キャッシング

 

注意 ナルトさん女装してます。好きでない方はブラウザの「×」で閉じてください。

   女体化でないので、ナルコさんに非ず(笑)

 

 

 

 

Candy Girl 4

 

 

 シカマルと一緒に行ったゲーセンで、ナルトは惨敗だった。対戦ゲームなんて元々やらないし、クレーンゲームも得意ではない。

「難しい……」

 何枚目かのコインを入れた所で、ムキになるナルトにシカマルは隣でくすくす笑っている。

「欲しいのか?」

「欲しい!!」

「んじゃ、ちょっと変わって」

「へ?」

 ナルトの隣にいたシカマルがずいっと近くに寄ってくる。わざとらしく離れるのも意識していると伝えるようで変だ。間近にある顔。それでも、シカマルが操作するクレーンの動きを見ていたナルトはすぐにそちらに釘付けとなってしまった。

「えー…!なんでっ?」

 何回やっても取れなかった大きな蛙のぬいぐるみがポトンと景品出口に落ちる。

「こんなに上手なら最初からやってくれればよかったのに!」

 大きなぬいぐるみを抱きながらナルトは膨れてしまう。シカマルはそれを見て吹き出しただけで、悪びれた感じはない。

「俺が上手いんじゃなくて、ナルトが下手過ぎ。それに大分前に出てたからなんとなく落ちるかなって思っただけだぜ?」

 普段ゲームセンターに来る用事と言えば、プリクラを取るくらいで他のゲームはしたことがない。そうシカマルに告げると反対に驚かれてしまった。

「やらねえの?」

「やらないかな……下手だし」

 楽しそうだなぁと興味をひかれても、友人たちはそうではないのだ。

「反対に俺はプリクラなんてのやったことねえけどな……」

「プリクラないの?! そっちのが信じらんないんだけど」

「野郎でプリクラ撮っても楽しくねえだろ?」

「友達なら楽しいと思うけど……」

 そうではないのだろうか。ナルトは少し不安になってしまう。女の子のふりをしているつもりで、実は十分に感化されているのではないだろうか。

「それにどこのプリクラも、男同志っつーのはお断りだぜ?カップルか女限定みてーな」

「へえ…そうなんだ」

 指差されたプリクラコーナーはゲームとは別の場所に設けられており、確かにシカマルの言ったような内容の立て看板がしてある。

「シカマル、撮りたい?」

「プリクラ?」

 ナルトの科白に驚いたように目を見開いたシカマルは、一瞬だけ考えて首を縦に振る。それから、ナルトは自分の言葉の意味に気が付いて頬を染めた。この場合、プリクラを自分と撮りたいかと聞いてしまった事になっている。外野から見れば二人はカップルのように見えてしまうのだろうか。

「ほ、ホントは…今日は髪も可愛くないし……嫌なんだけど、シカマルがやった事ないとか言うし!それに、男の子同志じゃとれないっていうから……!だからさ…」

「んな焦んなって。それに、髪の毛がどーのって、十分に可愛いじゃねえか」

「焦ってなんかないっ!」

「行こうぜ。俺、分かんねえぞ?」

 可愛いと言われてもっと赤くなってしまう。もっと反論したい。いつもだったら、自分では触れないにしろちゃんと凝った髪型をしているのだ。殆どが周りの友人のや母親の趣味なのだけれど。もっと可愛くしているのだと言おうとして、またハッとしてしまった。思考回路が十分に女と化している。

 その現実にボー然としてしまったのが、シカマルはお構いなしでずんずんと先に行く。ついてこないナルトを気にしてか振り向いた彼に手を取られた。

「行かねえの?」

「………そんな事、言ってない」

 真っ赤になって俯いているナルトの頭をぽんぽんと撫ぜてくれる手を感じて、ナルトは胸がドキドキするのを感じる。シカマルは自分と同じ男で意識するのは可笑しい。おかしいのに……どうしてこんなに気になってしまうのか自分でも分からない。

 そんなこんなで出来上がったプリクラを見て、またナルトは撃沈してしまった。いつもの癖で笑顔を作っている自分が正直怖い。条件反射でフラッシュに反応してしまったとはいえ、十分に女の子としての生活に感化されている事を思い知らされた。

