注意 ナルトさん女装してます。好きでない方はブラウザの「×」で閉じてください。
女体化ではないので、ナルコさんに非ず(笑)
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Candy Girl 11
両家にこやかに……食事は進む。傍から見ればそうであろう図なのであるが、ナルトは少し気分が落ち込んでいた。 「ナル、これすごく美味しいね」 「う、ウン、…美味しい」 ミナトがにこにことえらくご満悦で、事あるごとにナルトに話しかけてくる。クシナはシカマルの母親であるヨシノと盛り上がっている……そして、目の前のシカマルは、あまり機嫌がよろしそうでない。その隣のシカクも同じように見えた。無意識に首を傾げてシカマルを見て、一瞬視線が合う。 ナルトの中でどきりと鳴る心臓。本当に一瞬の事なのにドキドキが止まらない。彼に会うたびに、彼の事が本当に好きなのだと実感してしまうのだ。 シカマルは両家での食事会の事は知らなかったみたいで、放課後一緒に帰宅した時に憤慨していた。当初の予定では、二人で一緒に遊びに……もといデートに行くつもりだったので、その予定が反故されてしまった事が気に入らないらしい。シカクの口数も少ない事から、喧嘩でもしたのかとぼんやり考えてると、隣からポンとクシナから膝を叩かれた。 「聞いてる?ナルト」 「え?ゴメン…聞いてなかった」 「ヨシノさん本当にごめんなさい。この子、たまにぼーっとしちゃって…」 クシナの言葉から自分がヨシノから話しかけられていた事に気が付いた。気が付いても焦るばかりで、上手い言葉が思い浮かばない。元から取り繕う事は苦手だし、その場の空気を読むことに抜けている節があるのだ。こうゆう自分が、サクラやいのから言わせれば天然という事になるのだろう。 「気にすることねえよ、ナルト」 「あ、…別に、その…」 口籠ってしまうとシカクが眉を顰めて口を開く。そんな仕草のひとつが、この二人が親子なんだと感じる時で、ナルトは面白いなあと呑気な事を考えてしまっていた。シカクはシカマルの言葉が気に入らないと言った風に見える。 「手前、人様の娘さんにえらく馴れ馴れしいじゃねえか。バカ息子」 「人様の娘さんであるのは確かかもしれねえけど、俺の婚約者でもあるのは変わりねえだろ、親父」 二人の会話で、その場が水を打ったように静かになる。 「ちょっと、お父さん」 ヨシノが仲裁に入ろうとするのだが、シカクシカマルもそんな事は一切お構いなしと言う感じだ。 「勝手に見合い仕掛けておいて、そりゃねえって話だっての」 思い切り素の状態に、ミナトもクシナも少し困惑しているようだ。シカクの言いたい事はわかっている。これは、偽装婚約なのだ。ヨシノは知らなくても、ミナトやクシナはナルトが男である事は知っている。もちろんシカクも。 「シカマルくん?」 ミナトの声色が少し冷気を纏っているような気がするのは、ナルトの気の所為ではない。ナルトも、両親に自分が男だとシカマルにばらしていて、それでいて付き合っている事は一切口にしていないのだ。実際、どうやって説明すればいいのか分からないし、きっと理解の範疇を超えてしまう事は明確だ。 シカクにもミナトにも、「悪い虫がつかない牽制」である婚約である事は承知の上。それが、シカマルの一言で、意味を変えた。 「最初は偽装でもなんでも、ちゃんと婚約して既成事実まで成り立ってんだから、俺の嫁だろ。親父」 何を言ってるのかその場にいる大人は一瞬理解が遅れた。ただ、当人であるナルトの顔はどんどんと真っ赤になっていく。既成事実が、二人が一線を越えた事だと頭の中で瞬時に判断したからだ。 「……シカマ」 ナルトが口を開いたのと、シカマルの身体が襖の奥へ飛んでいくのはほぼ同じだったように思う。そして、怒りをあらわにして拳を握りしめているのはヨシノだった。 「シカマル!」 驚いて後頭部を気にしているシカマルに近寄ろうとするのを、ミナトに止められた。手首を掴まれたのだが、ナルトは無意識にそれを振り払いシカマルの傍に駆け寄る。 「大丈夫?」 「……痛てーけど平気。母ちゃんの鉄拳は恐ろしいわ」 「軽口叩いてる暇じゃないってばよ…まったく!」 