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GAME 2
ナルトはスキップをしてしまいそうなくらい上機嫌で、シカマルの隣を歩いていた。 「お前…やけに機嫌いいな?」 「一楽のラーメンは最高なんだってばよ〜♪」 満腹になったナルトは、幸せそうな顔でにへらっと笑う。それを見てシカマルもほわりとしたな気分になるから不思議だ。まぁ、あれだけ食べたのだから満足してもらわないと反対に困ってしまうのだが。 「食い物も美味そうに食うし…なんか、見てるこっちが嬉しくなんな」 「だから!シカマル〜…一楽のラーメンは最高なんだって!」 そう言ってから、じいっとシカマルの顔を見つめる。 「ンだ…?」 シカマルが訊ねると、ナルトは真っ赤になってぶんぶんと首を横に振る。そして、両手で自分の口を塞いで座り込んでしまった。 「おい…何してんだ?」 「………我慢」 指の間からぽつりと漏れる声。 「何の?」 「…………それは」 シカマルは黙ってナルトの返事を待つ。だが、一向にそれが返ってくる気配がない。「う〜」とか「あ〜」とか言葉にならない声を発しているだけで、俯いたままだ。 「気持ち悪りぃな。言えよ」 ナルトはシカマルを見上げる。ばっちりと視線は合うが、ナルトは口を噤んだままだ。ただ、じいっと見つめられるだけ。上目づかいに視線を向けられたシカマルは、ふうっと溜息をつくとナルトに向かって右手を差し出す。 「立てって…」 「あ…うん」 素直にシカマルの手を取ったナルトは、立ち上がってもそっぽを向いたままだ。その頭にシカマルの手が乗せられる。 「バカナル!おめえの考えることなんざ、言われなくても分かるっつうの…」 「えええ〜っ!」 シカマルの科白にようやくナルトが顔を向けた。シカマルはにやりと笑うと、ぐりぐりと金色を撫ぜてやる。 「い、痛てぇってば!」 「お前がさ、我慢とか似合わねえし」 「…なんでだってばよ」 「無理してるっぽいつうの?性じゃねえってコト。分かるか?」 ナルトは一応考えるが、よく分からなくてぷうっと膨れる。 「それって、オレの事バカにしてんじゃねえの?」 「バ〜カ、履き違えんなって」 「今、バカって言ったじゃんっ!」 必死になって噛みついて来るナルトの態度を見たシカマルが、思わず吹き出す。いつものナルトを見た様な気がして、何故か楽しい気持ちになった。彼が彼らしくない様を見て居たくない、と言うのが本音だ。「何か」を我慢させている原因が自分である事も承服できない。 「帰ろうぜ〜」 「あ…そうだってばね」 帰る場所というのは、ナルトのアパートである。それを頭に浮かべたナルトはユデダコのように真っ赤になった。シカマルがこうやって自分の所へくるのは久し振りなのだ。毎日の様に顔を合わせる度に彼に自分の気持ちを告白したくなるのは、やはりシカマルに構って欲しくて拗ねていたからだろうか。 ナルトは首を傾げながら、少し離れた背中を慌てて追いかけた。
ガチャリと言う音を立てて鍵が回る。その音を聞いたシカマルが、ふいっとナルトに顔を寄せた。正しくは鍵穴を覗きこむようにしたのだが。 「油差しといた方がいい音してんな…開けにくくねえか?」 「……ンな気もすっけど、こんなもんかと思ってた」 全く気にしてなかったナルトは銀色の鍵を、二人の顔の間に掲げてみる。 「変な音しただろ?」 「そうかなぁ…」 呟きながらドアノブを回したナルトは、サンダルを脱ぎ捨てて部屋へ上がった。薬缶に水を入れてコンロにかける。後は、お茶を飲むために茶葉と急須と湯呑を用意するだけだ。一連の準備を終えたナルトが、シカマルが居ない事に気が付いた。 「シカマル〜?」 コンコンとトイレの戸をノックしてみるが返事はなく、玄関先から返事が聞こえた。三和土に裸足で降りたナルトはしゃがみ込んでいるシカマルの隣にしゃがみこむ。 「何してんだってばよ?」 「見てわかんねえのかよ。油差してんだよ、油。お前の事だから自分でやりそうにもねえからな」 「あ〜…サンキュ」 シカマルの言う事は尤もである。彼に指摘されなければ、開けにくくなっていた鍵にも気がつかなかった。開けにくくても開かない訳ではないのだから、特に気に留めない。 「おい、呼んでんぞ?」 「へ?」 