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注意:激しく、ネジヒナです!苦手な人は読まない事をお勧めします。

 

 

 

 

Do Me More 2

 

 

 ネジの家に案内されたナルトは、何重もの驚きを感じる事となった。目の前で照れたような、はにかむ様な笑顔を見せる同期生をじっと見つめる。

「えっと…ヒナタがネジと……結婚したってことなんだってば?」

「え…?」

「えっとさ、その…腹でっけえけど……それって、ネジとヒナタの…」

 ナルトの後頭部をネジがぱしんと叩いた。それを摩りながらネジを睨みつけると、彼は不機嫌を露わにして反対に睨みかえされた。

「当たり前の事を聞くな!」

「か…確認してんだってばよっ!!」

「予定日、近いから。きっと、前にナルトくんに会った時より大きくなっててビックリしたんだよね?」

 ヒナタの視線が痛い。ナルトはぐっと口を瞑る。そんな様子をみて、ヒナタはネジに視線を移した。

「火影様は、記憶が混乱している。しかも、うずまきナルトとしては十六までの記憶しかないんだ。何か手掛かりはないかと、家に連れてきたんだが……」

「え…?記憶が混乱してるって…」

「オレってば、十六までの記憶しかねえんだってば。火影になってんのも不思議つうか…色々びっくりだってばよ。ヒナタがネジと……」

 ヒナタは驚いたようにネジを見上げる。

「大丈夫、一過性のものだと……思う」

 歯切れの悪いネジの言葉に、ヒナタの表情も暗くなる。その肩にネジの手がぽんっと置かれる。ヒナタは唇に笑みを浮かべた。

「だから、ネジ兄さんアルバムって言ってたんだね?」

「ああ、色々とな」

 ネジの言葉に含みを感じたヒナタは首を傾げる。ネジは力なく笑いかけると、ヒナタの背を押して家の中に促す。ナルトもその後ろをとぼとぼとついて行った。

 

 

 

 

 ぺらぺらとヒナタから渡されたアルバムを捲る。

「サクラちゃん…いの、チョウジにキバ……サスケ」

 指先でアカデミー時代の写真をなぞるナルトの指が止まった。

「…シカ、マル」

 シカマルの隣で満面の笑みで居る自分。下忍になってからのメンバーの中には、しっかりとシカマルが居る。ナルトは写真の中のシカマルをじっと見つめる。

「えっと、思い出せない?」

「ん…なんてえか、不思議だってば」

「不思議?」

 ナルトの言葉を復唱したヒナタは、ナルトの前に新しい湯呑を置く。

「なぁ、ヒナタ。オレって、シカマルと仲良かったってば?その…ヒナタの目から見てだけどさ」

「男の子同士って羨ましいなぁって思ってたかな。キバくんやチョウジくん、それにシカマルくんと四人でいつも仲が良くて…」

「四人で…?」

「うん…私から見たら、とても仲が良くてね。私たちが下忍になってからもそうだよ。シカマルくんとナルトくんは………信頼し合ってたと思うけど」

 信頼、という言葉を聞いて胸の奥がツキンと痛くなる。どんなに探しても自分の記憶の中にシカマルの影はない。不思議なくらいすっぽりと抜けてしまっているのだ。自分とシカマルの仲が良かったのは周知の事実である事は確かなようだ。

「シカマルくんと居る時のナルトくんは、とても自然体だったよ」

 ヒナタの笑顔にナルトは肩を落とす。今では全然違う。シカマルを見ると緊張してしまう。気にしない様にしようとしても、逆にぎくしゃくしてしまう気がした。

「怒ってんのかなぁ…シカマルの奴。オレが忘れた事…だからあんな……」

 冷たい態度なのだろうか。ふとナルトは考える。もしかしたら、冷たいのではない。普通なのかもしれない。それを自分が勝手に「冷たい」と思っているだけなのではないだろうか。そう感じてしまっているだけではないだろうか。大切な何かを思い出せない歯痒さから溜息が洩れる。

「訳わかんねぇ…」

 落ち込んだナルトの姿を見て、ヒナタもがっくりと肩を落とした。

「ヒナタ、そんなに落ち込む事はない」

 横から見ていたネジがヒナタの肩にぽんと手を乗せる。ナルトからしたら、この二人も不思議な関係だ。どこから見ても仲睦ましい二人。この二人のように、自分とシカマルの間にも信頼関係が築かれていたのだろうか。