二人してふっと笑った所で、仁王立ちになっているヨシノの影に気が付いた。ナルトは慌てて姿勢を正しばっと頭を下げる。 「おばさんっ…ごめんなさい。あの…シカマルは悪くなくて…―――――」 「悪いのはシカマルよ」 冷静な声。ナルトはくっと言葉を飲み込む。 「シカマル。婚約の事は、はっきりとお父さんからも説明を聞いて、あなた納得の上だったでしょう。それがなんですか」 シカマルはめんどくさそうに息を吐くと、諦めたように肩を竦めた。 「事情が変わった。ナルトに惚れた…そんだけ」 「ナルトちゃんが可愛いのはわかるけど、それとこれとは別です。あなたはちゃんと順序をふんでいないし、とても失礼な事をしたのよ?」 当初の“悪い虫除け”の役割を果たすことなく、我が息子が悪い虫になってしまった事にヨシノは口調を崩さない。 「おばさん。アタシも……シカマルの事が好きです。ごめんなさい……」 謝ってしまったのは自分が、きっとヨシノに望まれるような可愛い女の子ではないことから。本当の事を知らないヨシノは卒倒してしまうかもしれない。 「な、ナルト!!!」 名前を呼ばれたナルトは、はっと声の主に視線を向ける。真っ青な顔をして立ち上がったミナトにびくりと身体を震わせる。 「父ちゃん…………」 「高校生の男の子は元気がいいってばね。本当に男ってこうゆうときに動揺するだけなんだから……」 「母ちゃん、でも!」 クシナは真剣な顔をしてナルトをじっと見つめる。最後の言葉はミナトに向けたものだったのだろう。 「ヨシノ」 黙っていたシカクの声が低く響いた。すっとシカクの隣に腰を下ろしたヨシノが、彼と一緒にずっと頭を下げる。 「不詳の息子がナルトちゃんに本当に申し訳のない事をしでかし、面目次第ももございません」 シカマルの両親が頭を深く下げるのを見て、ナルトの顔が真っ青に変わって行く。シカクはナルトが男だという事を知っている。知っていても、ナルトの立場を慮り頭を下げているのだ。 「ナルト、シカマル君。これからは大人の話だ。君たちは外に出て待って居なさい」 腰を落ち着けたミナトの言葉にナルトがふるふると首を振った。これは自分がしでかした後始末だ。 「シカマル君」 「……はい」 「ナルトを頼むよ」 ミナトの眼差しにシカマルはそれ以上言葉を発する事が出来ない。これが、大会社のトップであるミナトの本当の顔であり、言葉では言い表せない威圧感を伴っている。 「ナルト、一旦……外へ、でよう」 「でもっ!」 「でもじゃなくて、とりあえず…言う通りにしようぜ。俺も調子に乗りすぎた」 シカマルに促されてナルトはよろよろと立ち上がる。襖に手をかけて、何かを考えたように顔を上げると静かに口を開いた。 「シカクのおっちゃん、おっちゃんの言ってた阿婆擦れ女ってアタシの事なんだってばよ。あのお見合いの日にデートしてた相手はシカマルなんだって。父ちゃん……人を好きになるのって、間違いとかあるのかな」 シカクもミナトもナルトの言葉を聞いているが、それに対しての返事はなかった。ナルトはきゅっと唇を噛みしめながら、そっとシカマルの後に続く。 ぱたりと襖を閉め、そのままホテルのロビーへむかった。ナルトの手をしっかり握ってくれている指先から伝わるシカマルの体温があたたかい。 「シカマル…」 「ん?」 「やっぱ、オレたちって付き合っちゃだめなんだよな。普通に考えて……」 シカマルはさっと振り向くと、ナルトの顔を見てふっと笑う。 「最初っから、俺ら普通じゃねえだろ?ちょっと、昨晩親父と喧嘩してよ。そのままの勢いで、あんな風に言った俺は、ただの駄々をこねてる子供だよ」 ロビーのソファに並んで座る。この日の為に新調したワンピース。胸の下で切り替えがあり、ふんわりとした膝丈。クシナに選んでもらった事を思い出して、少しだけ悲しくなった。もしかしたら、彼女は自分の気持ちを知っていたかもしれない。シカマルの事が好きだとは伝えていたが、どういった意味合いでとは言ってない。だけれど、なんとなく勘みたいな確信があった。 「なんて言われても、オレってば……シカマルの事、諦められないってばよ」 「……先に言うなよ。ンな事」 「シカマル?」 