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A story of the first love 16

 

 

 抱きしめ合ったまま、互いの鼓動を感じる。どちらともなく身体を離した二人は、顔を見合わせて笑みを浮かべた。

「シカマルは結婚する人がいるから、帰るんだと思ったんだってば…」

「それは全然、……関係ねえよ」

 シカマルはふうっと息を吐くと真剣な顔つきでナルトを見つめる。

「俺の気持ちは四代目に言った通りだ。嘘はひとつもねえよ」

「うん…ありがとだってばよ」

 ナルトは俯いて、ぎゅっと着物を握り締める。ナルトが浮かべているのは困った様な笑み。シカマルはナルトの気持ちを図り損ねた。

「やっぱ…オレが妖狐だから―――」

「それも違う!」

 シカマルはナルトが人外の者である事を知っていた。それを彼は知らないだろうけど、そんな事は関係なくナルトという存在に惹かれたのだ。

「オレ…大蛇丸ってやつと賭けをしたんだってば。その賭けに勝てば、大蛇丸はオレを人間にしてくれるって言ってくれた。だけど、シカマルには許嫁がいると思ってたし…そんな賭けは賭けにならねえとも思ってた。だから、シカマルがオレのこと好きだって言ってくれたの、すげえ嬉しいんだってば。自分のことしか考えてねえオレは、父ちゃんも母ちゃんも裏切ったんだと思う。オレの事を真剣に思ってくれる人の気持ちを考えた事……なかった。オレとしては、裏切るとかそうゆう気持ちは全然なかったんだってばよ」

「そうか」

 ナルトの話にじっと耳を傾ける。そうしなければいけない気がした。

「そんな事をしたオレは、もう父ちゃんや母ちゃんを裏切ってんだってば」

「ナルト……」

「この里も、父ちゃんも母ちゃんもオレはいっぺん捨てたんだ」

 シカマルを好きになったのは、罪なのだろうか。彼を求めてしまうのは、いけない事なのだろうか。自然と彼に惹かれ、彼と触れ合い自分の気持ちが確立した。シカマルを好きな気持ちに嘘はつけない。

「それに…オレは、助けられて生きてるけど、シカマルと一緒に居られないんなら死んでると同じことなんだって」

「俺は…」

 ナルトの気持ちを聞いて、シカマルはくっと唇を噛みしめる。

「俺には分からない。俺って言う存在がお前を幸せにできんのか……お前はここに居た方が幸せなんじゃねえのかって……そう思っちまう」

 ナルトはくすりと笑う。その瞳は少し潤んでいた。

「オレの幸せはオレが決めるんだってば。父ちゃんでも母ちゃんでもなく、オレが決めたんだってば。シカマルと一緒にいられる場所が、幸せになれる場所なんだってやっと分かった」

 ナルトは包帯が巻かれたシカマルの手を取る。

「オレ、死んでもいい」

「何言ってんだよ!」

「オレはシカマルを好きなまま死にたいって思った。その気持ちに嘘はねえもん。シカマルと同じだってばよ。オレも嘘はつかねえってば」

「そんな事、俺がさせねえよ」

「シカマル…」

「本当は掻っ攫ってでも、お前を俺のもんにしてえ。でも、それは四代目やクシナ様に立つ瀬がねえ…俺は、それだけはできねえ。あの二人がどれだけナルトを大事なのか、大切にしてるのか俺は分かるからだ。分かっちまったからだ。俺がお前の事を好きな気持ちとはちょっと違うのかもしれねえけど、四代目もクシナ様も……ナルト、お前を思う気持ちは本物だからな」

 ナルトの頭の中にクシナに言われた言葉が浮かんでくる。決して、同じ秤の上に乗らない感情。自分の事しか見えていなかったナルトの中に、新しい気持ちが溢れた。

「ありがとだってばよ…シカマル」

「だから、俺は筋を通してえ。四代目に認めてもらって、ちゃんとお前を俺のもんにしてえんだ……」

「オレも!オレも一緒に、そうしたい」

「決まりだな?」

 シカマルがにやりと笑う。それはナルトの好きなシカマルの笑顔。もう一度、こうやって彼の笑顔をみたいと願った。彼の気持ちを理解したいと思った。不器用な自分は、気持ちを言葉にするのは苦手だと言える。だけれど、シカマルを好きな気持ちは言葉にすることが出来るから。

