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TOP SECRET 1
「で……このメンバー編成に意味はあるんすかね?」 火影の執務室で、シカマルは眉をひそめる。その隣には満面の笑みを浮かべたナルトが居る。 「中忍のお前を隊長として下忍を三人でのCランク任務……なにか不服があるのか?」 手元の書類を見ながら、綱手はふむふむと頷き印を押していく。もちろんシカマルの事は見ていない。見ない様にしていると言うのが正しいのかもしれない。 「下忍って…」 シカマルはじっとりと隣に居るナルトに視線を向けた。 「こいつ、カカシ班でしょ」 「カカシ班は別の任務についてるからな…」 「いや、だから…ナルトもカカシ班の一員じゃないっすか」 鬱陶しそうなシカマルの声に、綱手がようやく顔を上げる。ちらっとシカマルの動向を伺いながら、ゴホンと咳払いをした。 「なんだ?そんなに私の取り決めに不服があると?…おい、シズネ!」 シズネは慌てて手元の資料をぺらりと捲ると、シカマルに向かって笑顔を作る。 「シカマルくん、今あいてる“下忍は”ナルトくんしかいなくて…」 シカマルは大袈裟に溜息をついた。その袖をナルトがちょいちょいと引っ張った。 「…ンだ?」 「シカマルってば、そんなにオレとの任務が嫌なのかよ?」 大きな青い瞳がじいっとシカマルを見上げた。シカマルは眉をひそめる。それから、そっとナルトの手をどけた。 「そんな話をしてんじゃねえよ……お前こそ、いつも任務のランクには拘ってんじゃねえかよ」 そのナルトが、Cランク任務で満足している所も不思議だ。残り二人の下忍は、まだ忍の端くれ。緊張しているのか、一言も言葉を発する事はない。何度か目にする下忍の姿に、シカマルはもう一度溜息をついて頭を掻いた。 「わかりましたよ!任務依頼書…見せてください」 シカマルの科白にほっとしたようなシズネは、彼の気の変わらない内に用意した依頼書を渡したのであった。
「各自忍具の準備をして、正門に三十分後に集合!」 シカマルの指示は簡潔なものだ。頷いて走り去る少年の背を見送り、視線をナルトに戻す。 「おい、ナルト」 「なんだってば?」 「な〜んか、裏がありそうでならないのは俺の気のせいか?」 じっとシカマルに見つめられたナルトは、にやりと笑った。思わず顔が緩んだという様に。 「裏も何も……オレが綱手のばあちゃんに頼んだんだってばよ。シカマルと一緒に任務に付きてえって」 「やっぱ…そうゆう事かよ」 想像しなくても、深く考えなくても、これくらいの事なのだ。シカマルは大袈裟な溜息をついた。その意味をナルトには理解できないであろう。シカマルの中に口癖になっている「めんどくせえ」が溢れる。任務自体は至極簡単な部類に入るものだ。なんせ、Cランク任務なのだから。簡単な要人警護。大名の娘を他国まで護衛すると言うだけの。なのに、わざわざ小隊が組まれた事にも納得できなかった。下忍二人とシカマルのマンスリで十分に事足りるのだ。 「お前は、何もするな。それが俺からの指示だ」 「へ?なんでだってばよ?」 「あのなぁ…一緒に任務につく下忍の経験値を上げる為の任務だろう。お前みたいに向こう見ずに突っ込んでくのが一緒だと、めんどくせえの!」 「なぁなぁ、シカマル。帰り、温泉に寄らねえ?」 ニコニコと呑気な事を口にするナルトの頭を小突く。 「調子に乗んなよ。任務だ、任務!遊びに行く訳じゃねえぞ」 「いてえってばよ!」 「いいか?勝手に突っ走るな。俺の指示に従え!それだけでいいから、それ以上も以下もいらねえよ」 シカマルの科白にむうっと顔をひそめたナルトは、それでも渋々頷く。 