床 暖房 電子タバコ

 

 

 

UWAKI Line

 

 

 自分の目の前を歩く背中は、言葉にしなくてもなんらかの怒りを抱えているらしい。シカマルが推測すると、否…しなくてもそう見えるのだ。本当に分かりやすいというか……隠す事をしないと言うか、多分隠すのが下手なんだろうと思う。

「おい、ナルト!」

「なんだってばよ!」

 気合を入れて振りかえったナルトは、ぎろりとシカマルを睨みつけた。シカマルは、ああやっぱり…と思うのだ。

「今度はなんで怒ってんだ?」

 今度はに力を込めて言うとナルトは不機嫌そうに顔を背ける。

「にやにやしてんじゃねえってばよっ」

 シカマルに指摘された事に、反論はないようだ。むすっと顔を歪めて、すぐにまたシカマルに背中を向ける。久し振りに会ったと思えばこれだ。シカマルには何がどうしてナルトの事を怒らせてしまったのか理由が浮かばない。と言うか、理由を考えるのも疲れるのでやめている。ナルト相手にいちいちそれを考えていたら、やってられないのだ。しかも、ここは公衆の面前。下手に構う訳にもいかないし、そんな事をするつもりはないにしても、そうしたらナルトの怒りがマックスに達しそうだ。しょうがないから、ずんずんと進むナルトの後をついて歩いた。

 

 

 

 ナルトがアパートの鍵を開けたので、部屋の中に上がってしまう前に後ろから彼を抱きしめる。

「おい、いい加減…教えろって」

 シカマルの中でまんじりともしないナルトは、口を噤んでいた。そして、ふうっと息をついた。

「ちっとは自分で考えろってばよ」

「考えた考えた。考えた結果、わかんねえから聞いてんだろ?」

「すげえ嘘くせえ……」

 嘘は使い様だ。上手に使えば、それなりの結果を得られる。見え見えの自分の嘘に、気が付いているだろうナルトが素直になるのを見ているのも楽しかったりするのだが。

「さっき!」

 怒っていてもちゃんとその理由を教えてくれるナルトの事も好きだ。そんな所が、可愛いなぁと思ってしまう。

「コンビニの前で!」

「コンビニ?」

「すれ違った姉ちゃん見て、シカマルでれでれした顔したってばよっ!」

「はあ?」

 シカマルは記憶にない。誰かとすれ違う度に、それをいちいち確認する事もない。それが知り合いだとかだったら別だろうが、赤の他人に反応する訳がない。ただの景色の一部でしかないのだ。

「なんだそりゃ?…あ〜めんどくせぇ」

 シカマルはナルトを抱く腕を解くと、さっさと先に部屋の中に上がる。その後ろを納得がいかないと言う様に付いて来る気配を感じた。

「してたって認めろってばよ!」

「してねえし、覚えもねえよ」

 振り返るとナルトの顔を覗きこむ。

「この問題は解決だな?」

「してねえし!ぜってーしたもんっ。シカマル、オレの前で堂々と浮気するなんて、許せないってばよ」

 シカマルは心底あきれ果てて、言葉を失くす。どうすればいいのだろうか。はあっと溜息をつくと、どかりと床に胡坐をかく。

「…ンで?その浮気ってなんだよ。きっちり、説明してもらおうじゃね〜かよ?」

「それは…」

 ナルトもシカマルの前に何故か座ると、じっとシカマルを見つめる。

「そのコンビニの前ですれ違った姉ちゃんに、俺がなんかしたとでも?お前の目を盗んで何かしたって言うのか?」

「こ、心の中でしたってばよ」

 屁理屈をこねるナルトにシカマルは疲労度が一気に増した。誰かこいつの間違った思考回路をどうにかしてくれと、真剣に懇願したい。

「…ンで?俺が心の中で浮気したって言ったら、お前どうすんだよ」

 その他愛もない一言に、ナルトの瞳が一気に潤んでくる。じっとシカマルの事を見つめながら、その視線を外そうともせずに。さすがにこう言った方向に行くとは思ってもいなかったシカマルは心底驚く。どうして、してもいない浮気について責められなければいけないのだろうか。それも、自分が一番弱いパターンで。頭を抱えたいとはこうゆう状況の事を言うんだな……と、遠くで自分を見るもう一人の自分がいるような気がしてならない。

 シカマルは今にも零れそうなナルトの瞳をじいっと見つめた後、乱暴にその身体を引き寄せた。ぎゅうっとシカマルに抱きついて来るナルトの顔は、シカマルの肩口に埋まっている。ぐすりと鼻をすすりあげる声が聞こえて、シカマルは少しだけ前の自分の態度に後悔した。