「シカマル…」

 シカマルはナルトの言葉の続きを待つように首を傾げる。その優しい表情に心の奥が温かくなる。

「オレの名前……もらってくれるってば?」

「もらう?」

「ん。オレってば、波風ナルトって言うんだってばよ。この名前にかけて、シカマルを好きな気持ちに嘘はねえって誓える」

 シカマルはふとカカシやサスケの事を思い出した。自分に姓名を口にする事はなかった。それにサスケはそれを「禁じられている」と言っていた。

「ナミカゼナルト…」

 シカマルが口にすると、ナルトは嬉しそうに笑う。ふわりとした風が頬を撫ぜた瞬間、ナルトの唇がシカマルのそれに重ねられる。シカマルも瞼を閉じる。そして、ナルトを抱きしめ口づけを深くしたのだった。

 

 

 

 

 

「ねぇ、ミナト?」

 ぼうっとしているミナトにクシナが声をかける。ここはクシナの部屋である。いつまでも子供だと思っていた息子が恋に落ちた。その気持ちは恋を超えて、愛情にかわりつつある。自分の命を断とうとしたナルトの事を思うと、胸が苦しい。大蛇丸に唆されたとは言え、ナルトの中にそれだけの感情の変化があったと言う事になる。

「気が付いてる?ナルト、この里へ帰って来た時からずっと完璧に変化できているのよ」

「うん…そうだねぇ」

「真面目に聞いてる」

「ん?…ちゃんと聞いて――――――― …あれ、ほんとだ」

 気が抜けると尻尾が出てきたナルトが、人型で生活している。

「もしかして、あいつの封印の所為じゃないだろうな…」

 ミナトは、洞窟の中で久し振りに再会した大蛇丸の事を思い出していた。真剣な顔つきになるミナトに、クシナはくすりと笑う。

「全く…心配性なんだから。ナルトはナルトで成長したって事でしょう?」

「成長?」

「そう!ナルトは初めて冒険をしたけれど、その分成長したんだわ」

 さらりとクシナの長い髪が肩から落ちる。それを見て、ナルトの髪が短くなった事を思い出したミナトは暗い溜息をついた。

「ミナトだって、分かってるくせに」

「分からないよ!」

 クシナはふふっと笑った。

「そう?分かってるじゃない。ナルトもシカマルさんも、私たちかれ見ればまだまだ子供かもしれないけれど、あの子たちが抱いている気持ちは本物だわ。私がミナトを好きになったように…」

「俺が、クシナを好きになったように…?」

「ええ」

 ミナトは首を振る。一瞬でも絆されてしまいそうになった。

「あ〜ダメダメ。一過性のものだよ。きっと、あと数百年したらナルトも忘れちゃうでしょ」

「永遠かもしれない」

 ミナトはむっとして、クシナに寄りかかった。

「シカマルくんは妖狐の仲間にはならないよ」

「だから、ナルトが人間になりたいと思ったんでしょ」

 すれ違ってしまう会話にミナトは納得できない。じっとりとクシナを見つめる。

「クシナは、俺の味方じゃないの?」

「もちろん、あなたの理解者でいるつもり。だから、ミナトの気持ちを代弁してあげてるんじゃないの。お義父さまそっくりになってきてるわよ? 子供だった私たちが大人になったように、ナルトも大人になろうとしてるの。それは親として喜ばしい事じゃない?」

