グルメ

 

 

 

HAPPY Halloween 2010-2

 

 

 達してしまっても、不完全燃焼な気がするのは腕の中に抱きしめたシカマルの熱を感じたいから。そんな風に考えた自分に恥ずかしくなるのだけれど、やっぱり走り出したら止まらないのはお年頃な男の子の悲しい事情も考慮してほしい。

「シカマル…」

 名前を呼ぶ声に欲望を閉じ込めた懇願。素直に欲しいと言えないけれど、抱きしめられているだけで満たされる感もあるけれど、……足りないナニカを埋めたくて仕方なくなってくる。

 どちらが先に罠に落ちたのか分からないけれど、ここまでくれば同罪だと思える。

「ナ〜ルト」

 名前を呼ばれたり、髪に触られたり、些細なスキンシップが好きなナルトのツボを押さえているシカマルは、ちゅっと髪にキスを落とした。その瞬間にナルトの気持ちもクテンと落ちる。

「も…シカマルが好きすぎて困るってばよ」

「困るなっての」

 こすれ合う肌の摩擦が生み出す熱。

「ん…っ」

 きゅっと瞑った瞼と震えたまつ毛。目尻から零れたのは生理的な涙。下半身だけが露わになっている事も恥ずかしいのだが、明るい部屋の真ん中で全てをさらけ出すのも恥ずかしいと感じてしまう。

 状況を全部シカマルに丸投げして、ナルトはじっとシカマルを見上げる。降りてきた唇を受け止めて、熱い舌を絡めて口づけを深くしていった。ジンと溜まる熱が身体の奥から沸き上がる様な浮遊感を味わう。

 当初の目的からは随分と外れてしまったような気がするが、ナルトとしては結局の所シカマルにキスされて抱きしめられて、その先を断るだけの理由が見つからない。

 シカマルの指がナルトの下半身に伸びた。先程熱を解放されたばかりのそれは、快感を与えられる事に期待してかすぐにむくりと反応する。

「あ…っ、ん」

 根元の方から絡め取って、先まで指の腹で撫ぜる。

「シカ…っ」

 切羽詰まったみたいに声を発する恋人が可愛くて、見上げてくる潤んだ瞳も色っぽくて、すぐにでも繋がりたい衝動に駆られた。

「おいおい、ンな目…すんな。我慢できねえだろ?」

「オレも我慢できねえってばよ、もうっ!」

 剥れたような尖った唇がキスの余韻で赤くなっている。濡れた唇の合間から舌を差し出されると、誘われているようでその引力に逆らえない。全てが無意識の行動でナルトからしてみれば、煽っていると言う気は毛頭ない。それでも、十分にそれに値する様をシカマルに見せつけているのだ。

 舌を絡めながら唇を愛撫し、歯列を割りながら手のひらでナルトの陰茎を包み込む。先走りですぐに濡れた指の間に透明な液が滴った。陰嚢をやわやわと触ると、眉を寄せながら仰け反る白い首筋。

 唇を移動させて首筋から鎖骨に舌を這わせると、ひどく感じるのかナルトの身体が震える。期待を裏切らないつもりで双丘の間に滑り込ませた指先を、収縮する孔に挿れていく。

「緊張してんぞ?」

「だ…だって……」

 力を抜けばもっと楽に挿入できるのに、強張った窄まりがシカマルの指をきゅうっと締め付けた。それを感じているのはナルトも同じなのか顔を赤くして、首を左右に振る。指先に生温かい粘膜の襞を感じ、絡みつくように奥へと誘う動きに思わずにやけてしまう。ちゃんと解さなければ傷ついてしまうのはナルトの方で、もちろんシカマルもそれを望んでいない。まずは一本、遠慮はないが探るように奥へ進み、次に二本目。ナルトが泣きを入れるまで、中を蹂躙するために差し入れる凶器。

 くちくちとなる後腔の中でばらばらに動かした指で、ナルトの悦いポイントを責める。快楽を受け入れる事を同意した身体が柔軟になるまで。

「あ…っあ、あっ…」

 短い悲鳴に似た嬌声。上ずるみたいな声が鼓膜に届いて、身体の奥を刺激する。いつの間にか首に絡みついた二本の腕がシカマルを抱き寄せる。丁度、耳元でナルトの声を聞いて興奮せずにはいられない。お互いの期待を込めて抽出をする指の動きに、ナルトの腕が振るえる。