「あのなぁ…勝手に誤解すんなって」

 ぽんぽんとその背中をあやす様に叩いてやる。それでも、ぎゅうぎゅうとくっついて来る腕の力は増すばかりだ。

「ホントに知らねえし、興味ねえし……それに、お前だってサクラの事かわいいとか言ってんじゃねえか?それは浮気にはならねえだろ?もし、俺が誰かの事を可愛いって思ったって浮気じゃねえだろ」

 ナルトがようやくシカマルから腕を離すが、ぶんぶんと首を振られた。

「心の浮気は性質が悪りぃんだってばよ」

「おい、お前は違って俺は浮気かよ?」

「だって…サクラちゃんやいのは言ったってばよ。男だから、成り行きでそ…そ、ゆう感じでしちゃうかもしれねえからまだ目を瞑れるけど……心の浮気はぜってー許さねえって…」

 シカマルはとっても空しい気持ちになった。いのやサクラがどういう経緯でそういった話をしたのかは知らない。それは女の勝手な都合であって、自分に当てはめられてもとても困る。というか、迷惑だ。

「男の浮気は身体の生理ってか?そんなの都合いい言い方に変えてるだけじゃねえか……俺的にはそっちのが理解不能だぜ」

「じゃあ、シカマルはエッチはしねえけど、気持ちの中ではオレじゃなくて他の誰かの事好きになるんだってば?」

「おいおい……」

 心も身体もナルト以外の誰かに現を抜かした事のないシカマルは、カチンと来る。

「それって、俺に対する冒涜だろ?俺の事、信じてねえから言えるんじゃねえのか?」

 だから少しきつい口調になってしまった。

「シカマル…」

 みるみる内に新しい涙が頬を伝うのを見て、シカマルはがっくりと肩を落とす。こんなに一人の人間に捕らわれているというのに、どうしてこんな風になってしまうのか。

「だって…オレ、シカマルの事……すっげえ好きなんだってばよ。だから、他も見て欲しくねえもん」

 きっと、そこいらの女よりも可愛い事を言っている自覚はナルトにはない。離せないし離すつもりもないシカマルは、健気な事を訴えてくる恋人を見て口元に笑みを浮かべた。

「成り行きでも、オレ意外とエッチもしてほしくねえし…」

「しねえよ…バ〜カ」

 単純バカだとは思っていたが、ここまでだとは思わなかった。それよりも何よりも、せっかく久々に会ったというのに、こんな言い争いをするのはナンセンスだ。

「おめえ以外、見てねえよ。見る暇もねえっつうの!」

 長期任務で木の葉を空けていたナルトをようやく捕まえられたのに、本当に馬鹿みたいだ。絶世の美女とコンビニですれ違ったのだろうか。それすらも不運だと思えてくる。

「ナルトはどこから浮気でどっから浮気じゃねえの?」

「わかんねぇよ。自分がこんなにヤキモチ妬きだってのも……知らねえもん」

 指の腹で涙をすくってやる。

「気を付けねえとな…何に誤解されて泣かれるか分かったもんじゃねえよ」

 シカマルの本心なのだが、その言葉を聞いたナルトは真っ赤に頬を染める。

「ごめん…ってば」

「何に対する?」

「こんなにシカマルの事好きで…」

「バ〜カ…謝るとこじゃねえよ」

 寧ろ大歓迎だ。シカマルはくすりと笑う。ナルトはその笑顔を見て、首を傾げた。

「まだ足りてねえみてえだな?…どんだけ俺がお前の事好きか、分からせてやるとすっか…」

「なにが…」

 言葉の続きをキスで飲み込んで、ゆっくりとナルトの身体を床に倒していく。他の任務が重なっていたシカマルは、三尾封印の為の小隊には入れなかったのである。紅班と、カカシ班、それにいのやチョウジまでもがその任務に携わっていたと言うのに、同期の中では自分だけが違う任務に就いていた事に、正直むっとしていた。ナルトとはずっと離れっぱなしだったし、戦況を耳にしてもそれ以外の事は出来なくて、ジレンマがくすぶっていた。そこに来て、ナルトの可愛い感情をぶつけられたのだ。これ以上我慢しなくてもいいだろう。任務の事は彼を「補充」してからゆっくり聞く事に決めた。

 久々の触れ合いに敏感になっている首筋に唇を当てながら、囁く。

「俺も、浮気は許さねえからな……」

 ナルトの耳に届いているかどうかは不明だが、シカマルの所作に反応する身体が気分を高揚させる。

「ナルト…好きだぜ」

 最近ではあまり囁かなくなった告白を唇に乗せて。

 

 

 

 

 

 

 

 

私の周りの女の子論では、身体の浮気より気持ちの浮気の方が許せないらしいです。

自分より他の誰かが一瞬でも心を占めるのが許せないとか?

ん、ま…分かるかな?

ってか!ひさびさにバカップルな話を書いてしまいました(*^_^*

やっぱ楽しいぜ!シカナル万歳〜!!