注意 ナルトさん女装してます。好きでない方はブラウザの「×」で閉じてください。
女体化でないので、ナルコさんに非ず(笑)
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Candy Girl 2
「遅れてゴメン!」 放課後、思ってもみない担任に呼出しにナルトは“食事会”に遅れて参加する事になってしまった。サクラの言うとおりに、駅近くのホテル内の飲食店にやって来たのだが足を踏み入れて躊躇してしまった。 同級生たちは皆私服に着替えている。 ナルトからすれば、そんな事は一切聞いていないから自分だけ制服姿だ。ナルトが後ずさりするのを感じてか、気がついたサクラがすぐに駆け寄って来てくれる。 「ナルト、遅かったわね。先生に面倒な事言いつけられちゃった?」 「……ね、サクラちゃん。どうして、みんな着替えてんだってばよ」 「そりゃ、みんなお目当ての人が居るからオシャレしてんでしょ?」 こそこそと耳打ちしながら話をして、なるほど!と納得してしまったナルトは、サクラもちゃっかり可愛らしいワンピースに着替えている事にくすりと笑った。彼女も、この中に居る誰かの為にめかしこんでいるのだろう。 「それにしても、思ったよりいっぱい居るんだな〜」 ナルトはざっと店内を見渡して驚きを隠せない。どこかのパーティ会場のようである。サクラいわく、この店を縁故にしている生徒に頼んで貸切にしてもらったらしい。普通に考えても、一介の高校生にどうこうできるような店でないのは確かだろう。 「いつもはね、もうちょっと少人数なんだけど……それってお決まりっぽくなって、お流れムードだったから。今回は出来る限り声を掛けてみたって訳よ」 こんなに集まるのなら、自分は来なくて良かったのではないかと真剣に思うのだが、ナルトもサクラのお目当ての彼が気にならない訳ではない。それに、美味しい料理を適当につまんだら、こっそり帰っても構わない事になっている。 「ま、いいや! サクラちゃんの好きな人もちゃんと教えてくれってばよ?」 「うん、なるべく話しかけに行くから……多分ナルトにも分かると思う」 頬を染めて俯いたサクラが、やっぱり可愛く見える。ナルトは片手に皿を持ちながら、小さく手を振った。花より団子なのだ。とりあえず、好きなものは網羅して後は店内を適当に見渡してからバックれてしまおう。うきうきしながらビュッフェ形式になっている中央のテーブルに近づく。トングに手を出そうとして隣の誰かと手が触れてしまった。 「あ、ごめんなさい」 「いや、こちらこそ。先にどうぞ」 お互いに知らないもの同志。……だと思い、ナルトも笑顔を作って顔を上げた。 だけれど、相手の顔を見た瞬間にその笑顔がガラガラと音を立てて崩れる。 「………なんで、お前がいるんだってばよ」 声色も装う事をやめて、思わず素で訪ねてしまった。 「そりゃこっちが聞きたいな」 ナルトは隣の男を睨みつけた。願わくば一生会いたくないと思っていた相手に、こんな所で会うなんて思ってもみなかったのだ。 「悪りぃけど、先にもらうわ。さっさと食って帰りてえし!」 「食い意地だけできたってトコだな。昔となんも変わってねえ……と言うか、よくもまあそんな恥ずかしい恰好で来られたもんだ」 ナルトはくっと我慢する。隣の男、扇(うちは)サスケとは母親同士が仲が良い事もあり幼少の頃はよく遊んだものだ。まだ、ナルトが男だとか女だとかの性別を全く気にしていない頃の話。数少ないナルトの事情(女として暮らしている)を知っている者の一人と言えよう。 「お前に会うなんて、最っ悪!」 「その言葉、全部返してやるよ。バカナルト」 「うっせーってばよ」 ナルトはぷんぷんしながら、ミートボールを皿に盛る。ここは他人のふりをして無視した方がいい。誰かに関係を聞かれても嬉しくない。 「それにしても……上手に化けてんな、お前」 「ば、化けてる? 人をお化けみたく言うなってばよ」 学校指定の制服を着崩すことなく着ているだけの事。