グルメ

 

注意 ナルトさん女装してます。好きでない方はブラウザの「×」で閉じてください。

   女体化でないので、ナルコさんに非ず(笑)

 

 

 

 

Candy Girl 7

 

 

 きらきらと、ふわふわで。

 ナルトの目の前がきれいなもので埋め尽くされる。光に透けるステンドグラス。沢山の花で飾られた空間。そこに居る人は皆いつもとは違う恰好で居る。それはナルトも同じであった。薄いピンクのシフォンのティアードワンピース。金色の長い髪が太陽に反射して、まるで天使のようだと視線を集めていた。

ナルトは、大きな神様の家に居る。真ん中の赤い絨毯の上を真っ白いドレスを纏った花嫁が歩いていく。そのベールを持ってナルトも一緒に歩いた。

 祭壇の近くでミナトに呼ばれて膝辺りに駆け寄る。抱っこされると、一気に視界が高くなった。

「きれいだねえ、すごいってばね〜」

 たどたどしい言葉にミナトが「そうだね」と小声で返した。

「あっ!パパ、お姉ちゃんちゅうしたよ。ねえねえ、ママぁ」

 ミナトの腕の中から身体をよじったナルトに、隣にいたクシナが腕を出す。

「そうよ、ナルちゃん。神様の前で、ずっと好きでいますって約束をしたのよ」

「だから、ちゅうするの?」

「うん、そうよ」

「パパとママもしたの?神様の前でちゅうしたんだってば?」

 くすくすと小さな笑いが聞こえる。クシナとミナトも視線を合わせて、ふふっと笑った。

「そうねえ、ナルもいつか大好きな人とね」

 

 

 

 ちかちかとした視界の中の光。懐かしい夢を見た。忘れていた小さな頃の。

 暗かった部屋に太陽の光。差し込む朝の来た合図。ナルトはゆっくりと瞼を上げた。

 最悪な感情のままベッドに崩れた事だけは覚えている。どれだけ泣いたのか分からないし、どれほどの後悔が胸を切り裂いたのかも覚えていない。

 目元にひんやりとした感覚に、その視線を彷徨わせた。そして心配そうな顔つきで自分を除き込むクシナの姿を見つける。

「…マ、マ……?」

 そんな風に母親を呼ぶのは久しぶりである。クシナはにっこりと笑った。

「ナルトったら洋服のまま寝るから、しわになってるわよ?」

「…あ、うん」

「それに瞼が腫れちゃってる」

 ナルトはいつもより瞼が重たい理由を知る。それから自分が部屋の鍵を閉めた事を思い出した。母親が目の前に居るという事は、外側からでも開けられるようになっているのだろう。だけれど、昨夜はナルトを放っておいてくれた事に感謝したい。大声で叫びたくて、涙をぬぐいたくもなくて。どろどろになった気持ちの行き場がどこにもなかった。