 ふうっと溜息を付いたところで、携帯の着信音がけたたましく鳴る。

そして、画面を見て固まってしまった。

「も、もしもし?」

 慌てて電話を取ると、一気にまくしたてられて通話が切れてしまう。

「ちょ……なんだってばよ」

 一方的で切れた着信の相手はミナトで、近くにいるから至急来るようにといった内容だった。どうして自分の居場所がばれているのか考えるのも怖い。ぬいぐるみを抱きながら固まっているナルトの顔をシカマルが覗き込んだ。

「どうした?」

「親からだったんだけど……ちょっと用事みたいで」

「そうか」

「ごめん、じゃ。ぬいぐるみ…ありがと」

 辺りを伺いながら背中を向けるとシカマルから名前を呼ばれる。切羽詰まったような声に思わず振り向いてしまった。

「あのさ、ナルト。また、会えるか?」

「えっ?あの…そんな……わからな……ごめん、急いでるから!」

 どうしていいか分からず立ち去ろうとした手を取られる。

「シカマル?」

「ンな事、言いてえんじゃねえんだ。悪りぃ…単刀直入に言うけど、付き合わねえか?」

「は…?」

 ナルトは固まってしまい、青い瞳を大きくしながらシカマルを見つめる。それから、ぶんぶんと顔を横に振った。無理だ。シカマルが悪いのではなく、自分に大問題がある。自分は男で、男であるシカマルと付き合えるはずもない。

「む…無理っ!!」

「ナルト!?」

 これ以上シカマルの近くにいるのは、彼に対して失礼だ。エレベータを待っているのももどかしくて、階段を駆け下りた。ビルから出ると、見覚えのある車が横付けされる。ウィンドウが下がって、にっこりと笑ったミナトが手を振っているのが見えた。

「父ちゃん!!どうして、オレの居る場所が……」

「ナルト早く乗りなさい。時間があまりないんだから」

「時間?もーいきなり呼び出してなんだって……てか、仕事じゃなかったっけ?」

 車の後部座席に乗り込んだナルトは、蛙を抱きしめながらぷうっと膨れる。ミナトは笑顔であったけれどこめかみには青筋がぴくぴくしている。動揺しているナルトにはそれを観察する暇もない。

「デートの邪魔だった?」

「デートじゃねえもんっ!」

「ふ〜ん、そう」

 ナルトはシカマルの言葉を頭の中で反芻させる。誰かに告白されたのなんて初めてだ。

「どうしよう……」

「どうしたの?」

「ど、どうもしない!」

 どうしようもない問題。考えてもナルトが本当に女でない限り、どうしようもない。シカマルの事が嫌いでなくても、もう友達として会う事はできないのだ。折角仲良くなれると思っていたのに……残念な気持ちが胸の中に広がる。もっと先の未来、自分が男として出会えたらシカマルとはいい友人として付き合えただろうか。

「重症だ」

「なんだってばよ?」

「なんにもないよ」

 ナルトはそれきり黙ってしまい、ミナトは苛ついてソワソワしてしまう。そんな二人を乗せて走る車の行先はナルトも良く知るホテルだった。たまに親子で食事に来る事がある。

「父ちゃん?」

 ナルトが首を傾げていても、ミナトは何も答えない。それから待っていたクシナに連れられてホテルの一室に連れて行かれた。

「ちょっと待ってって!なんだってばよ、コレっ」

「やっぱり、ナルには絞りの着物が良く似合うわね〜。身体が貧弱だから余計にかしら?」

「母ちゃん?」

 クシナの他にいた美容師に着付けやら髪のセットやらされてしまう。その間も文句を言い続けるのだけれど聞き入れてもらわれなかった。用意が全て終わると、ミナトが顔を出す。きつく睨みつけても父親は動じる事はなかった。

