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ホタル
太陽の沈む時間が遅くなった。ついこの間までは、同じ時間でも暗かったはずなのに、今では薄っすらと明るい。慌てて夕食を終えたナルトは、約束の場所へ走って向かっていた。 少し早いけれど、昂る気持ちが抑えられなかったのだからいい。きっと、待ち合わせの場所で待ちぼうけを食らってしまう事は分かっていたけれど、家でじっとして居られなかったのだ。 「あ〜…やっぱ一番乗りだってばよ…」 電柱の上の街灯を見上げてにんまりと笑った。壁に凭れかかりながら、空を見上げると、昇ったばかりの月が見える。肌をくすぐる風はもう涼しくて、昼間の暑さが嘘のようだった。 「よう!早いじゃん…ナルト」 赤丸を連れて歩いてきたキバは軽く右手を上げてナルトに挨拶をした。 「俺が一番かと思ったぜ」 「へへへ…キバが二番乗りだってばね」 「赤丸の散歩のついでに来たからな」 はち切れんばかりに尻尾を振る赤丸の頭を撫ぜたナルトに、赤丸がきゃんと鳴く。キバがどかりと地面に座ると、赤丸はその膝の上に飛び乗った。 「シカマルとチョウジの事だから、きっと時間きっかりにやってくんだろうな?」 「あんま時間とか気にしねえタイプだもんな。あの二人は…」 二人で顔を見合わせてニシシと笑う。アカデミーでも同じクラス、大した話題はないのだけれど集まるとなんだかんだと話が出来る。今日の課題は難しかったとか、明日の授業はどうだとか…内容的にはくだらないのだけれど、それはそれで楽しい時間なのだ。 「今日の宿題だけどさ、やっぱシカマルに聞くのが手っとり早いよな?」 「あ〜…オレってば、全然理解不能だったってばよ?」 「だ〜か〜らっ!シカマルに聞くんだろうが」 「でもさでもさ、シカマルの事だから…また、めんどくせーとか言って教えてくれなさそうだってばよ?」 「あんなぁ…今日のプリントは提出しなきゃヤバイんだぜ?また居残りとか、ぜってーにやだし…シカマルだってそっちのが面倒臭いからやんじゃねえの?」 「そっかなぁ?」 ナルトがう〜んと唸っていると、足音が聞こえる。赤丸がきゃんきゃんと鳴くと、ナルトとキバはその方向に顔を向けた。 「チョウジ〜!シカマル〜!」 ぶんぶんと手を振ったナルトは飛び跳ねる勢いで、のんびりと歩くチョウジとシカマルに自分をアピールする。 「あ…早いねぇ。二人とも!」 チョウジの手にはお決まりのスナック菓子がある。それを見たナルトとキバがくすりと笑った。 「おいおい、チョウジ…お前メシ食ってきたんだろ?」 「そんなに食ったらデ…」 禁句を言おうとしたナルトの口をシカマルの手が押さえる。チョウジの目がキラリンと光った。 「なに?ナルト……」 「いや、チョウジにはポテチはデザートだって言おうとしたんだよな。な?ナルト…」 もごもごとしたナルトは力強く頷いた。シカマルの手をどけてはぁはぁと息をついたナルトはニカっと笑う。 「そ、そうそう。デザートだってばよ!」 シカマルに肩を抱かれて、耳元で囁かれた。 「めんどくせー事言うんじゃねえよ、ナルト!」 ナルトは両手をぱちんと合わせると、「ごめん」と口パクで謝る。それを見ていたキバは腹を抱えて笑いだした。悪気はないのだが、つい口を滑らしてしまうナルトはいつもこうやって危険を回避するのだ。シカマルのタイミングはばっちりだし、毎度繰り返されるやり取りは同じ事なのだが、それがおもしろくてしょうがない。 「成長しねえな…ナルト」 「キバ、それをナルトに求めるより俺の瞬発力に感謝しろっての」 シカマルがにやりと笑うと、キバが渇いた笑みを見せる。 「はいはい…それよか、ようやく全員揃った訳だし行くか?」 「行くってばよ!」 「おい〜そのめんどくせーテンションどうにかなんねえのかよ?」 誰が言い出したのかは忘れてしまった。 もうホタルが飛んでいた、という情報を耳にした四人は「ホタル狩りに行くか!」と意気投合したのだ。別にホタルが見たくてしょうがなかった訳ではなく、ただ夜に外出する…という事が面白そうだったから簡単に決まってしまっただけの事。 四人は下らない事を話しながら、森の仲の湖に向かったのだった。