「口ではクシナに勝てそうにもないよ」

 息子と同じような表情で見つめてくるミナトの髪をすいてやる。

「問題が山積みな感じだな……俺はナルトに好かれたいとか嫌われたいとか、そうゆう感情から結論を出してる訳じゃないんだ」

「分かってる。私はミナトの理解者でいたいと言ったでしょ?」

 ミナトが口元に笑みを浮かべた所で、襖を叩く音が聞こえる。クシナとミナトは顔を見合わせた。この部屋までやってくるのは親しい者が殆どである。

「どなた?」

 クシナの声に、「わしじゃ、わし!」という返事が返ってきた。クシナは忙しい日だと思いながら返事を返す。するりと開いた襖の向こうから自来也が現れた。

「なんだ、ミナトもおったのか?」

「わざとらしくないですか…?先生」

「何を言っとる。丁度よいわ。お前にも話したい事があるしの」

 ミナトが胡坐をかいて座ると、自来也もその前に腰を下ろした。クシナは姿勢を正すと、深く頭を下げる。

「自来也様、ナルトの事では本当にご迷惑をおかけいたしました」

「ナルトはわしの孫みたいなもんでな。迷惑などとは思ってはおらんからのう」

「まあ、ありがとうございます」

 クシナはにこりと笑った。自来也はその笑みがナルトと重なった。少し真剣な表情になりながら、ちらりとミナトを伺う。

「話と言うのは、ナルトと奈良の坊主の事だ」

 ミナトは眉間に皺をよせながら、はあっと息を吐く。

「私は、ナルトの気持ちを汲みたいと思います。もちろん、ミナトも同じ意見でしょうが…」

「クシナ!」

「あら、違うの?ミナトは問題が山積みだって言ってただけじゃない」

「確かに、問題はあるが…ないとも言えんか?ミナト」

 意見を求められたミナトは嫌そうな顔をしながら、そっぽを向く。

「ミナト、分からないふりをするのはいい加減にしろ。お前とて、奈良の坊主の事を嫌いではなかろうが」

「ええ…正直で、好感が持てますよ。嘘はつくようにも見えない。加えて、見た目よりも誠実そうだ。それに、ナルトが好きになった人間ですからね。悪人である訳がない…でも」

 クシナは初めて肯定的な意見を聞いた気がする。ミナトなりにナルトの事を考えている事も分かる。

「奈良一族とは、木の葉隠れの里でも有数の名家ですよ。神鹿を神の眷属とし、信仰深く歴史もある。私たち妖狐の一族同様にね。だからこそ、俺は反対なんだ。ナルトは妖狐でしかも男だ」

「だから、いいんだろうが!血が交わる事がないと言う事は、誰に阻まれる事なく共におれると言う事でもある」

「先生は、ナルトが人間として暮らしていけると?」

「それは…無理だろうな。あいつの中には九尾の妖狐がおる。強い妖の力を持っておる事も確かだ。その力をナルトからひきはがすと言う事は、あいつの死を意味するものでもあるからな…」

「そうですよ。それが結論です」

「しかし、お前の妖力を以てすれば…ナルトの時間を操るのは簡単ではないのか」

「先生…!」

「ミナト。お前の封印式で九尾はナルトの中におるのだぞ?」

 渋い顔をしているミナトをクシナはじっと見つめた。

「わしや大蛇丸は、その封印に新しい封をして九尾の力を抑制する事ができる。しかし、だ。それ以上のことは出来ん。してやりたくても…」

「人間の寿命は俺たちに比べると短い。彼の死を目の当たりにしたナルトが、それに耐えられるとは思えない!クシナとは違う。クシナは俺を受け入れて、この里へ来る事が前提で俺の力がいい方向に働いたと言えます」

 激しい感情をぶつけてくるミナトを見るのは久し振りだ。自来也から見れば、ミナトはクシナとの婚姻を決めた時と同じ色の瞳をしていた。

「仕様がなかろう……ミナト。ナルトもお前と同じで、奈良の坊主を真剣に思ったんだからの。人間だとか妖だとか関係なく」

 ミナトは感情を抑えきれず、ぎりっと唇を噛みしめた。

 

 

 

 

  

 

 

 

ずっとお休みしてたA story of the first loveですが…

どうも、説明が入ると(補足ってやつかな)

シカマルとナルトより、その周りの人たちで話を進めるしかなく(-_-;)

でも、ちょっとずつですが固まりつつある城壁。

シカとナルの気持ちは固まってんですがね(^^