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GAME
「なんか、身体がだりぃってばよ〜」 ナルトの両隣にはサクラとサイが居る。猫背で両手をだらだらして歩くナルトにサクラは眉を潜めた。 「…ってか、今日の任務で何が疲れんのよ!あんた、ちょっと軟弱者になったんじゃないの?気合入れなさいよ、キ・ア・イ!」 「まぁまぁ、サクラ。ナルトだって人並みに疲労を感じる事くらいあるって事だよ」 ナルトがむすっと口をへの字に曲げる。 「おい、サイ!なんかその言葉にトゲを感じんだけどっ!」 「え?ボクはほんとの事しか言わないし……」 困ったように笑顔を見せるサイに、ナルトは深い深い溜息をついたのだ。確かに今日の任務は内容からしても、そんなに大したものではなかった筈なのに、いつも以上に疲れている……と言うか頭が重たいのだ。 「アンタ、もしかして風邪でも引きかけてんじゃないでしょうね?」 「へ?…いや、熱とかはない感じだってばよ?」 「ばかね〜それは後からでしょ。最初は倦怠感からじゃないの。それに、測ってみたら意外とあったりするもんよ。ナルトって鈍そうだから、心配よね」 きついサクラの言葉は的を得ていてナルトは反撃できない。一応様子見に掌を額当ての下にもぐり込ませてみるが、熱いとは感じなかった。 「サクラ、バカって風邪ひかないんじゃなかったの…?」 サイの言葉にナルトの眼がつり上がる。 「あんな〜っ、サイ!それって、ひどくね〜の?」 「だって、この前読んだ本にね…書いてあって」 「くだらねえ本ばっか読んでんじゃねえってばよっ!」 サイに突っかかるナルトを見ながらサクラはくすりと笑う。これくらいの元気があれば大丈夫だろう。最近ではサイもカカシ班のメンバーとして、ナルトとも上手くやっている。最初の最悪な出会いから考えれば、こんなに打ち解け合える仲になるとは思わなかったのだ。サクラの目から見ても、サイの態度は柔和な物に変わっているし、心のどこかで通じ合える何かが生まれている。 ぎゃーぎゃーと一人騒いでいたナルトが口を噤む。 「ナルト?」 サクラはナルトの視線の先を追った。そこには同期メンバーである、シカマルとチョウジが何やら雑談しながら歩いている姿が見える。サクラは首を傾げながらナルトに視線を移した。 「どうしたのよ?…ナルト?」 サクラの言葉が終るか終らない内に、ナルトは脱兎の如く駈け出した。 「ちょ…ナルトってば!」 その後ろ姿を見送ったサイはくすくすと笑い始める。それを見たサクラが渋い顔つきでサイに詰めよった。 「ねぇ…サイ。ナルトになんかしたの?」 「うん、ちょっとした賭けをしてね。その罰ゲーム」 「ば…罰ゲーム?」 復唱したサクラはナルトの背中に視線を移す。にこにこと嬉しそうに笑うサイはとても満足そうで。 「アンタたち…な〜に下らないことしてんのよ…」 呆れた様なサクラは腕を組みながらサイを見上げ、溜息をついた。
シカマルとチョウジはいきなり現れたナルトに歩みを止める。 「どうした?ナルト…」 必死の形相を見たシカマルが眉を潜めた。彼ははぁはぁ息をつきながら、ふうっと大きく最後に息を吐いた。チョウジは不思議顔でシカマルとナルトを交互に見るばかりだ。 ナルトの人差し指が真っ直ぐとシカマルの顔に向けられる。その指はシカマルの鼻先に向けられていて、いきなりの事に驚いたシカマルが目を丸くする。 「奈良シカマル!ここで会ったが100年目だってばよっ!」 「いや…お前と最後に会ったの、二日前だぜ?」 「ンな事は、とりあえず置いといて関係ないってば!」 「はぁ?」 支離滅裂なナルトの言葉にシカマルは首を傾げた。 「いきなりなんだってんだ?」 シカマルの声は胡乱なものを含んでいる。 