美容外科口コミ 過払い

 

 

 

始まりの朝 1

 

 

 白い包帯から見える瞳は閉じられている。すぅすぅと安らかな寝息を立てている顔を見て、なぜかほっとしてしまった。シカマルはベッドの近くに丸椅子を引き寄せると、どかりと座って眠るナルトの顔をじっと見つめる。

 サスケが木の葉を抜けて、その奪還にも失敗した。小隊長を務めた隊の仲間は、ナルトを含め重症の者が殆どで、瀕死の状態から脱した今でも重態であることは変わりない。シカマルは無意識のうちに、そっとナルトの頬に手を伸ばした。こんな事でナルトが目を覚ます訳がないと思い、そっと指の背で撫ぜる。ぞっとするくらい真っ青だった顔にも生気が戻り、その呼吸も落ち着きを取り戻している。

 それでも、ナルトの目元が少し赤いのは、サスケの事を思って泣いているからだろうか。シカマルは、ちっと舌を鳴らす。すると、ゆっくりとナルトの瞼が上がった。驚いてすっと腕を放す。瞼の奥からは深い青色の瞳がじっと自分を見つめている。

「シ、カ…」

 こほこほと咳き込んだナルトは、ベッド脇に置いてある水差しを指差す。

「ああ。水な」

 シカマルはそっと水差しをナルトの口に入れた。少し傾けると、コクリコクリと喉を動かすナルトの姿が目に入る。ナルトはそっと水差しを制止して、「ありがとよ」と笑う。

「…ちょっと乾燥してるからな。喉、大丈夫かよ?」

「ん、大丈夫だってばよ。ずっと寝てたから、ちょっと喉が渇いたんだってば」

 いつも通りの笑顔を浮かべるナルトの姿を、シカマルは痛々しい気持で見つめた。

「そっか…なら、いいんだけどよ。メシ、食ってるだろうな?」

 点滴の外れたナルトは、流動食からの食事が始まっているはずである。シカマルの言葉に、ナルトは口をむうっと顰めている。

「あんなのメシじゃねぇってばよ」

 確かに、流動食なのだからナルトの望む食べ物ではないのかもしれない。ナルトらしい科白を聞いて、シカマルは口元を緩める。

「しょうがねぇだろ?何も食ってないとこに、いきなり重たいもん食ってみろ。いいことは何もない」

「一楽のラーメンが食いたいってばよ。俺、もう退院とかでも全然かまわねぇし。綱手のばあちゃん、心配のしすぎなんだ」

 心配もするだろう、と言う言葉をシカマルは飲み込む。ナルトが木の葉病院に運び込まれたとき、彼は意識はあるものの相当の深手を負っていた。サスケとの戦いで。

シカマルは傷ついたチョウジ、ネジ、キバをただ治療が終わるのを待っているしかなかったのである。カカシに連れられてナルトが無事に帰還したことを知り、彼の元にかけつけナルトの姿を見たとき蒼白した顔色に背筋にぞっと冷たいものが走った。それは、つい最近の出来事であり、今では仲間の調子も随分と上向きに回復している。

「…退院したら、連れっててやるよ」

「えー?マジマジ?それって、やっぱシカマルの奢りってやつだよな!」

「しょうがねぇ」

 シカマルは金色の髪に自分の手を乗せると、くしゃりと撫ぜた。

「シカマル…?」

 ナルトはじっとシカマルを見つめる。いきなり自分の世界に入ってしまう彼の姿は何度も目にしたことがある。そんなに珍しくもないのだが、シカマルの顔はなんだか辛そうだ。

「オレは…大丈夫だってばよ。昔っから丈夫なのだけが取り柄だし、すぐに怪我なんて治っちまうし…」

「悪かったな、ナルト」

 ナルトは首を傾げてしまう。何に対して彼が謝っているのか、分からないのだ。

「なんだよ、シカマル…」

 難しい雰囲気にナルトの気分も沈んでしまう。いつもの彼なら、くだらない冗談でも言って場の雰囲気を盛り上げてくれるだろうに。

「サスケ……」

 シカマルの声に、ナルトがぴくりと反応する。

「大蛇丸んとこ、行かせちまって…」

「悪いのは…オレだってばよ。結局、最後にサスケを説得できなかったのは――」

 ナルトは悔しそうに唇を噛む。

「オレが弱いから、サスケは……」

「ナルト」

 シカマルは、ナルトの口からサスケの名が出るたびに、どうしようもない気持が胸の中をざわつかせるのを感じた。聞きたくない。水を向けたのは自分だと言うのに、この話を終わらせたい。