「シカマル、や…っも、やあっ…」

「ん? 嫌か?」

 もっとはっきりと言葉にして聞きたい。欲しいのは、シカマルしかいないと。幼稚なまでの独占欲と支配欲がぎりぎりの所で切磋琢磨しているのだ。

「……んっ、……あっんっ……」

 ゆっくりと指を引き抜くと、はあっと息を吐くナルトの姿が見える。唇を合わせて、昂ぶる気持ちを押さえつけるのも忘れてナルトの孔へ欲望の先っぽを宛がう。

「ふ…っぁ…」

 ぐいぐいと少しずつ侵略。

「ナルト」

「ん? …うん」

 大丈夫だと言うようにコクコク頷くナルトが可愛くてしょうがない。

「好きだぜ?」

 思わず口にしてしまうと、ナルトも真っ赤になりながら「オレも」と答えてくれた。深く奥まで入るには時間はいらなくて、ひとつになったら温かい気持ちと一緒に灼熱みたいな熱が二人を犯した。

 揺れるのは視界なのか思考なのか。

 何度も何度も口づけを交わしながら、駆け上がるみたいに絶頂を探す。

「あ…っあ、あ…あ…あっあっ…ん、…やっ」

 感じる場所にシカマルの熱を感じると、無意識に熱の楔を締め付けてしまう。そうすることで、シカマル自身を生々しく感じた。もっともっと感じたいと思う反面、もう限界まできているような気もする。

「も…う、だめ…っ…て」

 ふわりと浮いたような感覚と、強烈なほどの快楽とが交じり合って身体の中を犯す。その中心にあるものはシカマルの雄で、粘膜の擦れるような淫猥な音だけが耳に響いてきて気持ちが高揚してしまう。

 びくびくと痙攣したナルトはシカマルの白濁を受け止めて、身体の緊張を解いた。荒い息は二人とも同じで、それが呼吸と一緒に重なる。愛しそうに見つめてくれる瞳に急に恥ずかしくなる。

「……シカマルの、ばーか…」

「馬鹿はお互い様だろうがよ」

「ん…ま、そうかな」

 ぎゅっと抱きしめあって、二人が洋服を着たままである事に気が付いてくすりと笑った。余裕のないセックスは、週末だけと決めた二人のルールで久々の触れ合いだった所為にしてまおう。

 二人でいちゃいちゃとしている所でヨシノの呼ぶ声が聞こえる。もちろん、晩御飯を知らせるものなのだが、のそのそと身体を起こした二人は視線を合わせて口元を綻ばせると、もう一度キスをした。

 

 

 

 

「なんで、親父はナルトが来るのに合わせて早く帰って来るんだ?」

 毎回不満に思っている事を口にすると、ガハハとシカクに笑われただけだ。

「そんなの決まってんだろうが、おめーの態度が超可愛いからに!」

「……マジ気持ち悪りぃから、寝言は寝てから言えっての」

 うんざりするような顔でシカマルは皿の中のフライを突く。卓上フライヤで、衣をつけて揚げていく作業にナルトは夢中になっていった。ナルトのいる時のシカマルの態度が、親から見て子供っぽく興味を引かれる。可愛いと言うのは嫌がらせなのだが、強ち嘘でもない。

「シカマル〜。熱い内に食べるってばよ、これカボチャ!」

「お前も揚げてばっかいねえで食えよ」

「食べてるって!」

 食べているよりも絶対に揚げる作業の方が多いと思う。シカマルは熱々のカボチャを口にしてふと思いついた。

「ナルト。しし唐とカボチャもう一つな。あと…そうだな、エビと玉ねぎも頼むわ」

 皿の上の具材をざっと見てから頼むと、嬉しそうにキラキラした瞳で見てくるナルトはいそいそと作業に入る。串に野菜やエビをさすと本当に嬉しそうにフライヤに投入していく。えへへと笑って席についたナルトは油の中で上がってくる具材を楽しそうに見ていた。

「ナルトくん、もうエビはいいわよ?」

「そっかなぁ」

 串を持って得意げにシカマルに差し出すと、次は野菜たちを油から上げている。空になっているシカマルの皿にリクエストされたものを乗せていく。シカマルはにんまりと笑うと、その皿とナルトの前にある皿をシフトした。

「…へ?なんだってばよ…?」

「お前が食えって事」

「食ってるって言ってんじゃん!」

「食ってねえよ、野菜は。特にな」

 反論できないナルトは、渋い顔つきのまま箸を持つ。シカマルはいつもの如くナルトが騒いでいる間にだいたいの食事を終えていたので、食後のお茶をすすっている。彼が遊びに来ると、毎回このパターンだ。