「やっぱりナルトには、朱色が似合うねぇ」

 もう口を利きたくもない。いきなり連れて来られて、いきなりの着付けである。クシナも着物姿で髪のセットも済んでいた。

「わざわざ振袖に着替えて食事とかだったら、オレってば帰る」

「違うよ〜。お見合いだよ、お見合い!」

 ナルトはあんぐりと開けた口を塞げそうにもない。ミナトの隣ではにこにことクシナも笑っている。

「ふ…ふ、ふざけんなってばよ――――――っ!」

「やだ、ナルちゃん。お父さん超本気だってばよ」

「母ちゃん!オレ、何時から女になったんだってばよ。こんな恰好って事は相手も男なんだろ?も、もしかしてオレの戸籍は女だとか……」

 クシナは息子の慌てっぷりに吹き出して笑う。

「お腹痛いっ。もう、そんな訳ないでしょ〜」

「思いっきり結婚詐欺だろ?」

「違うよ、結婚しないから婚約詐欺?」

「同じじゃねえの?」

 ナルトとしては動じない両親の存在の方が不思議で堪らない。いきなり何を言い出すのかも理解できない。そんなナルトの思考を遮るように、部屋のチャイムが鳴った。ミナトが扉に向かっている間、ナルトは暗い表情のまま俯いていた。気分は最悪だ。

「ナルト、大丈夫だよ。そんな顔しないで。ほら、お客さん」

 ミナトの明るい声に顔を上げたナルトの視線の先には、父親の会社関係の知り合いで小さな頃からよく遊んでくれた“おっちゃん”の顔がある。名前は覚えていないのだが、自分の素性も知っている事は確かだ。

「おっちゃん?」

 にこにこと笑顔のままやってくるおっちゃんに、思わず立ち上がる。

「ナル坊、元気か?そんな心配そうな顔してんじゃねえって!お見合いって言っても、相手はおっちゃんとこのバカ息子だ」

「……オレ、だから……男だって言ってんのに」

「固い事言うなって! ミナトさんと利害の一致ってやつでな。うちのバカ息子はどこぞの阿婆擦れ女にひっかかちまってなぁ」

「あば…ずれ?」

「そこでね、ナルトもどこの馬の骨とも知れない男に言い寄られて困ってるでしょ?牽制ってやつだよ。婚約者がいるとなればその阿婆擦れ女も近寄ってこないって事でね、お互いの利害の一致」

 悪い虫に付かれないように、婚約者と言う存在をシェアしようと言った話らしい。ナルトは大人たちの思考回路に到底ついて行けそうにない。

「ま、待てってばよ! オレが振袖で見合いって、おっちゃんの息子はオレが女だって思ってんじゃねえのかよ」

「バカだね、ナルト。ナルトが女の子のふりしないと、牽制にならないでしょうが」

「一応、婚約の運びって事にしておいてバカ息子と付き合う必要はねえんだぞ?だから、関係ないねぇ」

 十分にあるだろ――――? ナルトは頭がくらくらするのを感じて、座り込んだ。心底、嫌になってしまう。本当はシカマルの事で一人落ち込みたかったと言うのに、こんなハチャメチャな事に巻き込まれて散々だ。それでも、親たちは自己満足のため(自分の子供の将来のため)満悦した顔でいる。

「真剣泣きてえよ……」

 それでも時間は過ぎて行って、ナントカの間と言うのに無理やり連れて行かれた。ぶすりとした顔つきをクシナに諭されるが関係ない。別に顔なんて関係ない。形だけ行われる見合いに顔の造作は意味なんてないのだ。

「ちょっと、ナルちゃん」

 クシナの何度目かの諌める声に重なって、聞こえるはずのない声が聞こえた。ナルトは俯いたままで溜息を付く。とうとう現実逃避の為に幻聴が聞こえたらしい。しょうがなく顔を上げると、前を見ながらナルトは思わず固まってしまった。

「愛想の悪い子で申し訳ないね、シカマル君」

「いや、ウチのバカ息子も同じで申し訳ない」

「ナルト、ご挨拶しなさい!」

 クシナの声が遠くで聞こえた。ナルトはパチパチと瞬きを繰り返し言葉を無くしてしまう。

 

 あははと乾いた大人たちの笑い声の中、阿婆擦れ女とどこの馬の骨とも知れない男が二時間ぶりの再会を果たすことになった。

 

 

 

 

  

 

 

 

デートから見合いです(笑)

親の公認の元、婚約者となってしまった二人ですが…

つーか、ずっとナルトの名前を漢字に当てると「成都」がいいなぁとか思ってます。

女の子っぽい響きの感じで。波風成都、可愛い〜とか一人悦に入ってます。

カタカナ表記で悔しいっす。

もちっと終わりが近づいてきたら、サイトに下しますよ…

もちろん赤文字指定なので(苦笑)