「ヒナタ、アルバム借りていいか?」

「あ…うん。いいよ」

「ナルト。シカマル以外に、分からなかった人間は……居ないのか?」

 ナルトは答えられない。それが答えだった。俯いたナルトを見て、ヒナタとネジは顔を見合わせる。

「お手上げだな…」

 ネジが漏らした笑みは、心底困っている様に見えた。

「ネジ。悪りぃな…オレ、帰る」

「ああ…送ろう」

「いいってばよ。一人で帰れるって!」

 本当は一人になりたかったのだ。ぐちゃぐちゃになっている心の中の割合は、何故かシカマルで占められている。彼が自分に対して見せた柔和な笑み。忘れようとしても忘れられない。そして、自分の事を火影としてしか見なかった彼。憎まれ口を叩いてしまうくらいには動揺していた。自分の事を嫌いなのではないかと口にして、勝手に傷ついた。ネジに失笑されてしまうくらいに。

 見送りは玄関までと言って、身重なヒナタを気遣う。心配そうに見つめてくる瞳は、ナルトの知らない強さを秘めていて。彼女もこの十年間で変わったのだと知らされる。

「じゃあな!」

 ナルトが手を上げて背中を向けた歩き始めた所で、ヒナタが駆け寄ってくる。

「ナルトくん!」

「ヒ、ヒナタ…走んなって。腹でけえんだから…!」

 ヒナタはぎゅっとナルトの腕を掴むと、じっとナルトの瞳を見つめる。

「ナルトくんは、火影になって日向を変えてくれるんだって言ってくれた。私とネジ兄さんの結婚の時も……色々、力になってくれたよ。私が、すごく嬉しかったのはナルトくんが……信じて求める事を忘れちゃだめだって言ってくれた事なの。諦めるなって…言ってくれたことなんだ」

 ヒナタがにっこりと笑う。その優しい雰囲気にナルトの気持ちも軽くなる。

「サンキュ、ヒナタ」

 ヒナタの肩にそっとストールを掛けたネジが、ナルトを見て頷く。

「大丈夫だ、ナルト。一晩寝て起きたら元通りって事も考えられるしな」

 ナルトはくすりと笑うと「おう!」と答え、もう一度手を振った。

 

 

 

 

 ぶらぶらと木の葉の街を歩く。声をかけてくれる人に、緊張しながら答える。火影を超える火影になり、里の者に認められる存在になりたい……その夢が現実のものとなっているのに、ナルトの心は晴れない。暗雲が立ち込める様な靄がかかって、気持ちが落ち着かない。火影の住む住居に入り、ネジに教えられた部屋に進む。その部屋の扉を開けたナルトは、思わずヒナタから借りたアルバムを床に落としてしまう。

 部屋の光源の向こう側に見つけた人影。彼はその物音に気が付いて振り向いた。

「…シカマル?」

 彼は数冊の書物と巻物を手にしている。

「あの…どうしたんだってば?」

 なるべく普通に、そう思うと反対に緊張してしまう。シカマルは手元の本を掲げて、張り付けた様な笑みを見せる。ナルトの胸がまた痛む。この違和感はなんなんだろう。ざわざわと神経が高ぶって、気分が悪くなる。

「…ちょっと、これ取りに来てた」

「本…?」

「この部屋には俺の荷物が結構あるんだよ。お前も俺に寝室までうろちょろされると邪魔だろう?」

 同期で、仲間で、信頼して…自分が傍に居て欲しいと願った男だとネジは言った。ナルトは心臓の鼓動がどくどくと大きな音を立てているのを感じる。昼間のような冷たい視線は向けられていない。なのに、どうしてこんなに苦しくなるのは何故なんだろう。

「オレの部屋に…シカマルの荷物があるって事は、オレとシカマルは……すんげえ仲良かったんだろ?」

「…そうだな」

「オレがシカマルを邪魔なんて…思わねえってば」

 シカマルはふっと笑って、視線をナルトに移す。

「ま、無理すんな。ばればれだっての…何年つるんできたと思ってんだよ。お前の考える事なんてお見通しだ。別に…虚勢張る必要ねえし」

 ナルトはぎゅっと唇を噛みしめる。自分の横を通り過ぎようとしたシカマルの腕を思わず掴んでしまった。

「ナルト…?」

 咄嗟の行動にナルトも内心焦る。だけど、シカマルの腕を離さない。どうしてか、そうしてはいけないような気がしたのだ。シカマルに火影ではなく、名前を呼ばれた事が素直に嬉しい。

