グルメ

 

注意 ナルトさん女装してます。好きでない方はブラウザの「×」で閉じてください。

   女体化でないので、ナルコさんに非ず(笑)

 

 

 

 

Candy Girl 3

 

 

ノースリーブのふんわりとしたチュニックに、膝上のショートパンツ。裾に広がりがあるので、一見スカートにも見える。チュニックの丈があるので、ショートパンツの裾が少し見える程度になり余計にそう見えてしまうかもしれない。

「………おかしいかな」

 ナルトは部屋の姿見に向かって呟いた。学校の制服以外はあまり拘った事がないので、体型がばれないか少し心配だ。横をむいてちらりと自分を見てみるが、なんせ自分自身の事である。少し唸ってから階下へ降りると、クシナが鼻歌を歌いながら朝食を作っていた。

「母ちゃん〜、ちょっと見てくれってばよ。オレの恰好って変?」

「おはよ〜……、可愛いじゃない。変じゃないわよ」

「ホント?変じゃねえ?」

「可愛い可愛い。ナルトが早起きなんて珍しいと思ったら、今日は遊びに行くんだったっけ?」

「そ、そう」

 ナルトは顔を赤らめながら、自分の席につく。すぐにオレンジジュースが目の前に置かれた。お礼を言って口をつけていると、欠伸をしながら父親がやってくるのが見える。

「父ちゃん、おはようだってばよ」

「ああ、おはよ……ナルト、今日は日曜日だってのにやけに早いんだね」

「父ちゃんだって日曜日なのにスーツ姿だって」

「まあね」

 軽くウインクした父親・ミナトはナルトの前に座った。ミナトの着席を待ったかのように、トーストやらコーヒーが運ばれてくる。クシナは家族分の朝食を用意すると、ミナトの隣に腰を落ち着けた。

「はい、いただきます」

「いただきま〜す」

 トーストとクロワッサンのサンドイッチ。小さな器には野菜サラダ。ふわふわのオムレツの上にはケチャップソースがかけられている。フォークでオムレツを切り分けていると、コホンとワザとらしい咳ばらいが聞こえた。

「ところで、ナルトはそんなにオシャレして誰と遊びにいくんだい?」

「えー…っと、友達」

「ふうん、木の葉学園の子?」

「そうだけど」

 口に入れたオムレツからチーズの味がして心底おいしいと感動してしまう。

「母ちゃんのオムレツ超うまっ!!」

「ナルちゃん、サンキュー」

 ブイサインを送るクシナは本当に嬉しそうだ。それとは相対した渋い顔のミナト。

「サクラちゃん?」

「違うけど……どうしてそんな事聞くんだってばよ?」

 ナルトが首を傾げると、クシナがにやにやと笑った。フォークの先には真っ赤なトマトが突き刺さっている。

「それはね〜…ナルがデートに行くのが、お父さん気に入らないのよ!」

「「デート!!」」

 ナルトとミナトの声が重なる。ナルトはぽかんと口を開けてクシナを凝視した。

「ちょ、ちょっと、クシナ。デートとか聞いてないんだけど。ね、ナルトどうゆう事?」

「デートじゃないってばよ! 遊びにいくだけなんだからさ」

 ナルトはむすりとしながら、目の前の食事を黙々と片付けた。確かに、遊びに行く相手は食事会で会ったシカマルだけれど、デートではない。男の自分が男友達と遊びにいくのだから、男女のソレとは異なる見解でいる。ぶつぶつ言っているミナトを余所に、ナルトはがつがつと食事を進めてぱちんと手を合わせる。

「ごちそうさまっ!! じゃ、行ってくるってばよ」

「待ちなさい、ナルト。話は終わって……――――」

「あ〜あ、行っちゃったね〜」

 脱兎の如く逃げ出したナルトの背中を見て、クシナはくすくすと笑い、ミナトは眉間に深いシワを刻んだ。

「冗談じゃないっ!クシナ、知ってるなら教えてくれてもいいんじゃないのかい」

「だって、ナルトは男の子なんだし…お友達の男の子と遊びに行く事に問題ないって」

「クシナはデートって言ったでしょ?」

 心配性のミナトに溜息を付いたクシナは、まだ熱い紅茶を一口飲んだ。

「だって、ナルは見た目は女の子なんだし……傍目から見れば、デートに見えるじゃない。それだけの事だってば。それにね、出会いが合コンだって言うんだもん。それってさ、彼はナルちゃんに気があるって事じゃないの?」

 ミナトは手にしていたフォークをテーブルの上に落としてしまった。

「やだ! ミナト?」

「ご、合コン…?知らないよ、なにそれ……」

「そうそう、ナルは食事会だって言ってたけどね」

 にっこり笑ったクシナに肩を落としたミナトは、茫然とオムレツを見つめる。

「勘弁だよ。手塩にかけて育てた息子をどこの馬の骨だか知らない男にかっさわれるなんて……」

「娘じゃなくて良かったわね。ほんっと」

 ミナトの慌てた様を見られただけでクシナは満足だ。ナルトを息子だといいながら、娘のように心配するミナトの事の方が心配である。

「よくないよくない! こりゃ、対策ねらないと……」

「はぁ?対策?」

 真剣な夫の眼差しに心から同情したクシナは、はーっと息を吐いたのだった。

 

 

 

 もう一度会わないかと打診されて、ナルトは断れなかった。トレーいっぱいのハンバーガーを片付けていくナルトを見て、彼は苦笑していただけだが。がつがつと遠慮なく食べたナルトは、初めて男と二人きりでいる事に動揺してしまったのだ。