「玉ねぎ、甘かったぞ。食えよ」

「食べてる…って」

 オニオンリングにパクつきながら、むしゃむしゃと咀嚼する様を見つめ、くすりと笑ってしまった。ナルトは食べるよりも作る方に熱中してしまったので、自分の作ったものを美味しく頂くという趣旨を無視していた。ヨシノがせっかく立てた「少しでもおいしく優しく野菜を食べよう」作戦は少しだけ失敗。

 そんな二人のやり取りを微笑ましく見守るヨシノは、シカクの空いたグラスにビールを注いでいる。

「そう言えば、明日はハロウィンパーティやるんですって?」

「ウン。でも、仮装してお菓子食べるだけなんけど……」

 いきなりその計画を持ち出してきたのはナルトである。せっかく二人でだらだら出来ると思っていたシカマルは、友人たちを呼んでのパーティに実を言うと辟易だったりする。明日になったら、全員腹痛でも起こして流れないだろうかと、無駄な事も考えてみた。だけれど、ものすごくナルトが楽しみにしているのでその楽しみを奪うのも難だと思ってしまう。自分なりに懐が深いカレシだと自負しながらしょうがなく頷いたのだ。仮装だと言っても、はっきり言ってなにも思いつかない。なので、その点に関しては自由という事にしてシカマルは参加する気持ちは全くと言っていい程なかった。

「なら、おばさんもお菓子作っておくわね」

「わー!ありがとだってばよ。 やったな、シカマル」

 とりあえず心の中にある余裕は、先程ナルトを美味しく頂けた事に関係している。今夜も課題がどうだとか言っているが、早々に済ませてナルトと自堕落な夜を過ごしたい。

 にやついているシカマルをナルトは自分の意見に同意したと勘違いして食事を再開していた。

「なんだ……またおっちゃんの将棋には付き合えねえって事かよ」

 シカクは不満そうだが、子供たちの楽しみにまで口を出す気はないらしい。ちびちびと温くなってしまったビールを飲みながら、ナルトが上げてくれた串カツなどを咀嚼しているのだ。

「んーごめんな、おっちゃん。明日までに課題終わらせてパーティの用意とかしなくちゃいけねえし。今度こそ、おっちゃんと将棋するから許して欲しいってばよ。それにもうちょっと強くなんねえと、おっちゃんもつまらないって」

 そんな時間を作る必要はないと言う言葉が口をつきそうになりながら、寸前でそれを飲み込む。ここで父親から上げ足を取られたらたまったもんじゃない。

「ま、今夜は課題片付ける気満々だもんな。ナルトは」

「そうなんだってばよ〜〜」

「袖の下をもらっちゃったんですものね、ナルトくん頑張ってね」

 クシナからの土産をそう称したのはナルトで、その団子を食べている途中に愛の営みに突入してまったナルトは、それを思い出したのか顔を真っ赤にした。繋がった熱の燻りを感じるのはシカマルも同じで、ナルトもそれを感じてくれていることに内心ほくそ笑んでしまう。

 休みの前日だけでなく、いつでもシカマルを求めていると告白されたのはもう一年も前の話。最後まではいかなくても、少し過度になるスキンシップをする事も増えてきた。どうしようもない衝動が湧き上がる瞬間というのは、共感できるものらしい。都合のいい以心伝心。目は口ほどにものを言うというのは本当で、ナルトの瞳には独特の引力が存在しているのだ。

 キスだけで済んでしまう時もあれば、もっと違う解放も求めてしまう時もある。正直なナルトの告白にタカが外れてしまう事もしばしばなのだ。

「今日はの課題はなんだっけな」

「シカマル、もしかしてもう終わってんの?」

 驚いたように目を丸くするナルトにシカマルは苦笑する。

「まーな」

「遅れを取った気がするってばよ」

 うううっと落ち込んだ頭をぐりぐりと撫ぜて、「ま、頑張ろうや」と付け足して縋るように見上げてくる青い瞳に優しい感情が気持ちを満たす。

「まずは、目の前のモンを食っちまえよ?」

「だよな〜〜。も一個だけ、串カツ食べたら課題やる」

「待っててやるから、ゆっくり食えよ」

 年は近いが、弟を構う様なシカマルの態度にヨシノもシカクも子供の成長を感じたりしているのだ。シカマルが隠そうとしないから、ナルトを純粋に可愛がっているのが目に見てとれる。

 味気ない食事の時間に、潤滑剤のような潤いを与えてくれるナルトの来訪はシカクたちの楽しみのひとつにもなっていた。

 

 

 

  

 

 

 

わわわあ。また、続いてしまった。

不覚、不覚。

次回こそラストですので。

シカとナルがいちゃいちゃするためにある、ハロウィンになっています。