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A story of the first love 15

 

 

 シカマルは掌に巻かれた白い包帯を見ながら溜息を付いた。

「…ナルト」

 思わずナルトの名前を口にする。すると、ふわりとした感触が首に巻きついた。

「オレを呼んだってばよ?シカマル」

 背中から抱きついてきたナルトを驚愕して見つめる。部屋に入ってきた事に全く気がつかなかった。それよりも、廊下につながる襖は閉じられたままだ。

「ナルト…お前、どうやって入って来たんだ?」

 ナルトはくすくす笑うと、シカマルに抱きつく腕に力を入れる。

「だって…オレは妖狐なんだってばよ?気配を消して部屋に入るくらいお手のものだって!」

「そう、か…」

「オレの事、怖くねえの?」

「怖くなんかねえよ」

「マジで?」

「ああ…」

 シカマルは傷ついてない方の手で、ナルトの頭を撫ぜた。耳元で、くすぐる様なナルト含み笑いが聞こえる。

「どうした?」

「シカマルって不思議だなぁって…」

 ナルトはシカマルの首から腕を外すと、ちょこんと彼の前に座った。そして、シカマルを見てにっこりと笑う。

「普通、妖なんてバケモンなんだから怖がるのが普通だってばよ?」

 首を傾げて見上げてくるナルトにシカマルは首を振る。

「別に、お前が妖だから好きになったんじゃねえよ。俺は、お前がお前だから好きになったんだ」

「本当に?」

「ああ…」

 シカマルの返事にナルトが瞼を伏せる。その悲しそうな表情を見て、シカマルは眉をひそめた。

「どうかしたのか?」

「父ちゃんが…シカマルとオレの事は認めてくれないって。オレ、やっぱりシカマルと一緒に居たいし…」

 シカマルは四代目の顔を思い出す。ナルトを見る目は慈しみに溢れていた。もちろんそれは母親のクシナも同じである。

「……シカマル、一緒にこの里を出るってばよ」

 真剣な目をして見つめてくるナルトにシカマルは目を見開いて首を振った。

「そりゃ、だめだ…」

「なんでだってばよっ!」

 ナルトの青い瞳が潤む。それから、縋りつくようにその身体が抱きついてきた。シカマルはぎゅっとナルトを抱きしめ返す。

「お前の事が好きだから…だめなんだ。ナルト」

「シカマル……オレの事、本当は好きじゃないんじゃないの?」

「ンな訳あるかよ!」

「じゃ、どうして?一緒にどこかに行こう……」

 甘えるようなナルトの口調。シカマルが口を開こうとした瞬間、目の前の襖がカラリと開いた。

「シッカマル〜!」

「ナル…ト?」

 襖の奥から現れたのは自分が腕の中に抱いているナルト自身だった。シカマルは訳が分からず、突っ立ったまま自分を呆然と見つめる青い瞳を見つめ返す。腕の中にいるもう一人の彼がシカマルに抱きつく腕にぎゅうっと力を入れた。

「誰…だってば?なにしてんだってばよ……シカマル」

 大きく見開かれた青い瞳は今にも零れそうだ。シカマルが抱きしめているナルトをじっと見つめている。と言うか、シカマルが誰かを抱きしめている事に驚いているのだ。

「…ナルト、お前がナルトなのか?じゃあ、こいつは…」

 シカマルは自分の腕の中に居るナルトをじっと見つめる。

「シツレーだってばよ。オレがナルトだってば!こいつってば偽物」

 シカマルの腕の中で顔だけをナルトに向けたナルトは、ぎろりと偽物を睨みつけた。

「し…失礼なのはそっちだってばよ!なんで、オレに変化してシカマルに抱きついてんだよっ」

「変化してんのはそっちだろ!」

 シカマルは困ったように二人のナルトを見つめる。着ている物も同じなら、その姿も全くの瓜二つだ。

「「シカマル!」」

 二人は声を揃えてシカマルの前に立つ。シカマルは呆れて口も開けない。このどちらかがナルトでない事は確かである。それに、ナルトに化けて自分に近づこうとしているのが誰なのかすぐに分かってしまった。シカマルは無意識に溜息を付く。驚きを通り越してしまったのだ。

「なに、めんどくせえことしてんすか?四代目……」

「え?父ちゃん?!」

 ナルトは驚いたように、もう一人の自分を見る。どこから見ても鏡に映る自分のようで、本当にそっくりなのだ。

「……なんで、父ちゃんがオレの変化してんだってばよ?」

 偽物呼ばわりされたのは、今までシカマルの腕の中に居たナルトの方だ。彼はぷうっと頬を膨らます。

「シカマル…なんでわかったんだってばよ」

「いや、おかしいと思ったんすよね。ナルトが気配消して俺に近づくとか…考えられないし。それに、ナルトに変化するのって、カカシや自来也様では考えられないってか……俺ン中では四代目しか浮かばなかっただけなんすけど?」

