雪雷

 

 

「う〜っ…寒みぃ」

 シカマルが手を擦り合わせながら部屋の中に入ってくる。ナルトはそれを不思議なモノを見る様に見つめてしまった。彼がそんな行動をとる事が珍しいのだ。淡泊なのかどうなのか、季節の移り変わりに、なにかの行事でなく気候に反応している事が面白く感じる。

「そんなに、寒みぃの?」

 思わず聞くとニヤリと笑ったシカマルが両手でナルトの頬を挟む。

「ひゃっ!…冷てえっ!!」

 抗議の声を上げたナルトにシカマルはご満悦だ。ギロリと睨みつけてやると、肩をすくめたシカマルの顔が近付いて来る。当たり前のように自然と瞼を閉じたナルトの唇に、柔らかい感触。それを確かめるように角度を変えながら唇を合わせて、啄ばむみたいにキスを繰り返す。

「シカマル…唇も冷てえ」

「なんだよ、あっためてくれねえのか?」

「オレでいいなら」

 くすっと笑ったナルトがシカマルの首に両手を掛けて、彼の身体を引き寄せる。再び重なる唇はもう冷たくなかった。だけれど、ナルトはぺろりとシカマルの唇に舌を合わせる。舌から上に舐め上げる様に、そしてシカマルの舌唇を口で含むと甘噛みしながらちゅっと吸った。

「まだ…足りねえ、ナルト」

 ぐいっとナルトの腰を抱き寄せたシカマルが、噛みつく様なキスを仕掛ける。薄く開いた唇の隙間から見える赤い舌が扇情的で、下半身に直結するゾクリとする感覚を覚えた。シカマルは無意識に口元に笑みを乗せながら、悪戯なナルトの唇を奪う。咥内に舌を滑り込ませて、生温かいそれを絡め取る。絡みつくような舌の動きに飲み込まれなくなった唾液がナルトの口の端から漏れた。吸われたナルトの唇は赤く熟した果実のようで。甘い感触を味わうように。何度、この行為を繰り返してもその度に感じるテイストも、蕩けてしまいそうな舌触りも、熱くなる吐息も、何もかも初めて感じる新鮮さを感受する。そんな不思議な魅力がナルトにはあって、それがシカマルを捕えて離さないのだが本人はそんな事微塵も頭にはないだろう。

「ん…あっ…」

 口付けだけで敏感に反応するナルトの身体を、掌と指先で辿りながらナルトの中に眠る快感を掘り起こしていく。

 身体を重ねる毎に、唇を重ねる度に、新しい何かが生まれる。生まれて弾けて、お互いの事しか考えられなくなるのだ。

 理由なんて、簡単。

 お互いにこんなに純粋に、相手の事だけを求めている。欲望を満たそうとするのは心の中で、身体で感じる快感の波とは違う波動が重なり合う瞬間が好きだ。

「ナルト…?」

「ん?」

 青い瞳が蕩けて、潤んで、シカマルを視線だけで誘う。

「ベッド行こうぜ?俺としちゃ、どこでも吝かじゃねえけど」

「床の上なんて寒くて、ヤダってばよ」

「すぐに熱くなって、問題ねえんじゃね?」

 ぷうっと頬を膨らませたナルトの目尻にちゅっとキスをする。

「シカマルの…意地悪」

「嫌いになるか?」

「なれねえもん…… ――――― やっぱ、いじわ…」

 言葉の続きを唇で奪ったシカマルは、身体の力の抜けて行くナルトを抱き上げると、彼の所望するベッドに移動した。

 

 

 

 