「うずまきナルトは奈良シカマルが大好きだってばよっ!観念しろってば」 「…ナルト、具合悪りぃのか?」 「真剣に聞けって!オレはシカマルが好きなんだって…すげえ好きなの!」 「…………あ、チョウジ」 きれいにナルトの言葉をスル―して、呆然としているチョウジに視線を向けると彼は絶句している。 「チョウジ!」 「あ…ごめん。あんまりいきなりにストレートだから、さすがのボクもびっくり仰天だよ」 「ンな事どうでもいいけどよ。話の続き、明日の任務の事だけど…」 「シカマル、ナルトの相手……しなくていいの?」 「ほっとけ。ちょっと、ボケてるみたいだからな」 「や…でも、なんか、必死っぽいけど?」 「気にすんな」 仁王立ちのままのナルトの隣をすり抜けて、シカマルは歩き始める。慌てたチョウジはその背中を追った。シカマルはサクラとサイの姿を見つけると、ちらりと視線を送る。 「あいつ、悪りぃモンでも食ったのか?」 「………私にも、時々理解不能なんだけど?」 苦笑するサクラの隣では、にこやかな笑みを浮かべたサイが居る。 「熱烈だね、シカマル」 一応振り返ったシカマルは、頭を抱えながら座り込むナルトの背中を確認した。そして、深い深い溜息。 「んじゃ、後はよろしく」 ひらひらと手をふると、唖然としているサクラと笑みを浮かべたサイを残して去って行ったのである。 だが、シカマルはこの時「問題」を解決するべきだったと、後々悔やむ事となる。 出会う度に、ナルトは「好きだ、好きだ」と必死になって告白してくるのだ。 それも、何度か続くと慣れたもので。それよりも、自分の周りに居る者の方が遥か彼方までドン引きしていた。 「今日こそ、逃がさねえってばっ!」 ぎゅうぎゅうとシカマルの腕に縋りついたナルトはぎろりと青い瞳で睨みつけてきた。シカマルは軽く笑いながら、自分の後ろにいる後輩に先に行くように伝える。任務自体は終わっているので、後は火影へ報告書を提出すれば完全に任務完了だ。 「へーへー…しゃあねえから、付き合ってやる」 「なんだよ!その蔑ろみてえな返事はっ〜〜っ ひどいひどいひどいってばよ〜!シカマルの愛が感じられねえってば」 シカマルは大袈裟に溜息をついてやる。もちろん態とだ。 「よく分かんねえけど……なんか、拗ねてんのか?」 腕の力を緩めたナルトは首を傾げる。思い当たる節がない。 「いや…ンな事、ねえと思うけど…?」 「最近、お前んとこ行く時間なかったのは本当の事だけど、なんかお前変じゃねえの?所構わず、告白しまくりでよ」 ナルトはうっと返事に詰まる。そうなのだ。シカマルの姿を見ると「好きだ」と言いたくて仕方なくなってしまうのだ。誰が居ようと、どんな場所でもお構いなしに。今までの自分では考えられないくらいの積極性を持っていると感じる。その度に、シカマルからは軽くあしらわれてしまうのだが。それはそれでいい。それよりも、そんな事をしてしまう自分に自己嫌悪だったりする。だけれど、この衝動は止められない。 「好きの大安売りじゃねえか。八百屋の一山いくらと同じ状態だぞ」 「……それは、ひどいってば」 ナルトはしゅんとして肩を落とす。 「ま、俺的には吝かじゃねえけどな?」 にやりと笑ったシカマルに、ナルトの心臓がどきりと鳴る。どうしてだか、ドキドキが止まらない。 「シカマル…」 「…ンだ?」 「好きだってばよ?離れたくねえし、ずっと一緒に居てえし、なんてえか、めちゃ好き!」 シカマルの手をぎゅっと握ったナルトは、目を瞑ったまま告白する。彼と言う存在に満たされて、一杯になって、何もかも考えられなくなるのだ。 シカマルは優しい笑みを浮かべて、ナルトの頭を一撫ぜする。 「俺はこれから火影んトコ行くから…」 「う、うん」 ナルトはこくりと頷くと、真っ赤になりながらシカマルを掴んだ手を離す。