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Betterhalf R-mode

 

 

「プレゼントはナルトっちゅうベタな展開でも俺はオッケーだぜ?」

 

 シカマルの言葉が頭の中に、ふと繰り返された。家に何の買い置きもないので、本当にお茶で帰宅とシカマルの誕生日祝いのようなものを済ましてしまった。

 ナルトは今シャワーを浴びている。もちろん、シカマルといたそうとして身体を清めている訳ではない。任務で埃にまみれた身体をさっぱりさせているだけだ。シカマルは報告書があるからと、先にすすめられてしまいバスルームへの扉を開いたのはいいが、頭の中に浮かんでくるのはシカマルの言葉ばかりなのである。

「…う〜………、アレって本気なのかな」

 自問自答しながら、シャワーコックから出てくる湯に打たれる。頭から垂れる雫が頬から顎に伝い、床のタイルにある排水溝に吸い込まれていくのをじいっと見つめてしまった。

「なんか、オレってばめちゃ期待してるみたいじゃんっ!」

 呟いて頬が熱くなるのを感じてしまった。慌ててシャンプーのポンプをがしがし押してしまった。手の平に溢れた液体を髪の毛の上で泡立てる。

 恥ずかしくて恥ずかしくてしょうがない。とりあえず今の気持ちはシャンプーの泡となって、排水溝に吸い込まれてしまえばいいのだ。風呂を済ませる頃にはシカマルの報告書も終わっているだろう。そうしたら、外にでも出て食事をすませ帰りにケーキを買ってきて、遅れた事はこの際どこかに置いておいて、改めてシカマルの誕生日を祝おう。そう決めたナルトは、ぎゅっと目を瞑ってシャワーで顔を洗った。

 

 

「お先〜… ――――― ?」

 バスタオルでごしごし髪を拭きながら部屋に入ると、シカマルの姿が見えない。もし、報告書の提出に出かけたとしても、彼ならば自分になにか一言残していくはずだ。首を傾げながら冷蔵庫を開けて、牛乳パックを取り出す。口の開いていないそれの賞味期限をチェックしてから封を切った。

 いつもグラスに移して飲むなんて事はしない。パックに直接口をつけてごくごくだ。普段通りに風呂上がりの牛乳を美味しく頂いた所で、かちゃりと扉の開く音が耳に届く。

「シカマル?」

「どーした?」

 振り向くといつも通りの彼が居る。

「シカマルの姿見えなかったからさ。報告書でも出しに行ったのかなって思ったんだってば」

「行くにしても、一言いってくぜ?」

 もちろんそう思っていたなどとは言わない。ナルトは、にこにこしながらシカマルに擦り寄った。鼻についたのは、もうシカマルの一部になっている香り。

「あ、タバコ?」

「ん…?そんなに臭うか?」

「オレは好きな匂いだってばよ。シカマルの匂いだってば」

「煙草が俺の匂いだって言われんのも微妙だな」

 シカマルは苦笑した。ナルトは否定する意味で首を振る。

「違うって。ンな意味じゃねえの!タバコの匂いがシカマルの匂いなら、ただの親父になるってばよ。シカマルはシカマルの匂いっつうか〜…なんて言えばいいんだか分かんねえけど」

 必死になって考え始めたナルトの様子を見たシカマルはくすりと笑った。

「別に、お前が嫌じゃなきゃいいけどな」

「だから!いいってば…オレは部屋ん中で吸えばいいって言ってんじゃん」

「それは、ぜってーにやなんだよ」

 シカマルはナルトを抱き寄せる。そして、濡れた髪に顔を埋めた。ふわりと鼻孔をくすぐる彼の匂い。石鹸とシャンプーと……とにかく、そういった香りがナルトの甘い体臭と交る。シカマルにはそう感じるのだ。

「俺の好きな匂いなんだよ。お前の…」

「よく分かんねえ…」

「同じ事言ってんじゃねえのか?」

「ん〜〜〜…かもしれねえってばよ」

 お互いに譲れない部分もあり、大切にしているものもある。くすりと笑い合った二人が、当たり前のように唇を寄せる。シカマルは思う。甘いのはこの唇も一緒だと。自分を捕えて離さない。離れる事が出来ない。

「なぁ…ナルト」

「なんだってば」

「さっきの、有効?」

 ナルトはシカマルの腕の中で首を傾げる。たまに、シカマルの言葉は難しい。難しすぎて理解の範疇を超えてしまうのだ。いつもはかみ砕いて話してくれるくせに、たまにこうやって難しいままの言葉をぶつけられる。

