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No title
呼び鈴が鳴った気がする。 なんとなく遠くの方で聞こえた感じだ。 ナルトは朦朧とする意識の中、薄っすらと瞼を上げた。視界の中に入るのは見慣れた天井。 コホンと咳き込むと頭が痛い。 「邪魔すんぞ〜」 また遠くの方で声が聞こえた。幻聴というやつだろうか?声のした方へゆっくりと顔を向けてみた。 そこには、キバ、チョウジ、シカマルの姿がある。これは熱に浮かされてみる幻覚なんだろうか。 ぼーっとそれを見ていると自分に近づいてくるシカマルの手が額に当てられた。その感覚がひんやりしているように感じる。 「おい、こりゃ相当熱いぞ…」 ナルトの体温を確かめるようにおでこから首筋に移動した手。自分の都合のいい幻覚を見ているつもりでいるナルトは潤んだ瞳でじいっとシカマルを見上げた。 「ホントに…いるのかってばよ」 我ながらまぬけな質問だとは思うが、確かめずにはいられない。自分以外の誰かがこの部屋に入る事も考えられないのだ。肌に当てられた指先の体温が、冷たく感じて気持ちいい。 「すげーガラガラ声!」 「ナルト〜…喉、痛いだろ?」 キバとチョウジが覗き込んでくる。やはり熱に浮かされて見える幻覚ではないらしい。 コクリと頷くと、キバとチョウジが顔を見合わせてくすりと笑った。バカにするのとは違う、少しだけ胸の奥がほわりとなる笑顔。 「さすがのバカナルトも、体調悪いとしおらしいよな〜」 「ホントだよねぇ」 数日前から風邪をこじらせて寝込んでいる。いつもの如く四人で遊んでいて気分が悪くなり、先にサヨナラしてからそれっきりになっていた。約束はしていないが、公園に集まったメンバーでつるむのは常であり、ここ最近姿を見かけないナルトを見舞いに来たという所だろう。 「なんだってばよ。 一応、心配してくれたってこと…?」 「強がり言っても可愛くないぜ?」 キバににやりと笑われて、ナルトは唇を尖らせ頬を膨らませた。別にカワイイだなんて思われたくない。反論しようにも声を発する度に喉がイガイガして痛くて堪らないのだ。 「ちゃんと病院には行ったのか?」 だから、コクリと頷く。 「メシは食ってんのか? 薬は飲んでんだろうな?」 いつもよりシカマルが口うるさい。ナルトがむすりとして黙っていると、枕元に置きっぱなしになっていた薬の入った紙袋をシカマルが覗き込んだ。 「……おい、薬は飲めよ」 「確かにシカマルの言う事は正しい」 加えてキバもうるさく言ってくる。 「こんなんじゃ、治らねえぞ? つかよ、病院にはもう一度行った方がよくねえの?」 いつもなら、からかわれたりバカにされたりする事はあってもこんな風に心配された事なんてないのに。だから、心の奥の方がくすぐったいのだろうか。 「二人とも、ナルトは体調悪くて寝てるんだから……あんまりうるさく言っちゃダメだよ」 「チョウジ〜。俺らはそのナルトの為を思って言ってんだろ?」 「ああ、だからねキバ。 気持ちは分かるんだけど、一気にわーって言われてもナルトだって困るって事が言いたいんだよ。……わかる?」 キバはもごもごと言葉尻を濁しながら、むすりと口を歪めた。 「病院行くか」 「そうだな、連れてくか」 「食べてないなら点滴とかした方がいいよね」 ナルトを無視して三人で話が勝手に進んでいく。 初めて仲間とか友達とか言える人に出会えた気でいる。ナルトが勝手に思っているだけで、シカマルやキバ、チョウジはそんな事は思っていないかもしれない。だけれど、ナルトの中では当たり前のように心配されたり声をかけられたり、手間をかけられたりするなんて事は今までなかったのだ。 だから、本当は涙が出る程に嬉しい。素直に口に出来ない自分の天邪鬼な部分が嫌いだけれど、そんな自分にもこうやって友人と呼べる仲間が出来た。 「おい、苦しいのか?」 シカマルが眉を顰めて覗き込んできた。ナルトはゆっくりと頭を振る。そのたびに、ガンガンと殴られるような痛みがこめかみに走るのだが、激しい動作でなければマシだ。 「んじゃ、なんで泣いてんだよ?」 「泣いてねえよ……」 「そっか…」 ナルトの言葉にシカマルが困ったように視線を泳がせた。 ありがとう、って素直に言えない自分がやっぱり嫌いだった。