「薬缶、…鳴ってる」 「お茶いれようかと思ってさ、沸かしてた」 湯が沸いた事を知らせる薬缶の笛の音が響く。それでも動かないナルトを不思議に思って、シカマルが顔を上げる。視線が合ったナルトはにっこりと笑った。 「好きだってばよ、シカマル」 そして、触れるだけのキス。驚いた顔をしているシカマルの顔を見たナルトはくすりと笑ってから立ちあがった。 「お茶入れて、待ってるってばよ」 「…手、洗ったら行くわ」 トントンとフローリングに響く足音を聞いたシカマルは、思わず三和土に座りこむ。キスなんて数えられないくらいしていると言うのに、不意打ちのように訪れた柔らかい唇に思わずあっけに取られてしまった。ナルトとの触れ合いが足りていないのは自分なのではないかと言う気になってくる。顔が熱いのはきっと、頬が赤らんでいるから。ナルトに笑われた理由を探して、シカマルも思わずふっと笑う。 油の付いた汚れた手を洗ってから、部屋に入る。いつものようにベストを脱ぎ捨てて、ダイニングの椅子に腰かけた。 「悪りぃな」 湯呑を差し出されて、当たり前のように受け取り口を付けた。 「悪りぃのはオレだってばよ。助かったけど」 「別に…あれくらい大した事ねえよ」 「でも、嬉しかったし」 へへっと笑って同じように湯呑に口を付けるナルトを見て、シカマルは口元に笑みを乗せた。 「ンな感動されるとこっちが恐縮すんな」 「オレの為に何かしてくれるのって、嬉しいじゃん。オレの事好きだからしてくれるのかなぁとかさ…」 自分の言葉に照れたのか、ナルトは口を閉じて湯呑をじっと見つめる。 「違う?」 可愛い事を聞いて来る恋人が愛しくて堪らない。 「違わねえ」 ナルトの手が、湯呑に添えられているシカマルの指に触れる。二人を隔てているのはダイニングテーブル。触れてきた指に、シカマルも指を絡めた。 「お前の事が好きだから、なんかやってやりたくなるんだろうな。ま、下心込みってやつだぜ?」 ぎゅっとナルトの指に力が込められる。 「シカマルなら……全然、オッケーだってば」 ナルトが強くシカマルの手を引いた。シカマルもそれに逆らう事はしない。ナルトはシカマルの前まで移動すると、腰を屈めてシカマルにキスを仕掛ける。繋がっていたはずの指と腕は、彼の首に回されていた。軽く触れるだけのキスから始まり、角度を変えて触れ合う唇が、それだけでは足りないと熱を求める。絡まる舌は熱くて甘くて。 「シカマル…」 離れたナルトに寂しさを覚えて、シカマルは彼の身体を抱き寄せる。耳元に唇を寄せて、耳朶をぺろりと舐めた。 「好きだぜ?ナルト」 ぴくりと反応したナルトが、シカマルを立たせるように促す。容易い力で立ち上がったシカマルはナルトのしたい様に身を任せた。身体が微熱を孕む様な高揚感。 ナルトがぐいっとシカマルの身体を引き寄せる。 「好きだってばよ。何回言っても足りねえんだって…」 「だから、どーすんだ?」 「こうする!」 ナルトは何を考えたのか、思いっきりシカマルの足を払う。 「は……?」 シカマルは目が点だ。突然の事で反応が遅れた事もあり、一歩も二歩もナルトから出遅れた気分でベッドに押さえつけられている。そのシカマルの上に勢いを付けたナルトがダイブした。 「襲ってやるってばよっ!」 ナルトの体重がいきなり鈍い痛みとなってシカマルを襲った。 「マジかよ……おいっ!!」 シカマルはぽつりと呟くと天井を仰いだ。ナルトと言えば、ぎゅうぎゅうと自分の身体に抱きついてきている。 「シカマル〜!好きだってば〜っ」 猫の様にじゃれてくるナルトに溜息をついたシカマルは、その金髪をぐりぐり撫ぜた。 「お前…ちょい展開、違わなくねえか?」 「今までめっちゃ我慢してたんだって!もう、言いたくて堪んなかったんだってば」 「いや…だからよ、言い足りないんだろ?」 「……へ?」 一度は余りの驚きであっけに取られてしまったシカマルも、今となれば十分に冷静さを取り戻している。懐いて来る大きな金色の猫の身体をぐるりと回転させて、自分が沈められたベッドに張り付ける。 「普通、こうゆう展開じゃねえの?」 ぱちくりと瞬きしたナルトは、シカマルに抱きついて告白出来た事に満足しているのか不思議そうな顔つきで自分を覗きこんでくる顔を見つめる。 「シカマ…っ…ン!」 無駄口を叩く暇も与えるつもりはない。名前を呼ぼうとした唇を塞ぐ。