「何かあったのかなんて、聞くのは反則?」

「わかんないってばよ」

「楽しくなかったの?」

 シカマルとのデートの事を聞かれているのだとすぐに分かる。

「あ、学校行かないと…」

「バカね、ナル。今日は祝日でしょう?」

「父ちゃんは……下にいる?」

「お仕事」

 ナルトはほっとする。こんな姿をミナトに見られたくない。

「楽しかったってばよ。ご飯食べて、水族館行ってきたんだって。すごく、綺麗で面白かった」

「面白いのにキレイなんて、ナルトらしい表現だってばね」

「あのさ、母ちゃん。やっぱ……婚約とかそうゆうの、やだってばよ」

 ナルトの目尻に新しい涙が溢れる。

「シカマルってば、すごくい奴だし騙すとか……嫌なんだって」

 唐突な告白にナルトの顔が少しだけ大人になったように見えた。

「ナルト……」

「シカマルの事、好きだから……本当の自分じゃなくて騙して会うのとか、すごくやなんだってばよ」

 こんな自分の都合は仕様がない事だと、今まで生活してきた。友達ともうまくやっている。彼女たちと遊ぶのも楽しい。

「ナルト、本当にシカマルくんの事が好きなのね」

「………好き、だってばよ」

 言葉にするだけで胸の奥が痛い。きゅうっと締め付けられるような感情に満たされてしまう。

「も、二人で会いたくねえし」

 嘘が口から零れて、また新しい傷が増える。ずずっと鼻をすすりあげると、困ったようなクシナが自分を見ていた。

「もう、嫌だ」

「ナルちゃん……」

「ほんとは、オレ…怖いんだってばよ。本当の事知られて、最低な奴だってシカマルから思われんのとか…すげー怖い。嫌われたくないんだって……楽しかったんだって。すごく、シカマルと一緒にいると楽しくて、自分が悪いことしてるって…だからっ…」

 自分自身に嫉妬している。

女の子だと思われているナルトに。

男という存在の自分が、醜いほどに。

「シカマルくんが自分の誕生日にナルトを誘うくらいだから、好意を寄せてくれてるって事なんだろうね」

「母ちゃん。シカマルの誕生日、知ってんの?」

 抜けたナルトの質問にクシナは少し驚いたようだ。色は違うけれど同じ形をした瞳が大きく見開かれる。

「やだ、ナル。知らなかったの……?」

「知らないってばよ」

「…一応、先方さんにお礼をね。ナルトを誘ってくれたんだし」

「そう、なんだ…」

 形だけは婚約者。奈良家でナルトの事情を承知しているのはシカクだけなのだろう。ますます肩身が狭くなってしまう。ぎゅうっと枕に頬を押し付けた。

「ナル?」

「大丈夫だってばよ。……顔、冷やさないと帰ってきた父ちゃんが発狂するってばね」

 覗き込んできたクシナが、優しいキスをナルトに頬に落とす。その口づけにナルトは胸が締め付けられる。シカマルとしたキスは、違う。もっと、違う感情を伴っていた。

「ごめんね、きっとナルの気持ちを考えていなかったわ」

「大丈夫だって!オレの方こそ、心配させて…ごめんってばよ。あんま考えねえようにするし、シカクのおっちゃんが言ってたみてーに、シカマルと付き合う必要ないし。ホラ、父ちゃんも必要なのは牽制だって言ってたし……」

 ナルトは精一杯の笑顔を作るとがばりと起き上がる。一瞬、頭がくらりとしたけれどシワだらけのワンピースを脱いだ。それから気軽なルームウェアに着替えると「腹減った!」と呟いた。

 クシナはシカマルとのデートへ出かけるナルトが膨れていた理由をようやく知ったような気がした。同年代の男の子に面識がないのと、避けている節があるのは前から分かっていたけれど、こんな厄介な事になっているとは思いもしなかった。シカクには悪いけれど、シカマルがもっと“感じが悪い子”ならば、ナルトの気を惹く事もなかったのだろうか。泣きはらしたような真っ赤に腫れた瞼。こんな事は今まで一度もなくて、クシナも困惑してしまっている。シカマルの事が嫌いでない分、ナルトの中に罪悪感が生まれているのだろう。

「下で軽いものを用意するから、おりてきないさい」

「サンキュ」

 母親の背中を見送ったナルトは、無意識に自分の唇に指先を乗せた。この唇が、シカマルの唇に触れたのだ。ダメだと思ったけれど、拒めなかったのは……シカマルにキスして欲しい自分が居たからだ。彼の事を特別な感情で見ている自分が居たからだ。

「でも、ダメ…なんだってばよ」

 シカマルが好きになったのは、本当の自分ではない。それに、本当の自分を見せる事はできない。クシナに告げたのは本心だ。彼に嫌われたくない。もう会う事はなくても、それでも、心の隅っこの方で自分を好きでいて欲しいなんて欲張りが溢れてくる。胸を満たすのが懺悔でしかなくても、シカマルを好きになった自分は、紛れもなく偽りのない自分。認めてしまうのが怖かったけれど、今は思ったよりも清々としていた。

 

 

 

