないのだが、また寝直す気分にもなれない。階段を下りてダイニングに入ると、トーストにかぶりついているナルトの姿が見える。 「おはよーシカマル」 「お前、早えーな…」 休日は惰眠を貪っているはずのナルトにシカマルは首を傾げる。 「なんか、珍しく目が覚めたんだってばよ」 「へ〜…んで、腹が減ったってか?お前、欲望に素直だな」 欲望に素直なのは自分なのだが、それは棚上げ。ナルトはアッカンベーをしながら、ポタージュスープに口をつけている。シカマルはふと、いつもより静かな事に気が付く。 「…母ちゃん、どっか出かけたのか?」 それにしては、少し早すぎる時間である。 「あ、そうそう。なんかさ、おっちゃんと二人で出かけたんだって。なんか、親戚の誰かが具合悪くて入院したとかナントカで」 「完結な説明だなぁ…」 「ご飯は店屋物取っても良いし、外食してもいいって」 ナルトは茶封筒をシカマルに差し出す。何も思わずちらりと中を覗いたシカマルは、食事代にしては高額な中身に眉を上げた。 「急いでたんだな。母ちゃんなら、なんか食うもんくらい用意してから出かけるだろ?」 その余裕がないほどに慌てていたのだろうか。シカマルは、親戚の面々を頭に思い浮かべるがポックリ逝ってしまいそうな人物は思い当たらなかった。 「えっと、遠いんだって。その親戚の家。だから、今日は帰って来られないって言ってたってばよ。多分、後からシカマルにも電話とかあんじゃねえのかなぁ?」 「え?」 動揺してしまったのは、ナルトと二人きりで過ごすと言う事実について。別段と特別な事でもないのに、なぜだか鼓動が激しくなる。 「シカマル。オレ、もう一枚トースト食うけど…シカマルも食う?ついでに焼くってばよ?」 「あ、ああ……そう、だな。頼むわ……悪りぃ」 シカマルの指定背はナルトの隣の椅子である。そこに腰かけながら、ナルトの背中を見つめる。
特別なんかじゃない。 二人きりなんてシチュエーチョンは今まで掃いて捨てる程あったのだから。
それでも、シカマルには今日が“特別”に感じてしまっていた。
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勝手設定第四弾!(笑)
起きている時に妄想(ゆめ)を見すぎなのか、シカナルの夢を見た事がないです!
悔しいな〜。
さてはて、特別な二人きりになるのでしょうか(笑)
いや、ベタ設定でいくので(^^ゞ