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pretext

 

「寒みぃな…」

 呟くと、隣で頷いたような気配。

「帰るか?」

「帰らねぇってば」

「そっか」

「…うん」

 太陽が沈む。それと同時に大気中の空気も冷えて来る。季節は冬なのだから、寒いのは当たり前の事。それなのに、シカマルとナルトは土手に座っている。

 

 右に行けば、ナルトのアパート。左に行けば、シカマルの家。

 一緒に遊んだ後、別れ道までの間下らない冗談を言い合って笑っていた。

ついさっきまでの出来事。

 

 夕日を見ようと言ったのはナルト。

それに「いいぜ」と答えたのはシカマル。

 特に意味は無くて、ただ、二人してじっと山入端に沈む太陽を見つめていた。

 

 意味は無いけれど、なんだか離れたくないなぁと思ってしまったのだ。

だから、柄にも無く「夕日を見たい」などと言ってしまった。

 

 「夕日を見よう」と誘われ二つ返事でイエスと答えた。

離れたくないと思っていたら、それを見透かすようにそんな事を言われて、正直気恥ずかしかった。

 

 並んで座る二人の間は、ちょうど30センチ。

 

 身じろいだ所で、指先に温かいものが触れる。シカマルは見なくてもそれがなんだか分かった。ナルトの手だ。意外と体温が高いんだと、少し感心する。

 

 急に触れた温もりに、緊張してしまう。ここに居るのは自分とシカマルだけなのだから、手の甲に触れた指先は彼のものだ。触れただけの温もりだったはずなのに、ぎゅっと手を握られた。

 

「寒みぃだろ…?」

「うん、寒みぃもんな」

 

 手を繋いだ理由は、寒いから。

冷えていく外気に体温を奪われない内に、二人の温もりを共有する。

 

沈んでいく太陽が、辺りを染める夕日が、きれいだと思う余裕なんて無い。ホントは胸の鼓動が早くて高鳴って、それが相手に知られてしまうんじゃないないかと、気が気で無い。

 

 

「帰るか?」

 帰りたくなんてないけれど。

「太陽も沈んだってばよ…」

 ここにいる理由が無くなってしまったから。

「……明日も、夕日見るか?」

 次の約束もしたくて、またこの手の温もりを感じたくて。

「また、見るってばよ!」

 今までずっと太陽に向けていた視線を隣に移す。視線があって、お互い笑顔になった。

 

 

 このドキドキには、なんて言い訳したらいいんだろう……?

 

 

 

 

WEB拍手より移動〜。

友達以上で、恋人なんて程遠い頃の二人です。

割と、評判が良かったSSですね()

二人から「好き」が溢れてるイメージで。

Pretextは、「口実」って意味で…