「ま、いいってばよ…」 久し振りにシカマルと同じ任務に就けるのだ。それだけで、十分に満足で。隊長はシカマルなのだから、彼の指示に従うのも当たり前の事だ。 約束の時間になり、下忍達が正門に集合した。大名の娘は籠に乗っているので、その周りをシカマルの指示に従い配置を組まれる。 途中、休憩をとることになった茶屋で興味深々にナルトに近づく影があった。 「えっと…ナルトさんって、シカマル隊長と同期なんすよね?」 ナルトの事を年上だと思ってか、彼の口調は敬語だった。ナルトは、「ん?」と首を傾げる。 「ん〜でも、オレってば下忍だし!気にする事ないってばよ。それに、さん付けする必要もねえってば」 そして、人懐っこい笑顔を浮かべた。それで、彼の強張った顔に緊張が緩んだ気配を伺える。 「オレ、うずまきナルト。よろしくな!えっと……」 「俺は、ミツバって言います」 ミツバの隣に隠れる様にして居た少年がぴょこりと顔を出す。 「あ…俺はトンボです!」 「敬語なんていいってばよ〜。木の葉丸と同期くらいなんだろ?」 ミツバの隣でこくこくと頷くトンボの姿があった。 「緊張することねえってば」 ミツバとトンボは顔を見合わせてほっとしているようだ。ナルトも笑顔を浮かべて、串団子を頬張った。そこに、新しい皿が追加される。ナルトが見上げると、その送り主はシカマルだ。 「シカマルってば、食わねえの?」 「十分食ったから、やるつってんだよ」 「サンキュ〜」 へへっとナルトの頬が緩む。それは、まるで子供のように見える表情で。目の前でそれを見ていたミツバとトンボは、ナルトやシカマルに対する見方が変わったのは確かだ。ナルトとシカマルは同期で、忍のランクは違ったとしても、十分に仲が良い事が伺える。そんな二人を、なんだか全貌の眼差しで見つめてしまう。自分たちも同じようにいつまでもいい仲間でいたい、そう二人に思わせた。 雑談を続けるシカマルとナルトを尻目に、二人は肩を寄せ合う。 「ほんと、隊長とナルトさんって仲良いよな〜」 「うん。任務始まる前は、どうなのかなって思ってたけどさ。なんか、あんな優しい顔した隊長初めて見た気がしねえか?」 「え……?そう言えば」 二人は顔を見合わせてから、くるりと振り返る。ナルトの隣に座るシカマルは気を許した様な笑みを浮かべて、ナルトの話に相槌を打っている。そして、不意に風が吹いてナルトの金色の髪に落ち葉が止まった。それを、自然にとってやるシカマルに、嬉しそうに団子を頬張るナルト。 性別を無視したら、友達や親友と言うよりも「仲睦ましい恋人」に見えた。 「……俺は、何も見てない!」 思い切りミツバが力を込めて断言する。 「おおお、僕も!」 頬を赤らめたトンボは俯いて、それでも気になるのかチラリとナルトとシカマルを伺った。 「でもさ、やっぱり……」 「それ以上言うなよ、トンボ!」 「…うん」 少し顔を赤らめたトンボは、こくりと頷いた。 そんな二人に気が付かないシカマルではない。意識はナルトに向けながらも、ついついいつもの癖で、周りに気を張ってしまうのだ。ミツバとトンボのぎくしゃくするような様子を伺いながらくすりと笑った。