「ああ、それってアカデミー卒業間際くれーだったよな?」 冷たいタオルが額に乗せられた。 「そうだっけ?」 「そうそう。お前がちっとも公園に出てこねーから、さすがに心配した」 ナルトは成長した今でも、こうやって風邪をひいてはシカマルの世話になっている。今回もエアコンでキンキンに冷えた部屋で爆睡してしまい風邪をひいてしまったのだ。シカマルからのお小言は聞きたくないので、疲労の所為だといったのだが強ち嘘でもない。疲れてパタンと眠ってしまったのだ、エアコンのきいた部屋で。 「あん時は、すげー嬉しくて……」 「そんな態度じゃなかったじゃねえか。精一杯に虚勢張りやがってよ」 くすぐるようにシカマルの指が耳の後ろに当てられる。 「まだ、熱高いな」 「うん、頭が痛いし…喉も少しかも」 「そうか」 シカマルの指は悪戯にナルトの金糸を絡めて遊ぶ。 「今は、こうやって看病してやれるけどよ。あん時はどんな理由つけてお前んちに行こうか、すげえ迷ったんだぜ?」 「なんで?」 首を傾げてシカマルを見上げると優しい瞳とぶつかった。ナルトの思い違いかもしれないが、風邪をひいたり体調を悪くしている時のシカマルはとても優しい。上手く言えないけれど、甘やかしてくれている気がするのだ。 「そりゃ、キバやチョウジまでいきなりついて来るしな……」 「…へ?」 「俺が一人でお前のアパート行こうと思ってたら、あいつらも一緒に来たっつーこと」 少しだけむくれたようなシカマルの表情に、ナルトは思わず笑みを浮かべた。 「でも、三人でうるさく言いながら病院連れてってくれたりとか、メシの心配してくれたりとか、オレってばすげえ嬉しかったんだって」 「お前が喜んでんだから、ま……それはそれでいいけど」 「なんだってばよ、その含んだような言い方」 ナルトはようやくあの時の感謝の気持ちを言葉に出来たと言うのに、シカマルは不服そうである。 「含んじゃいねえって……」 「オレはホントに嬉しくって、……仲良くしてくれる奴とかいなかったし。だから、こいつらとずっとダチでいてーなぁってマジで思ったんだってばよ?」 ナルトの告白を聞いたシカマルは、一瞬だけ瞳を大きくするとにやりと笑った。 「そうゆう事か……お前があの時泣いた理由は」 「あっ!あれは……!!」 ナルトはばつが悪くて布団を頭からすっぽりとかぶり、シカマルの視線から逃げる。せっかくシカマルが乗せてくれたタオルが落ちてしまったが、熱が出て熱いのとは違う理由で頬が熱い。それを知っているのかそうでないのか、布団ごとナルトを抱くシカマルの腕を感じる。 「ホント、お前は可愛くて困る」 チョウジやキバは別として、たっぷりと下心のあったシカマルには純粋に自分の来訪を喜んでくれたナルトが愛しかった。それを隠そうにも隠せないくらいに、取り乱した少し前の自分が懐かしい。それに、恋人関係となり誰に憚ることなくこうやって彼を看病できるのも嬉しいのだ。だから、いつもよりナルトを甘やかしてしまうのかもしれない。 「好きだぜ、早く良くなれよ」 布団の中で真っ赤になっているナルトを想像して、シカマルがくすりと笑った。意地っ張りなところはちっとも変っていないけれど、呼吸困難に陥る前にナルトを布団の中から救出してやらなければいけない。 そんな事を考えながら、シカマルはナルトの被る布団の裾をぺろりと捲った。
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お礼SSの風邪ネタ第二弾みたいな…
ワガママラバーも拍手お礼SSでしたね。
タイトルがちっとも思い浮かばないので、今のとこNO titleです。
サイトに上げる時にはなんとか考えます(汗)
シカナルヽ(^o^)丿ですよ〜
そして、タイトル決まらないまま……サイトに下します↓↓