 風が秋のものに変わった気がする。ナルトは遠い空を見上げて、溜息をついた。

「やだっ、ナルには似合わないよ〜」

 右からはいの、左からサクラに腕を掴まれたナルトは驚いて二人の顔を交互に見た。

「なっ…いきなりなんだって!」

「だってね、いの。ナルトが地球の裏側まで行っちゃいそうな溜息ついてんだもん」

「言ったでしょ、アンタに溜息とかアンニュイな雰囲気とか全然似合わないのっ!」

 明るい笑い声はいつも教室で中心となって周りを盛り上げる二人のもの。

「ナルに声かけてんのに、さっさと無視して帰っちゃうしさ」

「ゴメン!そんなつもりはないってばよ」

「ホント〜?今だって、ああ秋がくるわ…みたいな溜息だったじゃない」

 ナルトの腕を放した二人は、両隣で肩を並べながら笑顔を向けてくる。

「元気ないんだもん、ナルト。今週入ってからずっと暗〜いまんま」

 いのの細い指がナルトの鼻をむにっと掴む。

「あ、ナルト超変顔〜」

 そこでナルトもぷっと吹き出した。心配して追いかけてきてくれた友人に心から感謝したい。

「ねぇ、久しぶりに甘いもの食べて帰ろうよ」

「ケーキ?」

「…ん〜洋菓子ってよりは和スイーツな気分。この間ね、紫いものケーキ食べたんだけどすごくおいしかったんだよね」

「いの〜、素材はなんであれケーキなんだから、洋菓子じゃないの?」

「違う違う、甘味処なのよ」

 一気にぱあっと明るくなる空気にナルトも知らずと笑顔になる。どうしても一人になると、ふっとシカマルの事を考えてしまう。何度も携帯に着信があったけれど、無視しているのだ。何を話していいのか分からないし、もう会うべきでないとも思っている。寂しいような気持ちを誤魔化したいのに、心はとても正直だった。ふとした瞬間に思い出してしまうのだ。本当は声が聞きたい。シカマルに会いたい。建前だけで言い訳をいくつも作っているだけで、本当の気持ちに嘘をついている。

 抑えられない気持ちとか、せつなかったり苦しかったりする複雑な感情。笑顔を作るのも苦痛で、なんとなく仲間の輪から外れていたのも確かである。サクラもいのもそれを心配してくれたのだろう。

「来週から衣替えだね。夏服とも来年までバイバイだよ」

「私、好きだけどな。冬の制服」

「しばらくはまだ昼は暑苦しいよ?」

 いののおすすめのお店と言うのが彼女の家の方角に当たるらしい。サクラもナルトもどちらかと言えば自宅から反対方向になるのだが、多少お喋りをしても駅まで行けば明るい内に帰宅する事ができるだろう。