 ブーティサンダルはぺたんこのものを選んだ。歩きやすさも見た目も可愛い。この間サクラとショッピングに出かけた時に彼女に選んでもらったものなのだが。ショーウィンドウに映る自分を横目で伺いながら、本当に変でないか確認してしまう。動きやすさの点から普段スポーティな格好をする事が多い。それか、面倒でワンピース。てっとり早く女の子らしく見える恰好だからだ。ミニスカートは絶対に嫌だからショートパンツにしたというのに、今が見てくれはミニスカートに見えてしまう事が不満だったりする。それに、朝からミナトに食いつかれたせいでクシナに頼もうと思っていた髪のセットもできずに飛び出してきてしまった。

「……大丈夫かな、ホントに」

 男には見えないだろうか?制服の場合はいい。女子校のものだし、前提が女の子として見られるのだから、見る方にも初めからフィルターのかかっている状態である。だけれど、今日は違う。一人で歩いてそわそわしてしまって、しかも歩くテンポもいつもより早くなってしまった。

 待ち合わせの駅前に早めについてしまったナルトはしょうがなく、時計台の影になっている場所に移動する。ベンチに腰かけて携帯のチェック。朝からもらったメールの返事をいそいそとして見た。普段ならば昼過ぎにしか起きない自分からのメールの返信をみた友人たちは驚くだろうか。

 ナルトが携帯に必死になっていると、自分の前に影が出来る。シカマルが来たのかと顔を上げると、見た事のない男たちが二人いた。

「ねーねー、一人?」

もしかしなくても、これはナンパというやつだろうか。

「お前らには、二人に見えるかってばよ」

 思わずむすっとしてしまうナルトに目の前の男は顔を見合わせて笑っただけ。それがまた気に食わない。

「可愛い顔してきついな〜」

「……待ち合わせだから、声かけてくんな」

 取り繕う必要がないので、ナルトの口調もきつくなってしまう。自分が男として生きていたら、絶対にこうはならないと言うお手本が目の前に居るのだ。普段、ナルトが男と関わらない理由が二つばかりある。一つは自分のコンプレックスが刺激される事を回避するため。もう一つが、実はやんちゃな自分の性格がばれないようにするためだ。ナルトはぱちんと携帯をしまうと、ふうっと息をついて立ち上がった。

 とりあえず、こういった輩とは距離を取る事が大切だ。無視して背中を向けて歩き出そうとすると、ぐいっと肩を掴まれた。

「気安く触るんじゃねえよ」

 自分が言おうとしていた言葉が耳を通り抜ける。ナルトの目の前には、何時の間にかシカマルが居た。

「シカマル!」

「よう。悪りぃな、ちょい待たせたか」

 ぶんぶんと頭を振ると、シカマルに睨みつけられた男たちがナルトから手を離す。男連れかよ、とかぶつぶつ言う声が聞こえたが軽くスルーすることに決めた。

「見た目とは違って勝ち気な事は知ってたつもりだけどよ。さすがに男二人に喧嘩売るのは感心しねえぜ?」

 ナンパ野郎の背中を見つめてシカマルが苦笑した。

「護身術は習ってるから心配はいらないし!」

 ミナトの言いつけ通り、小さな頃から武術のようなものをやらされているのだ。

「ほんっと、男勝りだよな。ナルトは」

 男なんだよ!と喉から出かけて、それを飲み込む。それをどう取ったのか、シカマルがどこへ行くか打診してきた。ナルト的には誘ってきたのはシカマルなのだから、勝手に決めて欲しいというのが本心だ。と言うか、どうすればいいのか皆目見当はつかない。

「……どこかに行きたいとか、ないの?」

「実を言うと、女をどこに連れていきゃ喜ぶのか分かんねえよ」

 普段から女の子とは遊びに行かないという事だろうか。どうして自分を誘ってきたのか首を傾げてしまう。ナルトの疑問に答えるかのようにシカマルが続けた。

「もっかいナルトに会いて―なとか思って誘っただけだから、どこに行きたいとかねえし」

「そ、そっか…」

 好意を向けられる事がこんなにくすぐったい気分になるなんて知らなかった。ナルトは自分の頬が熱くなるのを感じる。

「シカマルは、普段友達と何して遊ぶ?」

「ダチと? ……なんだろうな。適当にゲーセン行ったり、見たい映画とかあったら行ったり……別段と特別な事はしてねえな」

「それじゃ、ゲーセンでいい!」

 男の子同志の遊びに興味がある。ナルトは友達と遊びに行くとなれば、ショッピングや食べ歩きがほとんどだ。どうせなら女友達とは違う遊びがしたい。

「本当にゲーセンとかでいいのか?」

「うん!なんで?」

「いや…ほら、水族館とか遊園地とか……」

「シカマルがどんな遊びしてんのか興味あるんだってば」

 にこっりと笑ったナルトに、シカマルは照れたように頭をかいた。それに、水族館や遊園地なんていかにもデートな感じがして嫌だ。クシナにどんな風にからかわれるか、たまったもんじゃない。

 初めて言葉を交わした時、好感を持たなかったと言ったら嘘になる。でも、二回目にこんな風に会うとまでは思っていなかった。普通の友達として……言うと語弊があるかもしれないが、ナルトにとってシカマルは初めて出来た男友達なのであった。

 

 

 

 

  

 

 

 

デートデート♪

ナルトの恰好ってすごく悩みます。制服のがいいな、簡単で(笑)

長かったので、2つに分けちゃいましたが、次回もデート編続きです!