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THUKI-AKARI
見上げると、まあるいお月様。 いつもよりも少しだけ大きく見える。月明かりのおかげで部屋の中も、いつもの暗闇とは少し違う。 そして部屋の中には、いくつか飾られたキャンドル。 ゆらめく炎を見ていると、何故だかほっとするのはどうしてだろう。
ナルトがぼーっと空を見上げていると、そっと肩を抱かれた。そのまま、ごく自然にこつりと頭を肩に乗せた。 「月がきれいだってばよ」 「そうだな〜」 残暑は続くものの、夜になると秋の気配が色濃い。日中の暑さも和らいできているが、動くとまだ汗ばむような陽気なのだ。それが、夜になるとどうだろう。太陽が沈むのを待っていたかのように、少しだけ冷えた空気で外気が満たされる。そよりと吹く風も冷たいものに変わってしまう。時間の狭間の不思議な現象。 そんな変化を感じられる“季節の変わり目”と言うのも、なんとなく楽しい。今までそんな事を気にしたことがなかったが、シカマルと一緒に過ごすことが多くなって、ひとつずつ人としての何かを満たしているような気がする。 「十五夜は見逃しちまったがな…」 少しだけ残念そうに呟くシカマルに、ナルトはくすりと笑った。 「見逃しちまったけど、今日、シカマルとこうやって月見できてるからいいってばよ」 お互いすれ違いの生活をしているのは、忍びとして生きている限り、しょうがない事なのだ。ここ数年は十五夜の月見を一緒にしていたので、今回見逃してしまう結果となったのが、なんとなくだが悔しいのかもしれない。 「でも、任務先で見られた。一応」
一緒にではないけれど。
「少し雲があったからどうなるかな〜とか思ってたけど、夜になったらすんげー晴れてばっちり見れたって。シカマルは?」 「ん〜…まあ、俺も見た」
二人ではないけれど。
「んじゃ、見逃した事になんないじゃん」 「見たには見たけど、なんか違うんだよな」 シカマルの科白にナルトも無意識に頷く。二人は離れた場所にいても、同じ空を見上げて、同じ月を見ていた。それだけの事だけれど、なにか見えないものが二人を繋いでいるようで、胸の奥がほっこりしてくる。それでも、シカマルの言いたい事もわかるのだ。ナルト自身も同じことを考えて居たから。 二人を阻む現実が、少しだけ悲しい瞬間。シカマルに凭れかかりながら、彼の手を探る。すぐにみつかったそれに指を絡めた。 「すごい、安心する。シカマルと一緒だと」 素直に心が言葉となって口から零れる。自然と発したそれに、胸の奥がきゅんと苦しくなった。音として発した気持ちが意味を持つ瞬間、せつなくて苦しくて、それでいて…甘い痛みが胸を締め付ける。思って居るだけと、それを相手に伝えるという行為は違うものなのだと実感する。 「それにしても、計画停電だっけ?今日みたいな明るい夜で良かったな。真夏みてーに暑くもねえし」 「真夏の停電はこりごりだって……」 いつだったか真夏にいきなり停電して、散々な目に合った事を思い出したナルトが口元を顰める。ぷっと笑ったシカマルはぽんぽんとナルトの頭を撫ぜた。そのまま悪戯に指先で金糸を絡めて遊んだ。 「そうだな、涼しい方がいい。それにキャンドルも、見てても暑苦しくねえしな」 ナルトがいつだったかヒナタにもらったキャンドルなのだが、それがこんな風に役に立つとは思わなかった。キャンドルには香りがついていて、炎とともに部屋の中を甘ったるい匂いで満たされている。 いくつかあるそれを、ベッドからダイニングにかけて点々と置いている。仄暗い空間に浮かび上がるキャンドルの炎が幻想的に見える。 「ナルト」 「ん?」 呼ばれて顔を上げるのと唇が重なるのはほぼ同時だ。一瞬びっくりしたナルトだが、心地よい温もりが伝わってくる頃には、瞼は自然と閉じていた。性急でないキス。角度を変えて交わって、お互いの唇を愛撫し合いながら舌を絡める。 二人を映し出すのは、つきあかりと揺れる炎だけ。二つの影が重なって一つになるのに時間はいらない。
優しいひかりに灯されながら。
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久々更新(笑)
あんまお月見とか関係ないですね(-“-;A …
真夏に停電して散々だった話ですが、
実は半分だけUPしてある話なんですけどね。
ちゃんと、そっちも更新したい〜
ラブシカナルって事で!!
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