「……オレ、すげえ混乱してて。その…うまく言えねえけど」

「だから、無理すんなって言ってるだろ?――――― 俺との関係は、これからでも築ける。お前が信用したいと思う男だって分からせてやるから、安心しろよ。今までの事は…いいじゃねえか。俺は奈良一族の奈良シカマル、これで…いいだろ?最初から、やり直そうぜ」

 シカマルを握った手が震える。シカマルなりの優しさを感じる言葉は、きっと自分との関係に妥協する道を選んだからだ。ナルトには、どうしてかそれが納得できない。

「やだ…やだってばよ!オレは……やなんだってばっ!」

「おい、ナルト…」

「オレ…シカマルに冷たくされると…すんげえ苦しくなんだって。なんでか分かんねぇってば。だけど、オレの失くしてる記憶は、めちゃ大事なもんだってわかんだ。シカマルがオレとの事否定してるみてえで…なんか、分かんねえ…もうっ!滅茶苦茶だってば」

 ナルトの頭の上に、ふわりと温かい掌が乗せられる。

「バカ野郎…泣くなって」

 手の甲でごしごしと目を擦ると、その手をシカマルに止められた。

「ンな擦んな!目に傷がつくだろうがっ!」

「止まんねぇもん…」

「ほんとに、お前は昔っからバカなんだからよ」

 シカマルの本当の姿を見れた様で、ナルトは嬉しくなる。本気で自分を馬鹿にしている言葉でないと分かる。きっと、自分はこの男の事を本当に信頼し、好きだったはずなのだ。どうして、そんな大切な記憶を失くしてしまっているのか…自分自身でも不思議でならない。

「教えてほしいんだってばよ…オレ、シカマルの事なんで忘れちまったか分かんねぇけど…」

 ぐずりと鼻をすすると、シカマルが優しい笑みを見せてくれる。心の中がほわんと温かくなった。そして、全身の血液が顔に集まった様に頬が熱くなる。

「悪りぃな…ナルト。これでもお前に忘れられて拗ねてんだよ」

「ネジの言ってた通りだってばね」

 昼間はぎくしゃくしていた雰囲気が、今では少し柔らかいものに変わっている。

「オレ、自分で忘れといて贅沢かもしんねえけど………あのさ、シカマルとの昨日も明日も、全部知りたいんだってば。忘れたから…それで終わり、で新しく始めようとか。――――― シカマルとの間では考えるのも、すごく変な気持ちになって嫌だったから」

 睫毛に隠れてしまった青い瞳が、まだ涙で潤んでいる。シカマルはそんなナルトを抱きしめたい衝動にかられた。

「忘れた方が…良い事も、あるかもしんねぇぞ」

「きっと、そうゆうの含めて…オレはシカマルのこと必要としてたんだと思うんだってば…」

 信じて求める事。そうすれば、自ずと答えは見えてくるのではないか。ヒナタに自分がそう言った様に、シカマルの事も同じなのではないだろうか。

 ナルトは思う。自分の記憶が十六まで遡っている事と、シカマルの記憶がない事は何らかの関係があるに違いない。その答えを、シカマルが知っているのではないか。そう思えてならないのだ。

「シカマル…だから、オレのこと嫌いにならないで欲しいんだってばよ」

 ナルトはぐいっと腕を引かれた。

「シカマル…!?」

 ナルトの身体はすっぽりとシカマルの腕の中にあった。ただ動けないでシカマルに抱きしめられる。最初は何が何だか分からなかったナルトも、布越しに伝わる温かさにそっと目を閉じた。こつんと額をシカマルの肩に乗せる。

 理由もなくそれが心地よい。気持ち良くて、やっぱり切なくて涙が出そうになった。刺々しかったシカマルの口調は、優しいものに変わっていて、自分を抱きしめる腕もとても温かい。

 ナルトは、今日初めて安堵する気持ちを感じた。

 

 

 

 

  

 

 

 

難関は、ネジヒナなのでした…

何回書き直したか()

ネジとヒナタはナルトスキー同盟なのです(ってブログに書いたよなぁ)

ナルトはやっぱシカマルが居ないと!

次くらいでエンドマーク打てるかなぁ(希望)