長い髪は、放課後にまた触られたのでサイドから後頭部に編み込まれて、ちょんと止めてある。長い髪が腰近くまであるのだが、それ以外はなんの変わりもない。同級生のように軽いメイクも嫌いだし、まったくのスッピンだ。 「どこから見ても、女にしか見えないトコがマジですごいな。ある意味感心」 ふんっと鼻で笑われて、思いっきりバカにされている事に気が付く。本来ならば、ナルトも木の葉学園の男子部の制服を着て通学しているはずなのに……と思うと、かなり劣等感を刺激される。 「おい、怒ってんのか?」 「あたりめーだろーがよ……お前だってオレが好き好んでこんな恰好してんじゃねえ事知ってんだろ?性格悪いにもホドがあるっての。気分悪りぃ!もう、帰る…」 腹が立ちすぎて食事をする所じゃない。がんっと皿を置くと、サスケに背中を向けた。 「サスケくん!」 足を一歩踏み出そうとした所で、サクラの声が耳に入る。だから、思わず振り向いてしまった。 「良かった〜。今回は来てくれたんだ!」 「ああ……、まあ、約束だから」 「ありがとう」 サクラの極上の笑顔を見た瞬間、彼女の思い人がサスケである事がすぐに分かる。ナルトは声を大にして言いたい。この男だけはやめておけと。だけれど、言えない事情が悲しい所だ。 「あ、ナルト。楽しんでる?」 そこでサクラがナルトに視線を向けてきた。条件反射のように笑顔を作ってしまうのが悲しいのだが、こくりと頷いている視界の端に、必死で笑いを堪えているサスケが居る。 「あの、サクラちゃん。あ…アタシ適当なトコで、……ね?」 「ん…? あ、うん……でも、まだ来たばかりじゃない」 「すんごくお腹すいてて、がっついちゃったんだって!」 「やだ〜、ナルトっぽい!」 頬を染めてサスケを見上げる瞳はハート型だ。サクラに軽く手を振ると、サスケに向かってにっこりと笑いかける。自分の大切な友達に失礼な態度をしたら許さないという気持ちを込めてみた。少し驚いたようなサスケが、すっと視線を逸らしたので心の中でアッカンベーをする。 本当は一口も食べる事が出来なかったのだけれど、この店に長居する気が一気に失せてしまった。クシナに夕飯はいらないと言った手前、なにかしら口にして帰る必要があるだろう。 「駅前のハンバーガーでいっか……」 トイレの鏡で自分の姿を見て、落胆してしまう。サスケの嫌味が頭の中でリピート。それでも、ベストから見えるリボンがつぶれないように結びなおす。夏物のブラウスはセーラー襟になっており、スカートと同布のベストがあるのだ。思いっきり暑苦しいのだが、そのベストを着てリボンを結べば、ぺったんこの胸もどうにか隠れる。スカートはプリーツになっているが、サイドにスリットが入っておりそこから下に穿いているペチコートが見える。スカートとペチコートが同色の為に分かりづらいのだが、素材感が違うので分かる人にだけ分かる密かな楽しみのようなものになっていた。夏服なのにこんなに重ねて熱くないのかと聞かれる事がよくあるのだが、素材は全体に麻混で涼しい作りになっている。 「しょうがないじゃん……見えるんじゃなくて、見せてんだから」 ハンバーガーショップでのやけ食いを決めてトイレから出ると、隣の男性用トイレからも同じように人が出てくる。ナルトは思わずその人を見つめてしまった。自分と同じように制服姿である事から、例の食事会に来ていた事は伺える。それは彼も感じでいるのか、ナルトの視線に気が付いてか一瞬足を止めた。 「……ど、どうも」 なんとなくどうしていいのか迷って一応ぺこりと頭を下げる。と、彼は驚いたような表情に変わってから破顔した。 「俺と一緒で制服の奴がいたなんて気が付かなかった」 にやりと笑われて、ナルトも吹き出す。 「オ…アタシも気が付かなかったってばよ?」 私服姿の中に居たらすぐに目に留まりそうなものなのに…… 「ホントに居た?」 「最初だけメシ食って、トイレに避難してバックれるとこ」 「おんなじだってばね」 同じなのは帰るという事だけで、彼とは違い食いっぱぐれているのだけれど。 「じゃ、帰んのか?」 