見上げるとシカマルは少し頬を赤らめながら、明後日の方向を向いている。 「俺だって、同じ気持ちだっての」 「ウン」 こんなに心の奥があったかくなる。こんな気持ちを知らなかった。人を好きになり、特別な存在になるなんてこと知らなかった。苦しいのも切ないのも、嬉しいのも楽しいのも。二人で感じる気持ちは、今まで生きてきた中で知る事のなかった気持ちになるのだ。世間一般の普通とはかけ離れている二人だけど、いま感じている気持ちは本物なんだと感じる事が出来た。 「俺の所為で散々な誕生日にしちまったな」 「そんな事ないって。いつか今日って日がやってくるんだったら、今日で良かった。上手く…言えなくてゴメン」 自分の気持ちを言葉にすることがこんなに下手だとは思わなかった。ナルトが落ち込んでいるとぽんぽんと頭を撫ぜられる。 「早かれ遅かれって事だな」 ナルトはこくこくと頷く。シカマルはいつも不器用な自分の気持ちや言葉を汲み取ってくれていた。シカマルの手が巻き髪をそっと撫ぜて、ナルトの手のひらに降りてくる。それからジャケットのポケットの中をごそごそやってから、もう一度ぽんと手のひらを合わせられる。 「え…?」 二人の手のひらの間には小さな箱。 「これって、……プレゼントみたいな?」 「みたいじゃなく。こんなタイミングってのも難だけどよ」 小さな箱に、可愛らしいリボンがかかっている。そっと箱を開けると、細い金色のリング入っていた。中央には虹色の石が輝いていて、両サイドには小さなダイヤ。 「すっごい、かわいいっ!」 「お前の誕生石なんだと。俺も知らなかったんだけどよ。こりゃ、最初に言っとく。いのに聞いた」 「いの?」 シカマルの幼馴染でナルトの親友でもある彼女の名前が出てきて驚いた。シカマルはいのの事を面倒だと言っていた。その彼女に助言を求めたという事に素直に驚いたのだ。きっと、彼的には納得できないことだったろうに、自分の為にそうしてくれたことが嬉しい。 「俺に分かるわきゃねえだろ?誕生石だとか、ナルトの指輪のサイズとか……」 「オレも知らねえってばよ。誕生石とかよくわかんない」 「女ってのはそーゆうのが好きなんじゃねえのかよ。いのの情報もアテになんねえな」 「きれいなのも可愛いのも好きだってばよ?でも、そうゆうの疎くて、いのとかサクラちゃんとかはそうゆうの詳しいってばよ。んで、これってなんて宝石なの?」 「……オパール、だってよ」 箱の中から指輪を取り出すと、右手の薬指にそっとはめられた。光に反射して色を変えるオパールにナルトの顔に笑顔が戻った。 「嬉しい。ありがとだってばよ、シカマル。でも、高かったんじゃないの?」 「俺は普段あんま金使う方じゃねえし、お前が思ってるような値段じゃねえって」 「アタシはシカマルの誕生日、何もあげてないのに……」 「俺はお前もらったからいい」 うーんと唸るナルトの耳元で、こそりと呟くと彼は一気に顔を真っ赤に染めた。 「え…エッチ」 自分の贈った指輪のはめられた手に指を絡める。打算も計算も関係ない。拗ねたり、笑ったり泣いたり、ナルトという人間といると自分は退屈しないのだ。 ヨシノならば、自分を勘当するとまで言いかねない。それはそれで構わないのだが、ナルトが心を痛める事になるのが一番辛い。我が親もそうだが、ナルトの両新も一筋縄ではいきそうになかった。 あの重苦しい空間に戻る事を考えながら、シカマルなりにシュミレーションは頭の中でいくつかのパターンで繰り返してみる。だが、どれもこれも、上手くいきそうにはなさそうで思わず失笑する。 今は思わず二人になれた時間を堪能するのもいいかもしれない。 「ナルト?シカマル君?」 はっと顔を上げると、にっこりと笑みを浮かべるクシナの姿があった。
賽は投げられた。 シカマルが雑念を決した瞬間であった。
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やっとここまで来られた気がしてるんですが…
進展は、微妙にしかしてない(笑)
所詮はお笑い話なので、ハッピーエンドを目指してます。
後半はシカナルでラブちっくを目指してみました(*^-^)
ヨシノママの鉄拳に敵う者なし!