「あれ?」

 電車より早いという事でバスを使ったのだが、降車した所でいのが素っ頓狂な声を上げる。

「いの、どうしたの?」

「いや、珍しくさ。アイツ、幼馴染みたいな感じなんだ」

 ナルトとサクラはいのの指差す壁際に視線を移した。

 一瞬の出来事。ナルトの中から全ての雑音が消えた。壁に凭れながら小さな文庫を開いている横顔は、会いたいと思って、そう願う事を止めた相手。

 立ち止まったナルトは、一歩後ずさる。

「ナルト?」

 サクラの声を聞いたからか、壁に凭れていたシカマルが顔を上げる。文庫本にしおりを挟み込みながら、ゆっくりと振り返った。もちろん彼も驚いたような表情でいる。

「シッカマル〜!久しぶり」

 いのが手を振るとシカマルが眉を顰めた。少し迷っている様子を見せるシカマルに、ナルトは俯く。それを隣で伺っていたサクラは、首を傾げた。

「ね、もしかして……ナルトの婚約者って」

「えっ!ちょっと、ホントなの?」

 いのも真剣に驚いて振り返る。

「やだ、世間って狭いんだな。ナルの相手がシカマルか〜…へえ」

 縮こまっているナルトの腕をいのが引っ張った。

「ナルが元気ないのって、シカマルが原因だったりして?」

 こっそりと耳打ちされてナルトは固まってしまう。

「図星なの?」

 いのとサクラは視線を合わせて、どうしたものかと考える。ナルトが婚約者の彼に対して好意を抱いていたのは確かなのに、上手く行っていないというのだろうか。

「シカマル!突っ立ってないで、こっち来てよ」

「いいっ、ほんとに……いいから」

 焦って掴んだいののスカート。彼女はにっこりと笑っただけ。しょうがなくといった風に、シカマルがこちらに近づいて来るのが視線の端っこに見えた。

「……よう」

「聞こえてるんじゃない。呼ばれる前に来てよね」

「おいおい、いの…」

 俯いたままの金色の旋毛を見て、シカマルは苦笑しただけだ。いのはその見慣れない表情に、ふっと笑ってしまう。他人が騒ぐ必要もなく、大切な友人と幼馴染の気持ちは通じあっている。今はボタンのかけ間違いみたいな些細な事ですれ違っているのだろうと推測できる。

「なによ〜…シカマルも、婚約なんてしたんならちゃんと報告しなさいよ」

「なんで、お前にする必要があるんだよ」

「当たり前でしょ、私だからよ」

 いのがぽんとナルトの背中を押す。一歩前に出てしまったナルトはびっくりして顔を上げた。そこにはシカマルの存在が近くにあって、思わず目を反らしてしまう。

「じゃあね、ナルト」

「えっ?サクラちゃん、いの…」

「またね、月曜日に!」

「ちょっと、ケーキ……!」

 いのとサクラのいらないお世話のお陰で、二人きりにされてしまった。重たいだけの沈黙。ナルトはシカマルの顔を直視する事が出来ない。俯いたままで、唇を噛んでいるだけ。

 後ろめたい気持ちが言葉を奪った。自分の存在が許されないような気持ちになってしまう。

「口、ンな噛んだら……赤くなるだろ」

 言われて気が付いたナルトは、ぶんぶんと首を振った。大丈夫だと言いたいのに、喉元で詰まった声がナルトの意思と反対に上手く出てこない。

「も、俺と話をするのも嫌か?電話もでねーし…メールも」

「ご、ごめんなさ…っ」

 必死に振り絞った声は消え入るほどに小さく、自分の気持ちを伝えるには心許ない物だった。

「つか、お前には謝られてばっかだな。ナルトはなんも悪りぃことなんてしてねえのに」

 シカマルの手のひらがナルトの頭を撫ぜる。ナルトが不安そうに顔を上げると、そっと上目づかいでシカマルを伺う。ナルトの視線を受けた彼が笑ってくれた。ナルトは咄嗟に胸に走る痛みに視線を落とす。

「ったく…そんな顔すんなよ」

 どんな顔?なんて軽口を叩ける訳もなく、やっぱり溜息をついてしまう。

「やっぱ、少し話てえんだけど。それも、嫌か?」

 正直、困ってしまう。なにも話せる事がない。迷っていると強引に手を取られた。なぜか磁石みたいに地面に張り付いていた足が、すっと動く。

 手を繋いで歩いている事が不思議でならない。もう会う事も言葉を交わす事もないと思っていたのに。

「どこ、……行くの?」

「俺んち。別に変なトコ連れ込もうとかじゃねえよ」

「そっ、そんな事考えてなんかないってばよっ!」

 暫く無言のまま歩くと、和風の門扉が見えてくる。シカマルの手がガラリと戸を開くと、ナルトの指からシカマルの温もりが消えた。

「ただいま」

 ちゃんと帰宅の挨拶をするシカマルを感心して見上げる。ナルトも当たり前の事だと思っているが、シカマルも同じなんだと思うとなんだか嬉しい。クシナの話では、年頃(ナルトたちくらいの年齢)を迎えた男の子は口数が少なくて寂しいとママ友が話しているという事であった。

「お邪魔…します」

 悩みながらも靴を脱いで揃える。

「母ちゃん、客」

 簡潔な一言に奥から足音が聞こえた。お見合いの時が初めてで、こうやってシカマルの母親に会うのは初めてだ。彼女はナルトの顔を見て、にっこりと笑う。

「あら、今日は可愛いお客さんじゃないの。 ナルトちゃんお久しぶり」

「お久しぶりです……お邪魔します」

 ぺこりとお辞儀をして恐縮するナルトに、ヨシノはまた笑顔になった。

「いらっしゃい。頂き物だけど、ケーキがあるの。ナルトちゃんの口に合うかしら?」

「あの、すぐに帰ります。すみません、いきなりお邪魔して……」

 躾は厳しい方だったと思う。挨拶や人に対する感謝だとかをちゃんと言葉にする事や、年上の人間に敬意を払う事。それは学校生活でも求められるような最低限な事が殆どだったけれど、クシナにも細かく言われている。

