注意 ナルトさん女装してます。好きでない方はブラウザの「×」で閉じてください。
女体化でないので、ナルコさんに非ず(笑)
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Candy Girl
「ナルって髪の毛綺麗だよね〜。いつまで伸ばすの?」 クラスメイトの一人が長い金糸で遊んでいる。ナルトは気にも留めずにパックの牛乳をすすった。 「ん〜…っと、来年くらいには切ろうと思ってるってばよ」 「そうなの?勿体ない感じするよね」 「髪の毛なんてまた伸ばせるじゃん」 ナルトは膝を抱えるようにして椅子の上に座っている。学校指定の制服のスカートは膝丈だ。クラスメイトの殆どが裾を上げて膝を見せているのだが、ナルトにはあまり興味がなかった。それに、いくら女子高と言えどこんな恰好をすればパンツ丸見えになる事は必須だ。それよりは、既定の丈のままで行儀の悪い座り方をした方が楽である。胡坐をかいても太ももが露わになる事はないし。そんな事は露とも思わない同級生は沢山いるけれど、ナルトは反対に目のやり場に困ってしまうので、絶対に同じ事はしようとは思わなかった。 「ねーねー。編み込みの練習していい?」 「どうぞ、ご勝手にだってば」 「ナルは見た目可愛いんだから、もっと着飾りなよ〜」 「興味ないもん」 だって、自分はわが身を飾りたてたいと思う様な可愛い女の子ではない。性別はれっきとした男なのだ。自分の性別を偽って生きているのには、ちょっとした理由があった。だけれど、それも十七の誕生日までだという期限がある。小さな頃は、意識的に男とか女とかの区別は全くなく……ただ同級生と身体の構造が違う事に首を傾げていただけ。髪は両親の趣味で伸ばされているし、幼少期からスカートやらワンピースを着せられていたのだ。 ナルトは窓の外を眺めて溜息を付いた。今日も一日が長い。一日どころか、あと一年以上も自分を偽って生きなくてはいけないことが苦痛で仕方ない。 早く家へ帰りたい、そんな事を思いながら髪が編み込まれていくのを、ぼーっとしながら待っていた。
放課後は用のない限り早めに帰宅する。これが、両親との約束だ。だからといって門限がある訳でもないが、ナルトも早くこの制服を脱ぎ捨てたいので異論はない。甘いものは好きだから、たまにケーキを食べに行ったりもするけれど、年相応な遊びは全く興味がなかった。 幼稚舎から大学までのエスカレーター式の学園は、制服がかわいいと定評がある。特に、高等部の制服が一番人気らしい。一応は私立のお嬢様学校だ。制服もどこぞのデザイナーらしく、近隣高からの羨望の眼差しも多い。正しくは、木の葉学園は共学を謳っている。そうなのだけれど、小等部に上がる時には男女別の校舎で学ぶ事となり、ほとんどの人の認識が学校名が同じだけの男子校と女子高だというくくりにされているのだ。 「ただいま〜」 ナルトは玄関の扉を閉めると、ホッと息をつく。ぽいぽいっと靴を脱ぎ捨てて、ついでに靴下も脱ぐ。二階の自室にあがると、堅苦しく感じる制服も脱ぎ捨てた。 「あ〜…今日も疲れたってばよ」 ベッドの上に脱ぎ散らかした制服を横目でちらりと伺い、しょうがなくハンガーにかけた。シワになるとうるさく言われるのだ。それからお気に入りのTシャツと短パンに着替える。帰宅すると、長い一日がようやく終わったような気分になるのは、ここでは自分を偽る必要がないからだろう。 「母ちゃん〜、腹減ったってばよ。なんかねえ?」 リビングを覗き込むと、午後のティタイムを取っていた母親と目が合う。 「あらら〜、ナルト可愛いじゃない!」 母親のクシナは実年齢よりも若く見える。どちらかと言うとナルトは母親似である。腰まである髪の長さもほとんどナルトと同じで、髪色は違うと言えど年の離れた姉妹だと言っても通じそうだ。 「なんか編み込みの練習させてって言われたんだって。それよりも、腹減った!」 「なによ、胡坐なんてかいて……」 「はあ? 別にいいじゃん、オレってば男だし」 「見た目は可愛い女の子なんだから勿体なくない?」 「全然、ないっ!!」 ナルトはぷうっと膨れる。男であるナルトが女の子として育てられているのは両親の趣味……ではない。一応はちゃんとした理由があるのだ。ナルトは胡坐をかいた足に肘をつきながら、むっすりと膨れる。もともと白い肌に、金色の長い髪。華奢な体躯も相成って一応は女としての嘘をつけるぎりぎりの範囲内だ。 「髪、鬱陶しい。早く誕生日こないかな……」 目の前に用意されたアイスティを飲みながら、一緒に出されたマフィンを頬張る。その隣ではニコニコとしたクシナが新しい紅茶をカップに注いでいた。 「本当に切っちゃう?