 荒い息が落ち付く頃、ナルトはシカマルの胸に額を寄せた。

「どーした、ナルト?」

「…なんも、ねえって」

「そっか」

「うん」

 熱かった肌は、汗によって冷やされる。ぶるりと震えたナルトをシカマルが抱き寄せる。

「まだ、寒みぃか?」

 ぼうっとシカマルを見上げたナルトは、少しだけ虚ろな眼差しで恋人の優しい表情を見つめる。それから、軽く首を横に振る。

「熱くて…死ぬかと思った」

 シカマルは親指の腹でナルトの目尻に残る雫を拭った。

「ナルトん中も熱かったぜ?」

 すぐにその言葉を理解したナルトは、ボッと赤くなる。

「お前が締め付ける度に、イキそうになんのに必死だったっての」

「も、シカマル!それ以上言うのナシっ。終わりだってばよ!」

 高潮した頬は、情事の名残と一緒に羞恥心が交り合っている。そんなナルトを可愛いなんて思ってしまうのだ。擦り寄ってくる身体を抱き寄せて、掛け布団で包んでやる。

 大人しくしていたナルトがピクリと反応した。

「ナルト?」

「今、空…光った?雷だってば…」

 起き上がったナルトは一糸纏わぬ姿である。シカマルも同じなのだが、毛布を手繰り寄せてナルトの肩にかけてやる。風邪をひくとか思わないのだろうか?こうやって構うのも楽しい事の一つなのだけれど。曇ったガラスを指で擦ったナルトは、じっと暗いはずの外を眺める。

「今日は山からの風もきつかったからな。それに、この雷…雪になんなぁ。あんだけ床冷えしてたんだから当たり前か」

 背中から抱きしめられたナルトは首を傾げながら、少しだけ振り返る様に首を動かす。間近にあるシカマルの顔を確認して、フレンチキス。

「雷、関係あんの?」

「ああ、雪起こしの雷だ。雷が鳴ると、雪が降るってよく言うだろ?」

「――――――― 知らねえもん」

「今、分かったんだからいいだろ?…ンな事」

 ぎゅうっとナルトを抱きしめて、彼の前で腕を交差させる。その腕に頭を寄せたナルトは、ふうっと息を吐いた。

「初雪だってばよ?」

「そうだな〜。やっぱ、寒さは伊達じゃねえな」

「うん」

 ナルトの視界に、ちらりと白いものが見える。

「シカマル…」

「やっぱ、降って来たなぁ」

「オレ…寒くなってきたってば」

 甘えるような口調に、シカマルがふっと笑う。ナルトの言わんとする事が分かるのだが、出来るなら彼の口から直接聞きたい。

「ンで?…ナルトはどうしてえの?」

「シカの意地悪」

 見なくても分かる。きっと、膨れているだろう可愛い恋人の表情を。

「意地悪してんのは、お前だろーが」

 シカマルの言葉を聞いたナルトは、そっと交差されたシカマルの手を取ると、その指を銜えた。ちゅっと吸いながら、指先から付け根まで舌をねっとりと這わせる。

「シカマル…もっかい、しよ?」

「してえの?」

「ん…寒いから、シカマルであったかくなりてえ」

「やっぱ、可愛いな。お前」

 視界に入った首筋に唇を当てると、強く吸った。

「あ…っ」

 赤い印のついた場所を舌で執拗に舐めて、また唇を当てる。前にある手で、悪戯にナルトの胸の飾りを弄る。

「ん…はっ…ア。シカマ…あ」

 敏感になった身体は少しの愛撫でも過敏に反応する。身を捩ったナルトの首筋に唇を当てたまま、ナルトの嬌声を聞きながらシカマル自身も熱くなっていくのを感じた。

 

 

 雪雲の中に光る、雷光。

 それはまるで、尽きない欲望を煽る様な…… ―――――――

 初雪と共にやってくる、二人だけの時間。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

夕方から、雷ピカピカでふと思いついた小話()

せっかく、初雪なので(^^

初雪記念という中途半端な赤文字?指定な話を書いてみました。

これが、一時のテンションに身を任せるってことかもしれません。

意味ない、バカップルなシカナルは書いてて楽しくなるんですけどね★