 他の者がナルトに変化するなど、四代目がゆるさないのではないか…単純にそう考えただけだ。偽者ナルトがぼわんっと変化を解く。

「ご名答!シカマルくん」

 ミナトはにっこりと笑う。その隣でナルトは憤慨したように、ミナトに食ってかかった。

「シカマルに抱きつくなんて、父ちゃんには母ちゃんがいるんだからオレのシカマル取るのなんて、ぜってーに許さないってばよ」

 ミナトはやれやれと言った様に、口元を緩ませる。

「別に俺はシカマルくんを誘惑しようとか考えてないけどね?」

「してるしてるしてるってばっ!いくら父ちゃんでも許さないっ」

「はいはい。俺としては、話の続きが気になるよ。シカマルくん?」

 ミナトの視線を受けて、シカマルは真剣に見つめ返す。そして、姿勢を正して正座した。

「俺がさっき言った事は、本心です。ナルトの事は好きだ…好きだけど、ナルトが俺と一緒に居るのがいいのか、それともこのままこの里に居る事がいいのか…俺には決められないんですよ。それはナルトが決める事ですから。それに、四代目やクシナ様がどれだけナルトの事を大切にしてるか、僅かな時間でも感じる事ができました。その気持ちをナルトに裏切る様な真似はさせたくないんすよね、正直なところ」

「矛盾してるじゃない…」

 シカマルは苦笑を浮かべると、照れたように鼻の頭をかいた。

「それも、分かってます。でも、ナルトを思う気持ちは真剣です。ナルトが俺に命を掛けようとしてくれたように、俺もナルトに命を掛ける事ができます」

「じゃあ、君がこの里に住んだら?」

 ミナトの発言にナルトは「なるほど!」と手を叩く。

「父ちゃんってば、めちゃくちゃ頭いいってばよ〜」

「シカマルくんがこの里に来てくれたら、ナルトも人間界に行かなくても済むしね。万時丸く収まると思うんだけど?」

 にっこりと笑うミナトに、シカマルはぽかんと口を開ける。今までの緊張感がどこかに飛んで行ってしまった気分であった。

「……いや、あの…それは」

「シカマルくん、命かけるって言ったよね?」

「言いましたけど…それとこれじゃ話が違うと思うんすけど?」

「同じ、同じ!もう死んじゃった気分になって、妖狐の里に永住しちゃいなよ」

 ミナトはナルトと同じ青い瞳をシカマルに向ける。その眼差しには少し期待も込められていることが伺えた。

「……それは、できないっすよ」

 シカマルはじっと考えたように押し黙って一言だけ返した。

「え!」

 沈黙を破る様にナルトが声を出す。ミナトはくすりと笑った。

「…だよねぇ?」

 最初から自分の答えを知っていたようなミナトの口調に、シカマルは苦笑した。ミナトは真剣な顔つきになって、隣で呆然としているナルトの頭を撫ぜる。

「ナルト。だから、シカマルくんの事は諦めなさいって言ったでしょうが」

「…父ちゃん、シカマルと二人で話がしたいってばよ」

 ナルトは俯いたまま、呟いた。ナルトはじっと畳を見つめている。その横顔が真剣でミナトは静かに頷く。シカマルに目線を向けると、彼は軽くミナトに頭を下げた。ミナトは軽く溜息をつくと、現れた時と同じように一瞬で消えてしまう。

 ナルトはシカマルの前にすとんと座った。

「ナルト…こうやって話をすんの、初めてだよな?」

 ずっと一緒にいたけれど、大蛇丸の秘薬により声を出す事が出来なかったナルトはシカマルと言葉を交わす事はできなかった。

「でも、オレってば…いっつも心の中でシカマルに話しかけてた」

 にこりと笑ったナルトは照れ隠しのように、へへへっと笑う。シカマルは湧き上がる衝動を止められないまま、ナルトの腕を引く。いきなりの事に驚いたナルトの身体は、容易くシカマルの腕の中に収まった。

「色々…悪かった。一言で済ませられねえことは、十分承知してるつもりだ。俺のみっともねえ感情で、お前を傷つけた」

 シカマルが何の事を言っているのかナルトはすぐに分かる。無理やりに身体を開かれた時の事をシカマルは言っているのだ。

「怖かったけど…でも、全然後悔とかしてねえんだって。オレ…」

「ナルト?」

「オレはシカマルが、すんげえ好きだから…後悔なんてしないんだってばよ。自分の気持ちに嘘はつけねえもん」

 ナルトはそっとシカマルの肩に頬を寄せる。

そして、感じた。シカマルの心臓の鼓動。彼が生きている証。それを愛しいと思う気持ち。

「一番やだったのは、オレの気持ちがシカマルに届かない事だったんだって。それに……シカマルは里に帰ったら、婚約者とケッコンするんだって聞いたし……なんか、頭ン中ぐちゃぐちゃになっちまって」

 ナルトは自分がしようとした事を思い出してぶるりと震える。シカマルの命を奪えば、彼を自分のものにできると思った黒い感情。

「オレの方こそ、ごめん」

「ナルト……結婚とか婚約者って何の事だ?」

「だって!シカマルの父ちゃんが……だからシカマルを連れ戻しに来たんじゃねえの?」

 二人は顔を見合わせた。

シカマルは口元に優しい笑みを浮かべる。

ナルトはきょとんとした顔でシカマルを見つめる。

「ケッコン…しねえの?」

「するかよ、めんどくせえ。ありゃ、親父が難癖付けてきただけの話で…出任せちゅうか。それより、それってナルトが嫉妬したって事か…?」

 ナルトは恥ずかしそうに頬を染めてコクリと頷く。シカマルから視線を外したナルトをもう一度抱きしめた。

「なんか…マジですれ違いってやつだったんだな」

 シカマルは腕の中で身じろぐナルトの身体をしっかりと抱きしめた。

 

 

 

 

  

 

 

 

うぎゃ〜…

ミナトがJニーさん状態に(-_-;)

「妖になっちゃいなよ、住んじゃないよ! you!」って感じ?

つうか、やっとシカとナルが話できんですが…

この、なまぬるい雰囲気のまま次回へ続く…