「遠慮はしなくていいのよ」

 カチンコチンに固まってい腕を再びシカマルに取られた。ナルトは焦って、シカマルとヨシノの顔を交互に見てしまう。

「母ちゃんのお喋りに付き合ってたら夜中になるぜ? とりあえず、部屋に行くから」

 最後はヨシノに向けたものだ。ヨシノはせっかちな息子の態度にくすりと笑う。ナルトはもう一度ぺこりと頭を下げると、ずんずんと引きずられるようにして歩いた。廊下の突き当たりの部屋の扉を開いたシカマルが、鞄を置くと気が付いたようにナルトの腕を放す。

「その辺、適当に座ってろよ。母ちゃんが邪魔しにこねーようにケーキとか取ってくるから」

「え…あ、うん」

 シカマルはすぐに回れ右をして行ってしまった。思ったよりも片付いた部屋。余り物がない。ナルトの部屋の方がごちゃごちゃと物が溢れている感じだ。それに、シンプルな色調でまとめられている。

「シカマルの部屋かぁ…」

 ぺたんと座ったナルトはぐるぐると観察するように視線を彷徨わせた。壁面に大きな本棚があり、沢山の書物が並んでいる。そう言えばさっきも文庫を手にしていた。読書家なのだと、知らないシカマルの一面が垣間見えたようで嬉しい。

「べつに面白味もなんもねえ部屋だろ?」

 いきなり声を掛けられて、ナルトは驚いてしまう。いつの間に戻ってきていたのだろうか。時間を忘れるくらい釘づけになっていた気はないのに。

シカマルの手には盆があり、そこにはティカップとケーキが乗っている。シカマルがナルトの前にケーキと紅茶を進めてくれた。

「シカマルは?」

 彼が持っていたのはコーヒーの入ったマグカップだけ。

「俺はあんま食わねえんだ」

「そっか」

 シカマルが話のきっかけを探しているような気がして、ナルトは気が重たい。何を、どこから、どこまで彼に告げる事が出来るのだろうか。そうするべきなのだろうか。彼を好きな事を告げて、それで、失恋してしまうのだろうか。またあの夜みたいに、絶望を味わうのだろうか。

「ナルト…?」

 ケーキを咀嚼していたナルトは名前を呼ばれて、顔を上げた。

「……泣くなよ。あん時も、お前を泣かせて……そんな顔させてえ訳じゃねえんだ」

「泣いてなんか―――――…」

 いない、と言いたかったのに。頬を伝う温かい感触にナルトは、はっとする。

「最初にこれだけ、確かめさせてくれよ」

「な、にを…?」

「俺にキスされた事が、嫌だった訳じゃないよな…?」

 ナルトはずっと遠くで何かが崩れる音がしたような気がした。

 素直に自分の気持ちを彼に告げれば、本当のサヨナラが待っている。

 悲しくて悲しくて、シカマルを好きだと自覚してしまったからこそ、悲しみが深くなるのに。

「嫌じゃ…なかったってばよ」

 それでも、嘘をつく事に疲れてしまった。

「俺の事、嫌いなのか…」

「――――― …嫌いじゃないってばよ」

 声が震えて掠れた。

ナルトはまっすぐにシカマルを見つめる。彼が好きだと言ってくれた色の瞳で。

 

 

 

 

  

 

 

 

告白タイムに突入。

って、彼の部屋ってナルちゃん(笑)

いやいや真剣な場面なんですけれど。

ナルのせつない感が上手く書けなくて凹みます。

終盤の山場的な感じだと思うんですが、もうすぐ終わる…かな?

いのとサクラを書くのは楽しいです(*^_^*)