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A story of the first love 7

 

 

「そうだ、君は口がきけなくなったんだったんだよね」

 カブトはそう言いながら、ナルトの手を取った。ナルトはびくりと震える。それを見たカブトは安心させるように笑みを浮かべた。

『大丈夫、僕の声が聞こえるだろ?』

 ナルトは頭の中に響いてきた声に驚いて顔をあげた。

『君の声も聞こえるよ、心の中で話してごらん?』

『ほんとだってば?』

『本当だよ…ね?』

ナルトは頷くと、カブトの顔を凝視した。不思議な事に、カブトの声が直接頭中に響いてくるのだ。

「チャクラを上手くコントロールすれば、これくらい簡単なことなんだよ?」

『へぇ〜すごいってばよ!』

 感心したように言うと、カブトはくすくすと笑った。

「君は、あの少年を好きなんだろ?首尾はどうなんだい。大蛇丸様との賭けには期限があると言う事を、忘れた訳ではないだろうね」

 確かめる様なカブトの口調に、ナルトは瞼を伏せた。シカマルに対する気持ちは日に日に大きくなっていくが、それが恋なのかと聞かれると首を傾げてしまう。もう一度会いたいと思ったシカマルに会えた事が嬉しい。一緒に居て楽しい。彼と一緒に居ると、退屈しない。

『カブトの兄ちゃん。オレってば、恋とかやっぱイマイチわかんねぇんだってばよ。シカマルと一緒にいたいと思うけど……』

「それはそれは……困ったね。そんなあやふやな気持ちのまま大蛇丸様と賭けをしたんだ」

 ナルトは黙ってしまう。

「君の気持ちは別としても、君には時間ない事だけ……僕からの警告さ」

『カブトの兄ちゃんは大蛇丸の部下なんだろ?なんでオレに優しくしてくれるんだってば?』

 カブトは後方に人の気配を感じる。ナルトの肩をぽんと叩いた。

「ほら、行きな。この社に近づかない方がいい。君のお父上はとても優秀な方だ。いくら大蛇丸様の薬で妖狐の気配が消されていても、君からトラップに近づいたんじゃ意味がないからね?」

 カブトはナルトの前から素早く消えた。そして、茂みに隠れながらじっとナルトを伺う。

「君が簡単に妖狐の長に捕まっちゃ、こちらとしても都合が悪いからなんだけどね……」

 ナルトに優しくしてやるつもりなんて毛頭ない。今の様子ならば、大蛇丸は容易く九尾の力を手に入れる事ができるだろう。約束の日までもう一週間程しか残っていないのだ。ただ、その期間ナルトが妖狐に見つかってしまうのは困る。大蛇丸の封印術を解かれてしまう恐れもあるからだ。そんな自分の事を優しいと感じるナルトのお気楽さには正直呆れてしまう。カブトとしては大蛇丸のゲームを遂行する為に動いているとしかないのだから。

 

 

 ナルトは大荷物をよいしょと抱えた。カブトが言うように、社には近寄らない方がいいみたいだ。それならば、来た道を少し戻って反対側から帰る必要がある。

 はあっと息を吐くと自分の前に影が出来た。

「なんだ、坊主。随分息が切れてるじゃねえか」

 ナルトはぶんぶんと首を振る。にかっと笑った男に見覚えはない。誰かに似ている気がするが、それが誰なのか咄嗟に思い出せなかった。

「遠慮すんな。お前、どっち行くんだ?」

 ナルトはしょうがないと言ったように、指を指す。その方向を見た男が、顔をしかめた。その表情の変化にナルトもびくびくしてしまう。

「あっち……か。俺も同じ方向だ。途中まで荷物半分もってやる」

 ナルトは遠慮したい気持ちで両手を振る。そんな事もお構いなしに、地面に置いてある荷物の一つを持った男を見上げる。それを止めようとすると、男が首を傾げた。

「なんだ、おめえ……口がきけねえのか?」

 ナルトはおどおどしながらもこくりと頷く。

「心配すんな。おっちゃんは悪党じゃねえからな」

 優しく笑った顔には、刃物でできた傷のようなものがある。確かにその笑顔は悪い人間のようには見えないが、これから向かおうとする場所はシカマルの家なのだ。それを誰かに知られてしまうのは少し怖い。適当な場所まで彼と行動を共にして、遠回りして家に戻った方がいいのかもしれない。そんな事を考えながら、ナルトは感謝の意味も込めて軽くお辞儀をする。すると、男は驚いたような顔をしてからナルトの金髪をぐりぐり撫ぜた。

「躾が行き届いてる。それに、ここいらじゃ見かけねえ、珍しい髪の色だ。この辺の奴じゃねえなぁ…」

 詮索するような言葉に、思わずナルトは俯いてしまう。

「おっと…警戒させるような事言っちまったな。悪い悪い、さ…坊主行くか?」

 不安そうなナルトの表情に気が付いたのか、男は優しく笑いかけてくれる。ナルトもつられるようににっこりと笑い返した。

 

 

 

 

 シカマルとカカシの間に強い風が吹く。

「……数日前にナルトの親の臣下だと言うものが訪ねてきた。そこで、はっきり言ったはずだ。見かけた事は、ないって」

「ハイ、それ嘘!」

「鼻っから信じる気はないのか?」

 カカシはくすりと笑う。シカマルはその態度にむかっときて、顔を歪めた。

「だって、君…平気で嘘つこうとかしてるでしょ。だめだよ、大人を騙そうとかしちゃ」

「騙そうなんて思っちゃいねえよ」

「シカマルはあの夜の事が知りたいんでしょ。だったら、素直に白状しちゃいなさいな。ナルトの居場所、君が知ってるって事は調べがついてるんでね」

 ナルトはずっとシカマルの家に居る。今日などは一緒に外出もしたが、彼が自分の所に来てから目立つような行動は取っていない。彼の家の者が行方を捜していると言う事も知っているし、ナルト自身が帰りたくないような様子だからだ。