甘いと感じた舌を絡めとって、その口付けを深くした。愛撫するように舌を絡め合い、ナルトの身体から力が抜けるまで口内を蹂躙した。 「……シカマルに好きって言ってもらえたら、な〜んか落ち着いたんだって」 「別に俺は落ち付いてねえし…」 「あ…あの、あのさ!シカマル……オレってば、明日早朝から任務が …――――――」 「んじゃ、差し支えない程度で許してやるよ。今日まで散々煽られたんだからな?」 にやりと笑ったその口元が艶を乗せている。ナルトは複雑な気分のまま眉を寄せた。 「マジ?」 「さあなぁ〜」 首筋を辿る熱い舌の感触にナルトは意識を奪われる。自分を抱くシカマルの匂いが鼻孔を刺激して、それすらも快感に変わる瞬間。 「あ…シカマル……」 「好きだって言ってんだろうが、バカナルト」 「んん…っ、オレも、好き……って…」 ふわりと浮く様な不思議な感覚に、ナルトは全てを奪われていった。
むすりとしたナルトの前には、にこやかに笑うチームメイトが居る。 「おはよう、ナルト。機嫌良さそうだね?」 「おめえの目は節穴か!節穴以下かってのっ」 「えっと、節穴…節穴ね。まず、板などの節が抜けおちたあとの穴」 チームメイト事サイは、にこやかな笑みを絶やさないまま辞書をぺらりとめくった。 「……見る能力のない目。見えるはずのものを見落としたり、物事の意味を見抜く力のないことをあざけっていう言葉。――――― …ひどいな。ボクは見たままを言っただけなのに。ボクって節が抜け落ちた穴以下の目ってこと?」 ナルトの頬がぴくりと反応する。一応、お愛想でも笑みを浮かべる努力はしているだが、それは無駄な努力に終わりそうだ。 「オレのどこが機嫌良さそうに見えんだってばよ」 「えっと…だって、ボクの催眠暗示。……解けてるよね?」 ナルトはうっと黙る。時は遡る事、半月程前の出来事。ナルトはサイとくだらない賭けをした。見事と言うか、最初からそうなる事が決まっていたかのように賭けに負けたナルトはサイから罰ゲームとして催眠暗示を掛けられたのだ。 「見てるこっちがせつなくなるくらい告白してたのに……」 「はあ〜?ぜってー違う!お前の目はそう言ってねえってばっ。完全に楽しんでる目だろうがっ」 サイはくすりと笑う。もちろん、ナルトの言う通りだからだ。 「それにその取って付けたみてえな笑顔!」 「ごめん、生まれつきだから」 「嘘も休み休み言えってばよ!」 集合の時間が迫っているので、もうすぐサクラもやってくるだろう。ナルトはむすりとしながら口を噤んだ。 「暗示が解けたって事は、やっと言ってもらえたんだね。好きって。でも、半月も告白し続けてやっと返事なんて、やっぱりシカマルはチンポの小さな男なん………」 「ふざけんな〜〜〜〜!お前に語られたくねえってのっ!」 「あはは。ごめん、ナルト。本当の事過ぎて笑えないって感じ?」 「お前とは会話成立しねえ。それを求めたオレが馬鹿だってばよ……」 「まぁまぁ。ナルトがバカなのは知ってるから」 この場所にいのが居たら卒倒しそうな程の爽やかな笑みを称えたサイを見て、ナルトは気が遠くなる感覚を覚える。このネタでどれくらいの間からかわれるのだろうか…そう考えると、笑うに笑えない。 「また、する?…賭け」 だが、ナルトはノ―と言えない。言えないのだ。言えない自分がとても嫌なのだが、勝負を挑まれて背中を向ける事にハラワタが煮えくり返るから。 「上等だってのっ!」 そして、啖呵を切って後々後悔の嵐の中で佇む事となる。
次のゲームの始まりの鐘は鳴る。 準備はいいかい?…嘲笑うサイの笑顔がナルトの脳裏に消えて行った。
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お待たせしました〜。
お待たせしたけど、内容どうよ?みたいな……
期待を裏切る事には自信があります(/_;)
しののさまから頂いたリクは
「催眠術にかかったナルトが好きな人(シカマル)に会うたびに愛の告白をし続ける」
「たまにはナルトから仕掛けて欲しい」
と言うものでした……。仕掛けてる様で仕掛けてないよね。
結局はシカマルに頂かれちゃってるよね?
す…すみません(土下座)告白だけは、クリアしました!
や、自慢できませんが……
しののさま、よろしいでしょうか。(よくねえ!)