もう一度頭を撫ぜられて、穴を掘って入りたいくらいの羞恥心に襲われる。シカマルの背中を見送ったナルトは、へなへなと座り込みいつものように頭を抱える。 「お…オレってば、なんか可笑しいってばよ?」 シカマルの姿を見つければ、擦り寄らなければ気が済まない。確かに最近二人きりの触れ合いが減っているのだけれど、それ以上に今まで感じた事のない焦燥感に襲われてしまうのだ。 「やっぱ……なんか、おかしい」 色々と考えてみるのだが、答えが見つからない。余りにも頭を使ったせいで心底疲れてしまった。元々、直感で動くタイプだし、いちいち細かい事を考えるのは苦手なのだ。 頭の中にシカマルの事を思い浮かべながら、ナルトは腰を上げた。
シカマルが火影への報告をすませて、外へ出る。凝った身体を解す様にぐるぐる肩を回しながら歩いて、塀に凭れかかっているナルトの姿を確認した。 「…ナルト?」 名前を呼ぶと、彼は顔を上げてぱっと笑顔になる。 「待ってたってばよ。任務の報告が終わったって事は、明日は非番なんじゃねえの?」 小走りにやってきたナルトはぎゅうとシカマルに抱きついた。シカマルは言葉を失う。ついさっき別れたばかりだが、ナルトはずっとこの場所で自分を待っていたというのだろうか? 「シカマル〜好きだってば!」 へへっと笑いながらすり寄ってくる身体をシカマルも抱き寄せる。 「なんか聞き慣れ過ぎて、重みがねえぞ…お前の言葉」 「重くても軽くても関係ないってばよ〜♪ 好きなんだって!好き好き!」 「あんなぁ…」 可愛い事を言いながらすり寄ってくる身体を抱きしめて、シカマルはどうしたものかと考えた。明日が公休になった事は確かだ。 「メシ、行くか?」 「うんうん、行く!」 「一楽か?」 「なんでもいいってばよ〜。シカマルと一緒なら!」 腕に頬を摺り寄せながら見上げてくる青い瞳を見て、くすりと笑う。頭を撫ぜると、恥ずかしそうに頬を染めた。 「な〜に、照れてんだ?」 「ンなんじゃ…ねえし!」 「おかしな奴」 「シカマルっ!」 シカマルは首を傾げながらナルトの言葉の続きを待つ。 「…ンだ?」 「好きだってばよ。もう、めちゃくちゃ好きで好きでたまんなくて、どうしたら分かんねえくらい好きっ!」 捲し立てられるように言われて、その勢いに思わず頷いてしまう。 「…やっぱ、調子悪りぃんじゃねえの?」 「違う!好きなだけだってばよ!!」 力強く否定されてしまって、シカマルは困ってしまう。 「そういや、いのから聞いたんだけどよ。有機野菜のバイキング料理ってのが流行ってるらしいぜ?晩飯そこにすっか?」 「ノーセンキュ!」 ナルトはナイスガイポーズを決めながら、笑顔を向けてくる。シカマルと一緒ならばどこでもいいと言っていた癖に野菜嫌いは健在の様だ。 「いつものナルトか…やっぱり」 シカマルは苦笑しながら肩を潜める。ナルトは「ん?」と首を傾げながら、じいっとシカマルを見つめた。見つめていると、どうにも自分の気持ちを口にしたくなってしまうから不思議だ。喉元までせり上がってくる気持ちに抑制が効かない。 「シカマ…」 「しゃーねえから、一楽にすっか?」 「あ…うん、賛成〜!」 夕日に照らされた影が長く伸びる。 のんびり歩くシカマルの隣で、はしゃぐナルトがぴょんぴょん跳ねながら着いて来た。時折、冗談を交えながら会話をして、一楽の暖簾をくぐったのである。
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キリ番「14747」ゲットのしののさまからのリクエストです。
リク内容は次回に(笑)ネタばれだから!
気長に待ってくださりありがとうございます。
期待を裏切るのが超得意のRUIですが……(^^ゞ
楽しんで頂けらたら嬉しいです!