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視線の先
シカマルの言葉にナルトは耳を疑う。 「今……なんて言ったってばよ?」 だから、確認するつもりでシカマルの顔を見上げた。部屋の電気はもう消えている。窓からは瞬く星が見えていた。 ぼうっと、満天の星空を二人して意味もなく眺めていた。シカマルに肩を抱き寄せられ、ナルトも素直に彼に身体を預け……そんな時のシカマルの一言に、ナルトは眉を顰めたのだ。 思わずシカマルの顔を見上げてしまう、そんなナルトの視線に気が付いたのか、シカマルは首を傾げながら視線をナルトへ移した。 「なんつー顔してんだ、お前」 「だって、シカマル……今」 不安が顔色に現れていたのだろう。そんなナルトを目にしたシカマルの口元だけ笑っていた。 「シカ…?」 「お前の視線の先にゃ…サスケがいるんだろうなって言った。ホントの事だろ?」 ナルトはくっと唇を噛みしめると、シカマルから視線を外し俯いてしまう。 「シカマルの言いてえこと…オレ、分かんねえ」 ぽつりと呟いたその声に覇気がない。ナルトは膝の上でぎゅっと両手を握りしめた。サスケを仲間として木の葉に連れ戻したい。その為に、強くならなければいけない。彼に追いつかなければいけない。ナルトの中の信念である。 それは、サクラとの約束で。 それは、自分の忍道を貫く為で。 仲間を取り戻すため………偽りのない本心。 「ば〜か、暗くなるんじゃねえよ。俺の立場がねえだろ?」 シカマルはナルトを抱く腕に力を入れる。それでもナルトは俯いたままだ。頑ななナルトを解きほぐす様に、その身体に腕を回す。ぎゅっと抱き寄せると、胸にナルトの顔が蹲った。 「お前の視線の先にはサスケが居る。サスケが居るから、お前は強くなる。そう…なろうとする。いっつも、カカシ先生が言ってんじゃねえか。お前に…違うか?」 宥める様に背中を撫ぜた。シカマルの行動にナルトの身体がびくりと震える。 「だって…」 ナルトはシカマルに抱かれながら、顔を上げた。きっと情けない顔をしているだろう。そんな事は言われなくても分かっている。だけれど、シカマルの顔を見たかった。ナルトの視界に飛び込んできたシカマルの表情は不思議と柔和な物だ。 「シカマル、オレ…」 「俺はそんなお前の隣に居てえよ。後ろでも前でもねぇ…隣に居てえって、ふと思った」 シカマルの科白を最後まで聞いたナルトの顔がくしゃりと歪んだ。 「……つまんねえ勘繰り入れてんじゃねえよ」 「それは…っ!」 いきなりサスケの事を持ちだされて動揺してしまったのだ。一瞬でも自分の気持ちを疑われたのではないかと心が痛んだ。 青い瞳から溢れた温かい雫を、シカマルの唇が辿る。 「俺の立場がねえって言ってんだろ?」 「シカマル…」 握り締められていた両手が、シカマルの首に回される。 「俺たちゃ色んなもの失くしてんじゃねえよ。……その分、色んなものを得てる。俺はそう感じてる」 時には迷い立ち止まってしまう時もあるけれど、それでも一緒に歩んでいける人が隣に居るから強くなれるのだ。自分の中で守りたい気持ちがあり信念がある。 大切なものを、見つけたから。大切にしたいと思う気持ちを知ってしまったから。大切なものは一つではない。一つであるようで、そうではない。複雑に絡み合う運命の輪の中の一部でしかないのだ。だけれど、それを失くしてしまっては生きていけない事を、誰に言われた訳でもなく己の中で痛感した。 「なぁ…ナルト」 頬に唇を寄せ、親指で目尻を拭う。 「……――――― 好きだぜ?」 新しい涙がぽろりと零れた。 「オレだって…シカマルの事、すげえ大事だってばよ」 一緒にいる時間もそうでない時も。心が繋がっている。そう信じて居られる。 「好きで好きで、堪んねえってばよ……」 好きだと告げるだけでは足りていない。どうやってこの感情を彼に伝える事が出来るのだろうか。この心を取り出せる事ができるなら、何も隠さず彼にさらけ出すのに。ナルトは急にせつない感情に襲われた。 シカマルが自分に告げた気持ちは、ナルトも同じである。 「オレ…シカマルの隣に居て、恥ずかしくねえような男になるからさ」 「へっ…頼もしい言葉だな?泣き虫のくせに」 くすりと笑った気配を唇で感じた。触れるだけだった温もりが、熱い絡まりを求めて深くなる。シンとした静寂の中で、唇を啄ばむ水音だけが響いた。 「んっ…あ、シカマ…」 「ナルト…」 貪りつくように唇と舌を絡め合いながら、シーツの海に身体が沈む。ふと視線も絡まって、どちらともなく笑みを浮かべた。 「星空なんて見てたから、柄にもなくロマンチックになっちまったな?」 「難しい事言っても、分かんねえってばよ。オレ、バカだもん」 それは、単純かつありのままを感じ合う行為だ。優しい視線を感じて、ナルトはにっこりと笑った。 「シカ…欲しい。全部――――――― 欲しいってばよ」 非現実的な事を口にしている自覚はあるが、偽り事でない素直な感情でもある。 「泣かせたな?」 「……も、それは言うなってばっ!」 拗ねたように唇を尖らせながら、潤んだ瞳がシカマルを睨みつけた。 「泣かせたくねえけど、泣かせたって事に……酔ってんだよ」 「よく分かんねえって!」 「自分に自惚れてもいいくれえに、お前に好かれてるって言う自己陶酔」 ナルトはくすくす笑った。 「いいんじゃねえの?なんか、シカマルっぽくなくて笑えるってば…」 シカマルの科白がナルトの心をくすぐる。お互いに恥ずかしい事を口にして、照れているだから本当に馬鹿みたいだ。 でも、たまには馬鹿な程…お互いに酔いしれてしまいたい。溺れてしまいたい。 「シカマル…」 ナルトの甘えたような声に、シカマルの唇が首筋に埋まる。 「は…あ、んっ…」 的確に快感を掘り起こすシカマルの舌と唇に、ナルトの声が艶めいた。重なった掌と指が絡まる。ぎゅっとお互いにその手を握りながら、熱い口付けを交わす。 静寂の中は歓喜の声で埋まり、溶けてしまいそうな程の熱に浮かされる。
時には迷い立ち止まってしまう時もあるけれど、顔を上げて隣を見れば、愛しい人の姿がある。俯いている時もあるかもしれない。涙を流している時もあるかもしれない。 それでも、心の中に変えられない大切なものがあるから。
その視線の先に。
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たまには、こんな話も書きます(笑)
シカとナルはこんな関係がいいな〜っていうRUIの願望でもある。
二人ともきっと大きなモノを背負って生きてると思うんですよね。
でも隣には、手を伸ばせば触れられる距離には、シカとナルはいるのですよ(*^_^*)
理想論でもあり、やっぱり願望。
自分で書いといて恥ずかしいなぁ〜
シカマルも恥ずかしい奴になってるし!ナルトが泣き虫さんなのはシカの前限定です(笑)