「あ!やっぱ…きれいだってばよ〜」 ナルトは子供の頃と変わらない笑顔をシカマルに向ける。 「だろ?今年は結構、暖かいからな…もう飛んでる頃だと思ったんだよ」 「シカマルってばすごいっ!」 ナルトは目前に広がる光景に目をきらきらさせる。この湖に最初に来たのはアカデミーの頃だった。その時も闇の中を飛び交うホタルに興奮してしまった事を思い出す。感動的な何かを求めていた訳ではないのに、ホタルの数に圧倒されたのであった。 「キバやチョウジも一緒に来れたら良かったのになぁ…」 ぽそりと呟くと、ナルトの頭をシカマルが撫ぜる。 「しゃーねえ、任務だからな」 「来年は一緒に来れたらいいな…」 その声は少しだけ寂しそうで。シカマルはナルトの肩を抱き寄せる。 暗闇の中に飛び交うホタルは、どれだけの数だろう。数えきれないくらいな仄かな光。煌めいて、水面を飛び交う光は幻想的なものを感じさせる。 子供の頃はただ、この美しさに感動しているだけだった。だが、この光は命の光だと感じる様になった今では、ただキレイなだけでは表現できない情緒がある。 ナルトの肩を抱いたままで座ったシカマルは、ぼうっとホタルを見つめるナルトをじっと見つめる。この光と一緒にどこかに消えてしまうのではないか…そんな儚さがその横顔にはあって。 「ナルト?」 呼ぶと、首を傾げてシカマルを捉える青い瞳。 「なんだってば?」 「なんでもねえ」 金色の髪にとまった儚い光を見つけてシカマルの口元に笑みが浮かぶ。音もなく閉じた睫毛に唇を寄せる。温かい唇を待っていたナルトは口元に笑みを浮かべる。シカマルの首を抱き寄せて、唇を唇に寄せる。熱く絡まる舌が二人の間から現実を奪った。いつの間にか必死になって唇を貪り合う。 「ん…」 鼻から抜ける甘い声にシカマルは酔った気分になる。不思議と目の前のナルトにだけ夢中になっていたシカマルは、ぐいっとナルトの身体を地面に押し付けた。 「シ…シカマ…!」 否定的な言葉を飲み込みたくて、シカマルはもう一度ナルトの唇を奪った。項から鎖骨へ移動した指先が、悪戯にナルトの上着のファスナーにかかった。唇を離すと至近距離で潤んだ青い瞳がシカマルを捉えた。 「キバやチョウジが居たら、こんな事できねえな?」 くすりと笑う気配。 「…ったり前だってばよ?」 そしてまた瞼の奥に隠れる青い瞳。シカマルは誘われている気分になりながら、赤くなった唇に舌を合わせた。 「シカマル……」 その声も雰囲気も甘くてすぐに彼に引きこまれた。赤い舌が唇の間から覗いて、自分を誘う。口内ではなく外気の中で絡め合う舌から、銀色の細い糸が二人を繋ぐ。シカマルの唇がナルトの首筋に埋まる。繰り返される口づけに、時々交る甘い痛み。ナルトはうっとりしながら目を開けた。暗い空には淡い光が飛び交っていた。 「ん…あっ、シカマル…だめだってば…」 言葉は否定しているのに、声は求めている。アンバランスなナルトの科白にシカマルは煽られていく自分を感じた。 「誘うなよ…我慢できねえじゃねえか」 「だめ…我慢してくれってばよ」 少し懇願の色を含んだナルトの声に、シカマルはしょうがないと溜息をつく。それでも、熱くなった掌はナルトの脇腹から肌を直接撫ぜる。 「今日だけはってのは、お前の選択肢にはねえの?」 「ないってばっ!」 慌てたようにシカマルの身体を押し返す弱々しい腕をとり、手首に唇を合わせる。 「ぜってー後悔すっから…」 「させねぇよ」 ナルトはむうっと膨れた。 「シカマルに後悔しなくても、オレが後悔すんのっ!」 「しゃーねえな…帰るか」 最後にはそうなると分かっていても、シカマルはわざと残念そうに呟いた。 「え?まだ来たばっかだってばよ?」 「お前が俺を煽るんだろうが…」 「それって、オレが悪りぃみたい」 「外は嫌なんだろ?」 ナルトは真っ赤に頬を染めて、こくりと頷く。くすりと笑って、ちゅっとその頬にキスをした。 「我慢できねえ俺が悪いんだろ?ま、そーゆう事にしとけや」 シカマルの首に抱きついて、耳元に口を寄せる。ナルトが囁いた言葉に、ふっとシカマルが笑う。 「後悔すんなよ?」 「シカマルには後悔しねえもん」 ナルトはシカマルの耳の付け根をきつく吸う。 「だから…いっぱいしようってば……?」
暗闇にホタルの光と一緒に消えた甘い誘惑にシカマルは目を閉じると熱い身体を抱き寄せた。
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うちのシカマルとナルトは……
二人でいると、いつもサカってるな、なんて(^.^)
ゴメンナサイ。
結局は、バカップルつうか…いや、バカですよね〜。
ラブラブなんですよ。
友達が、ホタルがいたよってメールくれたから。
シカとナルの二人でホタル見に行ったら、結果こうなりました!!