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LOVEchoice

 

 

 つまらない…

「うん…楽しくないな」

 白蘭は言葉にして、そんな自分にくすりと笑った。それから、マシュマロをひとつ口に入れる。甘いはずのそれが今日に限って甘くない。

 ふかふかのソファの上で転寝でもしようかと思って横になったのに、緩んでいくのは身体の緊張だけで思考は活性化している。

「…ふ〜ん」

 彼が自分の前から消えて数日。こんなにつまらない毎日になるとは思ってもみなかった。白蘭には、いつか“彼の居なくなる日”が分かっていた。結果の分かっている事に対して、こんな風に感じる自分に苛立ちを感じる。毎日ベッタリしていた訳ではない。学生時代のように共に過ごす時間は減っていた。比べるのも馬鹿らしくなるほどに。

 それに、感じていた。彼の視線から、分かりやすい表情から。いつか近いうちに訪れる「サヨナラ」。別にそれはそれで構わないと思っていたのだ。

 ふうっと息を吐くと白蘭は身体を起こす。

「全く…さすが正チャンってとこかな」

 自分の中に傷跡を残して行った、可愛い恋人。恋人と呼んでいいのか正直迷う。入江正一と言う人間は嫌いじゃなかった。自分の中のなにかをいつも刺激してくれる人間だった。二人でこの組織を立ち上げた頃位から、出会った時の様な雰囲気(かんけい)がなくなっていたのだけれど。後悔なんてしていない。全ての世界を手に入れる事が自分の望みなのだ。他の世界ではそれを成し得てきた。

 

フィールドをチョイス。最後になったこの“世界”

 

舞台をチョイスしたら、次に選ぶのは役者。友人として過ごす“自分と正一”

 

勝敗ルール―――――― …その報酬は?

 

そこで白蘭の思考がストップする。

「…ボクと正チャンか」

 白蘭が支配したどの世界でも彼と仲間として(それが一時的になったとしても)過ごす様な時間はなかった。名も知らぬ誰かか、敵対組織だったりとか。大学で初めて目にした彼はどんな風に自分を見上げてきただろう。日本人特有の奥ゆかしさがあるような少し内向的に見えた瞳。打ち解けて、正一のひどく常識的な思考回路と時にそれを逸脱する意外性に目を引かれた。

 いくつもの世界を恐怖で支配してきた自分が、たった一人の…それも男に惹かれてしまうなんて。そんな事は自分ですら予測不可能な出来事。

 子供っぽい外見からは予想できないくらいに、彼は自分の手によって開花したはずだった。手塩にかけて育てた花が、蕾からゆっくりと花弁を広げる様に。

 何度唇を重ねても肌を重ねても、正一を支配した気持ちにはなれなかった。その理由はシンプルで、それで居て難解だったけれども、正一らしいと言えば全て納得もいく。

「ねぇ、正チャン。ボクを好きだっていいながら、いつからボクを裏切る算段があったのかな?」

 白蘭は花器に飾られた花を手にする。その香りを嗅いで少しだけ気持ちが癒された。自分の中で流れていったいくつもの時間。月日を重ね年を重ね…思いを支配するなんて事は最初から無理な事だったのだろうか。思い描いてきた未来に、自分の世界に、その目的に、彼は必要なのだろうか。

「ちょっと…違うかな」

 今の自分が正一という人間をそばに置きたいと思ってしまったのだ。だから、全てを支配したかった。自分の元に膝まづかせ、離れて行かない様に繋いで置きたかった。白蘭は嘲笑する。センチメンタルな気分になる自分が可笑しい。いくつの時空を支配しようとも、彼の思考を支配する事は無理なのだ。それが人間という生き物。崇拝されても、傅かれても、相手が正一でなければ意味がない。

 知らない間に、全てのパラレルワールドを支配する自分と言う欲にもう一つの欲が加わった。支配するのは“世界”だけではない。この素晴らしい能力をくれた正一も支配したい。

「うん…そうだよねぇ。見栄より欲…でしょ。正チャン?」

 白蘭の手の中で手折られた花がポロリと床に落ちる。白蘭はその花を踏みつけた。靴底で感じる、花が潰れた感覚。だが、正一はこんな事で折れないし、汚す事も出来ない。それが嫌と言うほど分かるから、欲しいと思う。汚してしまいたい。罪ならいくつも重ねて来ている。時を超える…という侵してはいけない領域の中に足を踏み入れた時から。

 時の神クロノス…いや、それよりもサトゥルヌスと呼んだ方がいいのだろうか。自分の命を狙う子供たちを食い殺しその血を飲みほした神。未来を見る事が出来た神だからこそ愛しいはずの我が子に手をかける事を厭わなかった。彼の唯一のミスは末子の命を奪えなかった事だ。時を読む事ができた神が、妻がすり替えた石を我が子だと思って飲み込むだろうか。全てを見通して、尚…末子を見逃していたのだとしたら…?失脚することになると、玉座を追われると知っていたのだとしたら?神とは人間に近い思考の持ち主なのではないだろうか。完全なのが神なのではない。不完全だからこそ人に愛される神となる。

 執着は愛ではない。白蘭はクロノスに重ねて自分を見た。正一の命を奪う事は簡単にできたはずの自分が、彼を手の中から逃がしたのだから。その血肉を食らう事はいつでもできたのに。

 退屈しのぎだと思っていた事に意味が加わる。正一が手駒から消えてから退屈でしょうがない。彼が自分に与えてくれていた時間は、退屈しのぎより大きなものだったらしいのだ。

「楽しくないんだよね」

 正しい選択なんて最初から存在していない。結果論として白蘭が分かっただけの事なのだ。

「会いたいかも…」

 口にしてはっとする。そして、少しむっとした。いつの間にか自分の心の中にこんなに侵食して居る入江正一と言う存在に。ボンゴレとのチョイスにはミルフィオーレが勝つだろう。最初から分かっていて、足掻いている正一を見ているのが楽しいだけだ。真6弔花が負けるはずもない。

「正チャン、結果の見えてる勝負なんてつまんないんだよ」

 力が全てなのだ。だから、正一をまた自分の、自分だけの手駒に加えれば良いだけの事。

「あ〜あ、答え分かっちゃった…やっぱ、行こうかな」

 こんな時期にいきなり自分が目の前に現れたら、正一は驚くだろうか。敵愾心をもった瞳を向けてくるだろうか。できれば、冗談じゃないと笑ってほしいのだが。

「うん、ベストチョイス」

 白蘭は自分の中の退屈が消えた事に気が付く。

「ふふ…やっぱ正チャンは退屈させてくれない存在だな」

 暗澹する世界の霧が晴れた様にすっきりとした空間には、華やぐ花の香りだけが漂っていた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

そして、白蘭は正チャンの元へ…行くか?いや、彼なら行くでしょう!

ギャグっぽい白正も書きたくなるなぁ。

白蘭→?←正一なんだけど、成就されてないのが白正です()

アニメがチョイス編に入ったので、どうしても白正が書きたくなってしまいました。

もう、正チャンと白蘭の視線の応酬にはドキドキなのです。

何を考えてるの?白蘭っ!ってツッコミ入れたいくらいですよ。

ってか、ウチの白正はめちゃ相思相愛なんですけどね★