「温泉♪温泉〜っ!」 浮かれ足のナルトは任務を無事に終えた事で、気を緩めながら今にもスキップしそうな勢いで目的地に向かっている。その後ろからは、シカマルがゆったりと歩き少し距離を取りながらミツバとトンボが付いてきている。 「あの…隊長、いいんすか?」 里に帰るまでが任務。基本はそうだ。シカマルは視線を後方に泳がせながら、眉を上げる。大名の娘からの計らいで近くの温泉地に一泊することに決まった。無下にする訳にもいかず、ありがたくその話を了承したのだ。 「ま、いいんじゃねえか。たまにはこうゆうのもさ」 「隊長がそう言うんなら…」 生真面目なミツバは少し気乗りしないようだ。 「先方が宿まで用意してくれたんだから、それを断る訳にもいかねえよ。こんなことは、稀にしかねえけどな。気にするこたねえよ。一日、木の葉に帰るのが遅れるだけだ。それに、どこかで一泊は考えてた事だからラッキーだと思って好意に甘えんのも悪くねえしな」 「はぁ…」 それとは正反対にトンボは嬉しそうに笑みを浮かべていた。少し神経質なミツバに比べ、トンボは楽天家なのだろう。今の状況を楽しんで居る様にみえる。 「木の葉に戻れば、また新しい任務なんだからお前も肩肘張らずに気楽に考えろや」 用意された宿は少し高級な漂いを見せている。暖簾をくぐると、女将が営業用の笑顔を浮かべて四人を歓迎した。通された部屋は四人では広すぎると言った作りになっている。二間続きになっている部屋は,寝所が別に設けられている作りになっている。座卓を挟んで腰を落ちつけたナルトは当たり前のように、急須に湯を汲んでいる。案内してくれた女中に心付けを渡したシカマルは胡坐を掻きながら、ナルトのする事を当たり前のように見ている。 「ほい、任務後のお茶は格別だってばよ!」 ミツバとトンボの前に差し出される湯呑。大雑把に見えるナルトの小さな心遣いに、二人は少しだけ感心してしまった。ナルトに渡された湯呑から茶を啜っていたシカマルは、ふうっと息をついて慣れた手つきで煙草のパッケージをあさると、窓際に移動した。襖とガラス戸を開けた彼は、悠々と煙草をふかし始める。ナルトはそれに気を止めることなく、用意されていた 茶菓子をミツバとトンボに進めた。 「ナルトさん…なんか慣れてますよね?」 「ん?…ま〜、なんてえか茶を飲むのは習慣だし。けっこうカカシ班ではこうゆう事多いってばよ。遠方に行く時はどこかに宿を取るし、緊急じゃない場合以外は割とゆっくりすんだってばよ」 急いで帰路を辿れば、夜中には木の葉に戻る事ができる。依頼主の計らいと言う事で、宿泊する事に決まってしまったのだが、それはそれで嬉しいみたいだ。 「オレってば、温泉好きなんだってばよ。エロ仙人との修行中も、こうやって温泉地には来てたし…」 エロ仙人という名前に首を傾げたトンボだったが、こうやって宿泊することは初めての経験で半分浮かれていた。その隣では、ミツバが少しだけ難しい顔をしている。 「ミツバ、元気ないってばよ?疲れてんじゃねえの?風呂、行く?」 ナルトに声を掛けられたミツバは、驚いて目を丸くする。 「元気ないなんて、ンな事ないっすよ…?」 「そっかぁ?疲れた時には、やっぱ温泉だってばよ〜」 にんまりするナルトを尻目に窓際で紫煙を吐き出すシカマルをちらりと伺う。 「行って来い、行って来い。夕食の時間までには戻ってこいよ」 それを見のがさないシカマルは、煙草を銜えた口に笑みを乗せている。 トンボは浮足立った様子で、ナルトから渡された浴衣とタオルを手にうきうきした様子だ。ミツバは今度は遠慮せずに、じいっとシカマルを見つめてしまった。ミツバが推測するに……シカマルとナルトは「ただならぬ関係」ではないかとゆう事。時々見せるシカマルの表情など、やっぱり疑ってしまうのだ。それを隠すでもないシカマルの態度も気になってしまう。牽制されている気分になってしまっていた。 それでもナルトに促される様に、温泉に向かった。かけ流しの露天風呂は絶景で、湯の温度もちょいどいい。ナルトと他愛のない話をしながら、湯船につかる。 