プレゼント タワーマンション

 

 

 

Penalty

 

 

「なぁなぁ〜シカマル〜…」

 ナルトの気を引こうとする声に、シカマルは視線を本からナルトに移す。

「なんだ?」

 シカマルが顔を上げてくれた事で、ナルトは単純に笑顔になった。

「本ばっか読んでねえで、遊びに行こうってばよ〜」

「遊び…って、この年になってもまだ公園とかで遊びたいのかよ、おめぇはさ」

 シカマルの科白は呆れた風だった。ナルトからしてみれば、出かける場所なんてこの際どこでもいいのだ。同じ部屋に居るといっても、シカマルは難しい本ばかりに気を取られて、ちっとも自分の相手はしてくれない。それならば、外へ連れ出してしまおう…位の心算だったのである。

「そーゆんじゃなくって…その甘栗甘とか一楽とか…」

「腹減ってんのか?」

「……いや、減ってるっちゃ減ってるけど、急を要するかって言われたら、そこまででもねえかなぁ」

 素直に答えてしまったナルトは、しまったと思う。

「ならいいだろ」

 シカマルはそう答えると、また分厚い本に視線を移してしまった。床に座った彼は、テーブルの上に肘をつきその上に頭を乗せた格好で真剣に書物を読みふける。ナルトは、むうっと頬を膨らませた。

「つまんねーってばよ〜」

 シカマルがぺらりとページを捲った。

「なぁ〜シカマル〜〜〜っ!相手してくれってばよっ!」

 ナルトの声にちらりと視線だけを送ったシカマルは、仕様がなさそうに本を閉じる。

「うるせえよ。集中できねぇだろうが…」

「シカマル!」

 ナルトはがばりとシカマルに抱きつく。難なくそれを受け止めたシカマルは、懐くナルトの頭をポンポンと撫ぜた。

「聞いてくれってばよ〜。この間の任務でさ、サクラちゃんとサイがさ…」

 ナルトが機嫌よさそうに話すのを聞いていたシカマルの顔が曇る。もちろんナルトはシカマルに抱きついているので、そんな彼の表情に気がつくはずもなく。

「でさ、サイの野郎が……」

 また、その名前だ。最近、カカシ班に配属されたサイは、最初はぎくしゃくした関係だったようだが、今では、なんとか仲良くやっているらしい。仲間としてそれは嬉しいものだが、恋人としては何となくむかつく。そんなシカマルの気持ちをナルトが知るはずもない。

「な〜んか、お前の口から出る名前っつたらサイばっかだな?」

「へ?」

 機嫌が悪そうなシカマルの声に、ナルトが顔を上げる。

「えっと…やっぱ今はチーム組んでるから、任務の話とかになるとサイのこと言うかもしんねぇけど…」

「それ以外も、そうだろうが」

「そうだっけ?」

 ナルトと過ごす時間が最近少なくなってきている。それはお互い、任務もあるのだししょうがないと言えばそうなのだが、休みの度に他の男と仲良くした話を聞かされるのは興醒めだ。

「シカマルってば、ヤキモチ妬いてんの?」

 そう聞くナルトの顔は笑顔だ。

「めんどくせぇ」

「あ、やっぱそうだってばよ〜。でも安心しろってば。オレはシカマル一筋だからさ」

「………あんなぁ」

 ぎゅうと抱きついてくるナルトの身体をひっくり返す。床に組み敷かれたナルトは、驚いたように目を丸くしていた。

「し…シカマル?」

「つまんねぇんだろ?妬いてる男の相手でもしてくれよ」

 シカマルはにやりと不敵な笑みを浮かべた。ナルトは、じいっとシカマルを見つめて照れたように顔を背ける。

「好きにすればいいってばよっ」

「なんだよ。やりたくねぇならやらねえけど?」

 シカマルの科白にナルトは顔を真っ赤に染めた。なんとなくコトが始まるのはいいが、こうやって確認されるのは大の苦手だ。

「どうだ?ナルト」

「……し、たいってば!これでいいだろっ」

 投げやりな言葉を返すナルトに、シカマルがくすりと笑った。

「俺は心の狭い男だからな。お前の口から、サイの名前が出る度にこうやって確認することにした」

「はぁ?サイは同じ班だから、嫌でも名前でてくるってばよっ?」

「はい、今ので1回追加」

「シカマルの意地悪!」

 暫くの間は、この事でナルトも気をつけるようになるだろう。シカマルは自分の不機嫌の理由がひとつ減る事に満足した。だが、気をつけてはいてもきっとナルトの事である。ついうっかりサイの名前を口にするだろう。それは楽しみが一つ増える事になる。一石二鳥だとほくそ笑んだシカマルは、ちゅっとナルトにキスを落とした。

「あ…母ちゃん帰ってくるといけねぇから、声出すの抑えろよ?」

 ナルトはどきりとした顔でシカマルを見上げる。

「出させんのはシカマルだってばよ!」

「はいはい、俺ね…」

 そんな事実もなんだか嬉しい。声を必死に抑えるナルトを苛めるのもいいかもしれない。潤んだ青い瞳が懇願するように自分をみつめてくるのが、いい。囁くような吐息が難なく自分を熱くする。本当は今日1日母親が不在なことは確認済みだが、ナルトには内緒だ。これは、ささやかなシカマルの報復。

 照れた顔で腕を首に絡めてくるナルトを抱きしめ、深い口づけを交わした。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

サイに対して、ヤキモチとか妬いてたらかわいいなぁとか…

ふとそんな事、思ってみたり。

最初にナルトの相手をしないのはシカマルの作戦なんかな。…なんてね。

タイトルはそのままの意味です。