「なんだか、全部お見通しみたいな事言うんだな」

「お見通しだから」

 いちいちカカシの科白は癪に障る。あの夜の事は知りたい。あの少女にももう一度会いたい。だけれど、ナルトを切り売りするような事はシカマルには出来そうにもなかった。

「全部知ってんなら、ガキ相手にせずにさっさとナルトを探せばいいじゃねえか。アンタは言葉にしてるほど、ナルトの居場所に確証はないんだな」

 カカシの顔から笑顔が消えた。先程感じた殺気をカカシから感じる。ぶるりと鳴いた牡鹿が、シカマルとカカシの間に割って入った。自分の元にやってきた鹿の背中を一撫ぜすると、視線をカカシに移す。

「鹿は君ら一族の守り神だったな?」

「そーゆうこと」

「君はナルトの事は何も知らないだろう?俺はあの子が生まれた時から近くに居る。そのナルトの気配が全く感じられない……考えられないほどに。でも、シカマル……君の体からは僅かだけれど、ナルトの匂いがする」

 シカマルは目を大きく見開いてカカシを見た。

「匂いとか…気配とか……なんだってんだ」

「俺は頭の悪い子は嫌いじゃない。シカマルも神の使いである鹿に護られた一族なら、少しくらいは知っていてもいいだろう。世の中には人外な種族が居ると言う事を。俺もその一人だ。そして、君を助けたあの子も……人であるようで人ではない。だからこそ、シカマルを助ける事が出来たって訳」

 カカシは自分の事を人外の生き物だと言った。しかし、シカマルを助けた少女の事は、人であるようで人でない存在だと比喩した。

「君はナルトを知っている」

 シカマルはごくりと唾を飲み込む。

「簡潔に話を進めよう。君を助けた子は、俺の探しているナルトだ」

「……なん、だって?」

 シカマルは余りの驚きから口を噤む。

「俺は自分の手札を全て君にさらしたけどね?」

 ナルトを探しに来た者は、ナルトの風貌を金色の長い髪に青い瞳だと言っていた。それはこの辺りに住んでいる人間では当てはまる事がない容姿である。だからこそ、自分の家の前で倒れていた少年がナルトだと言う事はすぐに分かった。その髪は短く揃えられていたけれど、余り気にも留めてなかったのである。世間慣れしていない振る舞いは、本当に人間の世界の事を知らないと言う事だったのだろうか。

「そんな事、信じられるか!ナルトが、俺を助けたあの少女だってのか……?」

 自分に問いかける様な言葉に、カカシは溜息をつく。

「だって、真実だから。しょうがないでしょ……信じる信じないはどっちでもいいんだけど。俺的にはナルトの居場所が見つかればいいんだよね。この辺りは、君の一族の結界が強すぎる。こちら側としても動きにくい事を考慮してくれ」

 シカマルは信じられない現実を突き付けられた気分で居る。ナルトと自分の探している彼女が同一人物。確かに、女物の着物を身に纏い女結いしてある髪を見れば、あの状況で性別の判断をするのは難しかったかもしれない。

「ナルトの居場所は……知ってる。知ってるけど、もう少しだけ待ってくれないか?」

 シカマルは振り絞るように言葉を綴る。

「どうして?」

「あいつは……まだ家には帰りたくないって言ってんだ。もう少しくらいなら、待ってやってもいいんじゃないのか?ナルトは無事だ………俺はあいつに危害を加える気もない。約束できる」

「約束、ね……それを平気で破るのが人間なんだけど」

「嘘はつかねえよ!」

「シカマル、その言葉に命を掛ける事ができるか?」

「大袈裟だな、おっさん……」

 カカシはまたおっさん呼ばわりされた事に苦笑した。

「俺にとって、ナルトは貴様の命より重い存在だ」

 厳しい声色にシカマルの顔色も変わる。カカシは本気で言っている。約束を違える事があれば、確実に命を狙われる事が嫌でも分かった。

「別に構わねえ……」

 ナルトが自分の命を救ってくれた恩人ならば、シカマルも命を掛ける事が出来る。

「ナルトに何かあったら、俺を殺せよ」

 カカシは目を細めた。

「楽に死ねると思うなよ?嬲り殺しだ……」

 シカマルは冷酷な言葉にくっと唇を噛みしめた。

「好きにしろよ」

 カカシはにっこりと笑うと、颯爽とシカマルの目前から姿を消した。その一瞬の出来事に、彼が人外の者であると言う事が分かる。しかし、シカマルの前にいる牡鹿は何も反応しなかった。元々、自分に危害を加える様な類でないのだろう。カカシとシカマルの橋渡しの為にここに現れたという気もしてくる。

 シカマルは緊張が緩んだ所為で、その場所に膝をついた。あれほどの殺気を向けられたのは生まれて初めてだと言えよう。それに、ナルトの素性が少しずつ明らかになり自分の目的も果たされようとしている。

 シカマルは深い溜息をついて、空を仰いだ。

 

 

 

 

  

 

 

 

シカマルが真実…?を知りました。

少しずつですが、ナルトへの気持ちと自分の事を助けた少女()への気持ちが

リンクしてきます。

ナルトは大変そうですね〜。でも、カカシ先生にも大切にされてんですよね。

あ、もちろんミナトとクシナの子供だから、可愛いんだと思います。