「あの…ナルトさん」 「ミツバ!ナルトで良いってばよ。さん付されると反対に照れるってばよ」 へへへと笑ったナルトにミツバも笑みを見せる。 「でも、やっぱ先輩だし…」 「シカマルみたくオレは隊長任される様な立場でもねえし…やっぱ、下忍は下忍だし」 ナルトはただの下忍ではない。能力などから言っても、忍のランクは同じでも一目置いてしまうような雰囲気がある。それはシカマルとは違った意味であるけれど。気さくな性格がとても好感が持てて。 「シカマル隊長とは…その、仲…いいんすか?」 ナルトが首を傾げる。その瞬間、頭の上に乗せていた タオルが湯船の中に落ちた。それを慌てて掬いあげたナルトは少し俯き加減で「まあな〜」と軽く返事を返した 。 「アカデミーの頃からの付き合いだし、悪戯仲間っての…?一緒にハメ外した仲間だし、やっぱ…仲良いかな…」 ミツバは口元まで湯船につかる。俯き加減のナルトの頬が少しだけ赤い。それはこの温泉の所為だろうか。 「そうなんすか…」 「なんだよ、ミツバ。その信じてねえみてえな口調!」 「信じてないとかじゃ、ない…けど」 じっと黙ってしまったミツバにナルトは困ってしまう。そんな様子を見たトンボは、へへっと笑った。 「ミツバって神経質だから気にする事ないですよ〜。いつも、こんなです、ってか…気になる事あるとなんかずっと気にしちゃうんだよな?」 トンボにさり気にフォローされたミツバはバツが悪そうに顔を背ける。 「へぇ……じゃ、なんか気になる事あんのか?」 ナルトの何気ない質問に、ミツバとトンボは固まってしまう。まさか、シカマルとの仲を怪しんでいますとは言えない。そんな風に見られていると知ったら、流石のナルトも気分が悪いだろう。 「なんにもないですっ!」 思わず立ち上がったトンボに驚いたように目を丸くしたナルトはぷっと吹き出す。 「可笑しいの…」 「おい、トンボ」 「あ…あの、ほんと!なぁ、ミツバ」 「気になる事があんのはトンボじゃなくてミツバなんじゃなかったのか?」 「……そう、でした。はは…」 作り笑いを浮かべたトンボが、じゃぼんと湯船に浸かった。その姿をみたミツバは「ば〜か」と口パクで伝えてから、むすりと口を歪めた。 ナルトは二人と他愛のない会話を続けてから、早々に温泉から上がってしまう。 「ばか!」 その背中を見送ったミツバは、今度は声に出してトンボを睨みつける。 「あんな言い方したら、めちゃくちゃ怪しいだろ?」 「だって…ホントのことじゃん。ミツバ、すごい気にしてる癖に…」 「うるさいなぁ」 「なんだよっ!何も見てない事にするって言ったの、ミツバだろ?」 二人の間に火花がパチパチ鳴った。だが、それもすぐに溜息に変わる。 「気にしないようにしても、やっぱ気になる……」 「だよなぁ」 トンボの含み笑い交りの同調に、ミツバもこくりと頷いた。
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Diary2222 キリリクです!
糸葉さま…本当に長らくお待たせしてしまいごめんなさい(>_<)
リクエスト内容は「下忍達にシカとナルが付き合っているのが発覚されるが……」です。
……の部分は次回アップですね。
ってゆうか、やっぱ続きものじゃんよ〜。待たせた挙句、これかよ!みたいな(笑)
書いても書いても終わらなくて、キリよく(嘘っぽい)分けてみました!あはは〜
なるべく早く次回アップを目指す!
下忍ちゃんの名前はお友達のSちゃんにつけてもらいました。
それまでは、AくんとBくんでした(^^ゞ
ほら、RUI…名前とか考えられない人だから。