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「結婚しよう」

 初対面でそんな事を言う男には要注意。クシナは無意識に眉をひそめる。

 いきなりの事で驚いたのは本当なので、 大きな瞳をもっと大きくさせて、目前の男を仰ぎ見る。

 

 …この人、もしかしてバカなのかしら?

 

 なのに、見返した瞳は意外と真剣なものだったりするのだ。

でも、こんな言葉に騙されるほど、自分はめでたく出来ていない。

 だから、即効返事をした。

 

「イヤよ」

 

 彼はその言葉に驚いたようだった。でも、クシナは思うのだ。それって当たり前のことじゃないの?と。

 

「どうして?」

「質問が間違ってるわ。理由なんて、最初から存在しないのよ」

「だから、どうして?」

「私の話、聞いてる?」

「とても、真剣に」

「あなたの言う事に、何も根拠が存在しないの。だから理由もないわ」

 

 クシナは自慢の長い髪をくくる。自分がしようとして居た事を単純に思い出したのだ。

 

「ついでに言わせてもらうけど、私の食事を邪魔する男なんて熨斗を付けて返してやるわよ」

 

 好物のラーメンを目の前にして、気合を入れて食べようとした所で、バカ男に話しかけられたのだ。ついうっかりして、食事をすると言う事すら頭からすっぽり抜け落ちてしまっていた。

 

「理由は存在する、根拠もある。君が好きだ。それは立派な理由じゃないかな?」

「あら、ごめんなさい。私はあなたの事がどうも嫌いみたいよ」

「オレの事を知ったら好きになるよ」

「お生憎さま。別に興味もないから、知りたくないの。結果的に、私があなたを好きになる事もないわ」

「オレの事知る前から、嫌いなんて道理が通ってないんじゃないかな」

 のんびりとした口調。金色の髪に青い瞳。口元には笑みが浮かんでいる。

 クシナは一瞥してラーメンを口にする。

「私に道理を説かないで」

「波風ミナト」

「なに?」

「オレの名前。君の名前を知りたいんだ」

「普通は最初に名乗るものよ。ちょっと、あなた抜けてるわね」

「舞い上がったんだよ。すぐに口にしないとって思ったんだ」

 そう言いながら笑うミナトはまるで子供のようだ。戦乱の世の中、こんな笑顔でいることは容易ではない。誰もが暗い歴史に幕が下りるのを待っている。

「教えてくれないの?」

 いちいち癪に障ってしまうのは、彼のかもしだす雰囲気からかもしれない。

「うずまきクシナ…でも、私あなたの事、好きにならないから」

 ミナトのような笑顔を見たのは久し振りだ。凄惨すぎる世界、混沌とする生活。誰もが平和を待ち望んで、祈りを捧げる時代。

「クシナ。オレは君を誰よりも幸せにするよ」

 クシナは言葉より先に、手が出てしまった。頬を叩かれたミナトは驚いたような顔をしてから、あははと笑った。

「勝手に人の幸せを決めないで。やっぱり、あんたなんて大嫌い!おじさん、お代カウンターに置くわね」

 クシナはミナトを睨みつけて、暖簾を潜って行ってしまった。

「嫌いが大嫌いになったんだから、いつか大好きに変わるかもしれないよねぇ」

 ミナトはくすりと笑った。

 運命なんて信じていなかったけど、運命を感じる事もあるのだとついさっき知ったのだ。

 

 たた一つの大切な光を見つけた。大事な星を見つけた。

 

 祈る気持ちを、あの一番星に。

 

 

 

 

 

 

WEB拍手より移動〜のミナクシです。

絶対に、ミナトがクシナを口説き落としたと信じてるRUI

シリーズで書きたいと思った話の最初。

綱手様が、ナルトの性格はクシナ譲りだって言ってたので(*^_^*

気が強くて、男勝りで、でもかわいいんだろうなぁと。