お父さんもお気に入りなんだし、このまま伸ばせばいいって」 「やだって! 髪の毛短い方が洗うのも乾かすのも楽なんだってばよ、多分」 ナルトの生きてきた記憶の中にショートヘアの自分が存在しないから、憶測の範囲だ。ひらひらするスカートがまくれ上がる心配もなければ、ぺたんこの胸(当たり前だが…)をふわふわのリボンで隠す必要だってない。洗いざらしのままベッドで寝てしまっても、翌日に絡まった髪の毛に泣く事ないだろう。 事の始まりは、父親の家系にあるらしいのだ。波風家の跡取りは十七まで生きる事ができない。余程、先祖が悪い事をしたのか、そんな言い伝えが実しやかに囁かれ嫡男は十七まで女の恰好をして生活しなければならないらしいのだ。 今住む家も、一般家庭より少し大きな造り…といったところ。だけれど、所有する敷地はかなりの坪数を有する。その裏山辺りに、なにかしらを封印した社があるらしい。ナルトがそれに近づく事は許されないので、本当かどうかも怪しいと思っている。 だけれど、晴れて十七の誕生日を迎えれば今の生活ともおさらばだ。ナルトはほくそ笑みながら、がつがつとマフィンを食べ続ける。 「母ちゃんこそ、せっかく男生んだのに女として育てんのとか嫌じゃねえの?」 「女の子って着飾れるからいいわよ?」 「あ、っそう。聞いたオレがバカだったってばよ」 むすーっとしたまま腹を満たす。無理に荒けない言葉を使うのも、普段の生活の反動なのだろうか。クシナからすればそんなところが可愛くて子供っぽくて好ましいのだけれど。 「ナルちゃん、携帯着信になってる。ランプついてるよ」 「ん?……あ、サクラちゃんからだ」 口の中をアイスティで潤すと、ふうっと息をついて携帯の通話ボタンを押した。 「もしもし?どうしたの〜」 クシナはその変わりようにぷっと笑ってしまう。自分は男だ!と主張する割には、ちゃんと女の子としてやっているのだ。 「え、やだ……」 ナルトは眉を顰めた。ちらっと母親を伺うと興味深々な眼差しを向けられる。 『一度きりでいいから、お願いっ!』 電話の向こうからは必至なサクラの声が聞こえる。声を聞いただけで、真剣なのがわかった。 「食事会って、結局は……合コンって感じなんじゃないの」 『ご、合コンとか言わないでよ。まあ、男子と一緒にご飯するだけなんだけど……食事会でしょ?』 ナルトには立派な合コンだと思えるのだけれど、サクラの中では違うのだろうか? 「アタシ、そうゆうの行かないの……サクラちゃん知ってるってばよ」 『知ってるから、頼んでるんでしょーがっ!!』 最後には半分切れた口調なサクラにナルトは頭を抱えたい気分になる。それでも、少し話を続けて終話ボタンを押した。 ぽいっとソファに携帯を投げると、話の報告を待っているクシナの瞳とぶつかる。 「それで?行くの?合コン!」 「食事会だって……」 「男女が集まって楽しくお食事会って合コンだって〜」 「違うってサクラちゃんが言うもん」 いつも似たようなメンバーしか集まらない事で、大切な食事会の存続が危機に危ぶまれているらしい。相手は同じ木の葉学園の男子部の生徒だと言うのだから、身元の怪しい者が来る事はないだろう。 「とにかく、なんかメシ食って適当に帰ってもオッケーなんだって。ま、上手いもん食えるの嬉しいし……」 サクラの話では、その食事会に来るメンバーの中に目当ての彼が居るらしい。どうしても今回だけでも、食事会を無くしたくないと言うのだ。 「……って事は、告白とかするのかなぁ〜」 恋人同士になってしまえば、食事会なんて名目がなくても二人で会う事ができる。大切な友人の恋のキューピッドというのもいいだろう。ナルトにとってサクラは大切な友人の一人なのだ。まだ彼女に自分の秘密は話せないままだけれど、十七の誕生日を迎えたらまっさきに彼女に打ち明けたいと思っている。 「母ちゃん、明日ガッコ終わったらそのまま行くからメシいらねえってばよ」 「急な話ね。あっ!! 明日って、お父さん帰ってくる日じゃない……あ〜こりゃ低気圧だわ」 息子を猫かわいがりしている夫の顔を思い浮かべたクシナは、言葉とは裏腹に少し楽しそうだ。それと反対にナルトはうんざりしてしまった。父親の事は好きだけれど、過剰に溺愛されている節があるのだ。男と食事に(二人きりでなくとも)行った事を知れば、機嫌が悪くなるのは目に見えていて…… 「うわ…、最悪だってばよ」 なるべく食べる物を食べたら退散する事を決めて溜息をついた。
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変な設定思いついちゃったよって感じです(笑)
今回はほぼ説明編って事で。
曖昧な説明ですが……
次回、ナルトさん合コンへ行くって感じです。