「サスケはオレにとって、ダチで…仲間で」

「ナルト…もういい」

 ナルトにとってのサスケの存在。それは口にされなくても、なんとなく想像できていた。それを認めるでも否定するでもなく、二人の関係を外側から見ていたのは自分だ。ナルトにとって、サスケの存在がどれだけ大きなものになっているかなんて、自分には関係ないと思っていた。自分とナルトが友達であり、仲間であることは変わりようがないのだから。それ以上を求めない限り、ナルトと自分の関係は変わらない。

 シカマルは、自分の中に生まれた感情にすぐに名前を付けられる。みっともないほどの、嫉妬心。今、目の前にナルトはいるのに、彼の心はここにないのではないのだろうか。今でもサスケの存在を追い、目の前の自分を見てはいないのではないだろうか。そう思うと、どうしようもない憤りが湧き上がる。ナルトからしてみれば、シカマルの勝手な感情の起伏に迷惑するだけしかないだろう。

「オレはサスケを助けたいってば……シカマル?」

 ナルトは怖いくらいの目つきで自分を見つめていたシカマルに視線を向けた。彼は無言のまま、自分を見つめている。頭の上に置かれた手はそのままだった。

「シカマル、なんか…顔怖いってば」

 シカマルは喉が異様に渇くのを感じる。いつもなら人の先の先を読み、面倒くさいことからは上手く逃げてきた。目の前に起こる出来事は、いくつかのシュミレーションのひとつのはずなのに、今の自分の頭の中は真っ白だった。こんな事は生まれて此の方初めてのことで、自分自身でもよくわからない状況の中にいる。

「お前はサスケが…好きなんだろ」

「…!なに言って…」

「チョウジやキバや俺をダチだから嫌いじゃねぇってのとは違って、サスケの事は、好きなんだろう?」

「………」

 ナルトは無言のまま、シカマルの視線から逃げるように俯いてしまう。何も反論しないことが、シカマルの言葉を容認しているようで、急に腹立たしい気持ちになった。

「サスケもお前のことが好きだったのか」

「知らねぇ…」

 ぽつりと呟く声には覇気がない。

「お前のことが好きなのに、木の葉を捨てて大蛇丸のとこに行ったんだな」

 我ながらひどいことを言っている自覚はある。ナルトの傷口に塩を塗りこんでいるのだ。ご丁寧に傷口を指先で弄って、血の滴る傷口に。

 顔を上げたナルトは辛そうに唇を噛んでいる。一番辛いのは、ナルトであることは容易に想像できるのに、シカマルはナルトを虐遇に追い込む事で、自分の腹の中を探る。

「…シカマル、なんで急にサスケの事持ち出すんだよ?」

「それは…」

 答えなんて、あるようでない。ナルトが感情に任せて生きているのと同じように、シカマルは理性の中で生きている。

「お前が…サスケのことで泣くの、見てると腹立つんだよ」

 全身でサスケの事が好きだと告白されているようで、妙に腹立たしい。

「泣いてなんか!!」

「泣いてるじゃねぇかよ」

 シカマルは、ナルトの青い瞳から零れた雫を指の腹で拭う。

「これは埃が入ったんだってばよ…」

 その指をナルトの手が払うように添えられる。

「サスケは、絶対に大蛇丸なんかにやらねぇ。絶対に助け出してやるんだってば…」

 シカマルは音の忍びの言葉を思い出す。サスケは望んで大蛇丸の元へ向かったのだ。強制されるわけでもなく、自らその身を堕とした。ナルトはサスケが望む望まないを別にして、自分の考えを曲げないだろう。サスケ、サクラ、ナルトと第7班でのスリーマンセルとしてやってきただけの「つながり」だけでなく、サスケとナルトの間にできた新しい絆を見せ付けられるような気分で、一瞬滅入る。だけれど、サスケはそのつながりを、自分から断ち切ってナルトに背中を向けた。どんな理由があるにしろ、それは変わらない事実である。

「サスケのこと、諦めろなんて…そんなめんどくせーこと言わねぇよ―――― でも」

「し、シカマル?!」

 シカマルはぎゅっとナルトを抱き寄せた。身体のどこらかしかが痛むのか、一瞬身じろいだナルトは思ったより素直にシカマルに身体を預けた。

 

 

 

 

 

 

 

アニメ見ても原作読んでも、サスナルってありだよなぁって思う、ワタクシ。

いや、けっこう好きです(節操ナシ)

サスケガ大蛇丸んとこ行っちゃって、奪還失敗した後の話です…

続き物になってしまった(滝汗)