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空と雲と君と…
空を見上げる。 それは無意識に。そんなナルトを不思議に思ったサクラが、ぽんっとナルトの肩に手を置いた。 「どうしたのよ?ぼけっとしちゃって…バカ面が増してるわよ?」 毒舌はいつもの事で。ナルトは思わず苦笑する。 「キツイってばよ、サクラちゃん…」 「何か、見えるの?」 その隣でサイがナルトと同じように空を見上げた。そこには青い空と、白い雲が流れているだけ。 もちろん、サイからしてみれば別段と不思議な風景ではない。 「い…いい天気だって思った、だけだってばよ!」 「確かに、晴天だよね」 サイとナルトの会話に、サクラがくすりと笑った。その笑みを見たナルトはバツが悪そうにサクラから顔を背ける。 「ほんっと…あんたって分かりやすい性格してるじゃない?」 「うっせえってば!」 「あれ?ナルト、顔が赤いけど…」 サイの科白にサクラのくすくす笑いが重なる。ナルトはむっと顔を顰めた。 この空を見て、シカマルの事を思い出していたなんてサクラにはバレバレなのだ。サイにはこの青い空と白い雲がシカマルにつながるなんて思考回路は存在しない。 ふとした瞬間に、シカマルの事を思い出す自分が居る。そんな自分自身に赤面してしまう事は多々あった。だけれど、こうやってサクラからからかわれたように笑われたのは初めてだ。それにしても、サイがシカマルの事をよく知らなくて本当に良かった。ここで、サイにもからかわれたら立ち直れそうにない。 「サクラ、どうして笑ってるの?」 「ん〜?それはね……」 「さ、サクラちゃん!」 慌てたナルトが振り返ると、サクラが赤い舌をぺろりと出す。 「えっと、二人で盛り上がられると…ボクの立場が」 「どこが盛り上がってんだってばよ!」 サイが首を傾げて、ナルトとサクラの顔を交互に見た。 「ナルトはね〜…たまに乙女入っちゃうのよ。見てて分かりやすいくらいにね」 「サクラ、ナルトは男だよ?」 「あんたはまだまだナルトの事、知らなさすぎんのよ!」 お気楽に会話を続けるサクラとサイに、ナルトは耳を塞ぎたくなる。勝手に色々言われるのはやはり気分がいい物ではない。むっとしながらもう一度空を見上げた。 白い雲が流れている姿を見て、サクラの言葉を思い出す。これが彼女の言う「乙女に入る」と言う事なのか?確かにシカマルの事が好きで、雲を見ていると彼を思い出して会いたくなってしまうのだが…… ナルトは無意識に頬を赤く染めながら、サイとサクラに背中を向けた。
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「隊長、なんかいい事でもあったんですか?」 聞いて来る後輩に、シカマルが眉をひそめる。ふうっと煙を空に吐き出した。 「…ンだって?」 今は休憩中である。 小隊の隊長を仰せつかったシカマルは、大きな木の幹に腰かけながら煙草をふかしていた。そこに、先程の質問である。 「や…なんて言うか、隊長、空見て機嫌よさそうだったから…」 「あ〜…俺は小さい頃から、空見るのが好きなんだよ。特に意味はねえし……」 「でも、笑ってましたよ?」 鈍器でガツンと後頭部をやられた気分だ。 「…そっか」 シカマルはにんまり笑うと、もう一度煙草を深く吸い込む。 「気にする事ねえよ」 そう言ってはぐらかすと、後輩は肩を竦め仲間の元に戻って行く。シカマルは煙草の灰が落ちそうになるのを見ながら、はあっと溜息をついた。 今日は晴天。その青い空は、恋人の瞳の色を思い出させる。ふと、無意識にそんな事を考えていた。 ナルトの事をついつい思い出し、口元に笑みが浮かんだ……と言う事なのだろう。素の自分を見透かされた様で気恥かしい。休憩時間ではあるが、任務の途中であることは変わりなく。 「ついにヤキが回ってきたのかよ…」 思わず独り言を呟いて、自分で笑ってしまった。実に的を得ている。 いつの間にか心の中に住みついたナルトは、いつでもシカマルの中に存在する。 抱きしめて香ってくる石鹸の匂いを思い出して、急に恋しくなった。思い切り抱きしめて、彼の望む様なキスを仕掛けたい。 我慢できない様に身体を摺り寄せてくる、甘える仕草に心が騒ぐ。何度もその身体を求めて、絶頂を味わったのは昨夜の出来事で。それでも、まだまだ足りないのだ。 「欲求不満なのかよ、俺は…」 四六時中ナルトの事を考えている訳ではないが、ちょっと気を抜くとコレだ。シカマルはくすりと笑った。
お互いが同じような事を思っているのを知っているのは、青い空と白い雲だけであった。
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WEB拍手より移動です。
いつも、お互いを思い合ってる…というお話。
そう、仲良き事は美しきかな…がテーマなお話でした(笑)
ってか、いつもじゃん!
RUIの頭の中はかなり馬鹿です(笑)