婚約指輪 配達

 

 

 

 

雨色 虹色

 

 深夜から降り出した雨。

 昨日はどんよりとした曇り空で気分も滅入ってしまうくらいだった事を思い出す。いっその事、振るなら早く降ればいいのに……そんな事を思っていたら、降り出した雨はとても激しいものになっていた。

「降り過ぎだろうが…」

 部屋の窓に打ち付ける雨音が、何故か耳障りだ。本を読んでいたシカマルはぱたんとそれを閉じると、ごろりと横になる。

「つまんねえな…」

 口にしてしまうと、つまらないという感情が一層増した気がする。

「クソめんどくせー…」

 自分自身が招いた結果に満足できない自分が、心の中で悪あがきをしていた。雲を眺めるのが好きなのだが、それは青い空に浮かぶ雲と限定されている。あの白と青のコントラストが好きなのだ。加えるならば、理由なく流れる雲の動きを見ているのが好きだったりする。

 小さい頃は縁側に座り、理由もなく空を見つめていたものだ。場所が変われどやる事はさして変わらず、それが原っぱだったり堤防だったり、お気に入りの場所だったり。

 それなのに、暗い雲がかかった今日の空にはシカマルの好きが存在していない。

 し〜んとした静寂の中に響く、皮肉を言っている様な雨音。シカマルは眉をひそめながら目を閉じた。このままごろ寝もいいかもしれない。目が覚めたら、天候も回復しているかもしれないのだ。

「シッカマル〜!遊びにきたってばよっ!」

 その静寂を打ち破るかの如く激しく開いた扉の音に、シカマルは一瞬びっくりする。声の主は誰だか確認しなくてもすぐに分かった。

「ナルト?」

 にししと太陽のような笑顔を見せる後ろには、たくさんの菓子を抱えたチョウジと、赤丸を頭に乗せたキバが居た。

「揃ってどうしたんだよ…」

 めんどくさそうに口にすると、ナルトがにかっと笑った。

「だって、外は大雨だし公園でも遊べないじゃん?だから、シカマルんとこ遊びに来たってばよ!」

 突然の来訪には大した意味はないと言っているように聞こえる。

「シカマルは何してんの?」

 ぱりぱりとポテーチを食べながらチョウジが口を開く。

「あ、また難しい本とか読んでんだろ?」

 キバは呆れたような顔をしていた。四人揃って特別に何かをするでもなく、個々に自分の時間を謳歌するだけだ。特に干渉もしなければ、無視する訳でもない。それに、気を使わなくてもいいのが一番いい。一緒にいて肩肘を張らずに居られる悪戯仲間。

「あのさ〜…明日、晴れたら演習じゃん。それをどうにか抜けられないか話しててよ…やっぱシカマルに知恵借りるのが一番じゃねえのかって話になったんだよ」

 知恵は知恵でも悪知恵なのだが。悪びれた風もなく口にするキバの頭の上で、赤丸がクウンと鳴く。

「いや、ありゃ参加しねえとやべえぞ?」

 シカマルは起き上がりながら、ぽりぽりと頭をかいた。

「え〜…やっぱそうなんだってば?」

 ちょこんとシカマルの隣を陣取ったナルトが嫌そうな顔をする。

「…ったり前だって。単位に関わるからな。さすがにアカデミー落第はめんどくせーだろ?」

「だけどさ〜だけどさ〜」

 ぶつぶつ言い続けるナルトにチョウジがくすくすと笑った。

「やっぱね。シカマルはそう言うと思ってたよ、ボクは」

「さすがになぁ……演習はやべえか」

 それぞれに腰を下ろした面々は、渋い顔つきになりながらも諦めたように溜息をつく。

「なぁなぁ、シカマル。テルテル坊主を逆さに吊るすと雨になるってホントだってば?」

「……おい、延期になっても演習はいつかあんだぞ?それにその発想はどこからくんだよ」

 ナルトは馬鹿にされたと思いぷうっと頬を膨らます。じっとりとシカマルを見つめて、諦めたように肩を落とした。

「ちぇ。テルテル坊主…たくさん作ったのに……」

 ナルトの一言に他の三人はぷっと吹き出す。くすくす笑いが爆笑に変わると、バツが悪そうなナルトがもっと脹れっ面になった。

「オレは真剣なのに、ひでえってばよ!」

「やっぱナルトってツボ突いてくんよな〜」

「ナルトらしいってかね」

「話をめんどくさくすんじゃねえよ」

 それぞれが勝手な事を話だし、演習脱走計画は未遂に終わる事となった。キバはチョウジと菓子を食いながら、何かを話している。シカマルは読みかけの本のページを捲っていた。ナルトはつまらなくなり、横になりながら本を読んでいるシカマルの隣にごろりと寝ころぶ。

「なぁ、シカマル…雨あがったら、虹が見えるってば?」

「ンなこた知らねえよ」

「虹ってどこまらどこまでつながってるんだってば?」

「俺に聞くな。見た事ねえし」

「なぁなぁ…シカマル」

 ちらりと視線をナルトに移すと、ナルトは嬉しそうに笑顔になる。シカマルはしょうがなく本をまた閉じるはめになった。今日はきっと読書が出来る日ではないのだろう。そう決める事にした。

「しょうがねえなぁ」

 なんだかんだ言って自分を相手にしてくれるシカマルは、面倒くさがりな癖に面倒見がいい。

「シカマル、大好きだってばよ」

 にっこりと笑ったナルトにシカマルは言葉を失う。それから頬を少しだけ赤く染めた。

 

 たまには雨も、いいかもしれない。

 

 

 

 

 

 

WEB拍手お礼SSより移動です♪

最初、シカマルを書こうと思い…

そこに、ナルト、チョウジ、キバを投入。

…で、結局はシカナルで終わる。

意味、ないですよね(汗)