「うん、用ないし。とりあえず、顔出しに来ただけって感じ」 食いっぱぐれたついでに、幼馴染と最悪な再会を果たしてしまって非常に気分が悪いのだ。 「同じだな。人数集めにされただけなんだぜ?」 「ま、友達の頼みは断れないって」 「だな」 出会うなら、トイレでなく店内で出会いたかったものである。いつもなら、こんな風に男子と話すのは嫌いだ。本来なら男である自分のコンプレックから冷静で居られない。男っぽいという事に一種の憧れもあるから思うのかもしれないが、一番在りたい自分になれないジレンマが爆発しそうになる。 「それじゃ」 とりあえず、何か食べたい。ナルトは条件反射になっている笑顔を向けると、そそくさと踵を返した。 「なあっ!」 数歩もしない内に呼び止められて振り返る。 「え?」 「電車通学?」 「は……? ん、そうだけど……」 「なら、駅まで行こうぜ。一緒に。ホラ、帰る方向一緒なのに、他人行儀で歩くのも感じ悪りぃじゃねえか」 「マ…まあ、確かにそうかも」 それでも、駅に行く前にハンバーガーショップに寄りたいのだが、どうしたものだろうか。他人行儀もなにも、全くの他人だし気兼ねしてもらわなくて結構なのだが、彼なりの気遣いを無駄にするのも悪いような気がする。 「でも、駅に行く前に寄りたい場所あって……」 「どこ?」 「…別に、ついてきてほしいとかじゃないってば」 「聞き方悪かったか?」 「ち、違う違う。そんなんじゃなくって、気を使ってもらうほうが遠慮するってか」 ナルトは真剣に困って彼を見上げる。 「カラコンじゃねえんだ」 「目の色? 元々だってばよ。髪だって染めてるんじゃないし」 さすがに金髪は校則違反だ。もちろん、カラーコンタクトレンズなんで考えられない。 「アタシ、視力いいもん」 空色の瞳も、金色の髪も父親譲りである。顔の造作は母親に似ているのに、身体の色素は父親とそっくりだった。目の前の彼は、自分とは対極の黒い髪に黒い瞳。それに憧れがない訳ではない。緩くひとつに束ねた髪と見も元に覗くピアス。 「俺、シカマルってんだ」 「アタシ……渦巻」 シカマルはくすっと笑った。 「下の名前は?」 「ナルト……」 「んで、ナルトはどこに行きたいんだ?」 ナルトは不思議でしょうがない。どうしてシカマルはこんな風にフランクに話しかけてくるのだろう。容姿が珍しいからだろうか……。いきなり名前で呼ばれた事にも驚きだ。 「ハンバーガーショップ。実を言うと、まともに食べてないからすっごく食べたいんだってっ!」 お腹がくうくう鳴りそうなくらいには飢えている。おしゃべりより、食いもんよこせ!というのが本音なのだ。きっとここへ来なければ会う事がなかっただろう相手に、取り繕う事にも疲れてきた。 「そっか、俺もコーヒー飲みてーし一緒に行くわ」 「は? マジ?」 「あ?」 ナルトの問いかけに眉を顰めたシカマルに、ナルトはにこっと笑う。 「いや、本当に付き合ってもらうの悪いな〜って」 「つーか、本当は俺が一緒なのが嫌なんじゃねえの、ナルトは」 痛いとこを突かれて、ナルトは押し黙る。それから、ぷうっと膨れて見せた。 「嫌だってばよ」 本音を吐露してシカマルを見ると、彼は少し面食らったような顔をしている。 「でも、シカマル、くんなら……別に一緒に来るのは構わないけど!」 別段とシカマルが好きでも嫌いでもない。どちらか決めなくてはいけないのなら、好きな部類だ。気兼ねする事もないようだし、少し話をしてみたい気持ちもある。 「呼び捨てでいいぜ、俺もそうしてんだし」 「ウン、わかった」 ナルトの返答にふっと笑ったシカマルは、エントランスに向かって歩き出す。ナルトもそれを追いかけるようにして横に並んだ。
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団扇ではちと悲しいので、扇と一文字で「うちは」と読んでください。
うち、ずっとこの設定でいきますので。よろしくっす。
シカマルとナルトの出会い〜。
次回は色々あって、デート編です(笑)