「さっきのって…?」

 丸い青い瞳が真っ直ぐにシカマルは向けられる。シカマルはにやりと笑った。

「ンなとこも、可愛いんだけどな……」

「ボケてねえって!マジで分かんなく……て」

 最後まで言おうとしたナルトの声が途切れる。シカマルは見ていて面白いくらいの百面相を繰り広げるナルトを見て、やっぱり笑ってしまう。

「笑うとこじゃねえってばよっ!」

 ぷうっと膨れた頬にシカマルは唇を寄せた。

「なんだよ、意味…分かったんじゃねえの?」

「ゆ、ゆ、ゆ有効って、その、あのさ…ンなのダメだってばよ」

 抱きしめようとしたシカマルの身体を押し返す。シカマルは不思議顔のまま強引にナルトを抱きしめた。今度は押し返される事はなかった。すっぽりと腕の中におさまったナルトは、ぶつぶつと独り言を呟いているだけだ。

「聞こえねー」

 シカマルの腕の中で身じろいだナルトが顔を上げる。そして、ぎろりと睨みつけられた。その姿は威嚇しているとは思えない。寧ろ、シカマルの中の加虐心を煽るだけだ。

「その…シカマルとエッチすんのはいいけど、それがプレゼントなんてやなんだって!ちゃんと、プレゼントはプレゼントがいいってか……」

「俺がいいって言ってんだから、いいんじゃねえの?」

「違うって!」

「俺から言わせれば、目の前にどんな高けぇ酒があろうと御馳走並べられて、ケーキにろうそく立ってようとお前が居なけりゃ意味ないんだぜ? 俺はお前がいい」

「だから、するのはいいけど……それがプレゼントなんて、イヤなんだってばよ…!その…それがやだとか言ってねえもん」

 真剣な瞳を向けてくるナルトの頭を一撫ぜする。

「やりてえだけだなんて言ってねえよ。ま、ナルトだから全部欲しいからやりてえけど、俺が言ってんのはもっと自己中な事だぜ? お前が、ナルトそのものが欲しいんだからよ。意味、分かるか?」

 ナルトは真っ赤になりながら、シカマルの胸に顔を押し付ける。そして、くすくす笑った。

「ナルト…?」

「分かってねえの、シカマルじゃん。オレは……シカマルのもんだってば。ハナからシカマルのモノなのに、これ以上やる事できねえってばよ?」

 シカマルはナルトに一手取られた気分で居た。ナルトから好きだと言われるのは、嬉しい。求められる事で自分の価値を見いだせる事ができるような気がする。抱き合う事で奪えるとは思えない、彼と言う存在。

「それでも、ナルトがいい……」

 シカマルはナルトの顔を上げると、唇を探すように瞼にキスを落とす。それから、頬に、鼻先に。

「シカマ…ル」

 乾いた声が自分を呼んだ。だから、本能に従って甘い吐息を探す。

「ん…」

 すぐに舌を絡め合う。熱くて触れ合う部分から溶けてしまいそうな感覚。二人の熱が溶け合い、静かな空間にぴちゃりという水音だけが響く。

「あ…んっ…」

「ナル…」

 ナルトは名前を呼ばれて、シカマルの頭を掻き抱くように抱き寄せた。彼が欲しい。シカマルが自分の事を欲しいと思ってくれるように、自分だって彼の事が欲しい。

 現実的に難しい事でも、今、この瞬間に全てに溺れたい。シカマルという存在に溺れたい。

「シカ……」

 崩れる様なナルトの身体を抱いて、シカマルがゆっくりと膝をつく。瞼の奥に隠れた青い瞳が、自分だけを見つめる。

「ナルト…好きだ」

「うん…オレ、も…シカマルが…」

 何が合図なのか分からない。最初からないのかもしれないし、もしかしたら心のどこかで深く繋がっている部分があるのかもしれない。だから、貪る様にナルトの唇を求めた。息をするのも惜しむように、舌を絡めて歯列を割り、飲み込めない感情が溢れるかのように。

 掌がナルトのTシャツをまくりあげる。唇は離さないまま、ナルトの胸の突起を愛撫する。びくりと震えたナルトの身体が快感に震えている事がわかる。一時も離れて居たくない。その気持ちがいつも以上に強く感じる。

「ンン…っ!!」

 舌が首筋を辿ると、口付けで赤くなった唇から甘い声が漏れた。シカマルは二つの手で両方の胸の飾りに快感を与える。それにナルトが弱いのを知っていての事だ。

「あ…あっ…シ…カマルっ…」

 舌っ足らずな声で名前を呼ばれて、下半身が熱くなるのを感じた。熱が一点に集まる。ごくりと生唾を飲み込む音が生々しく聞こえる。

「ナルトん中に…入りてえよ」

 シカマルの声に、ナルトの腕が首にかかる。

「いい…って、ば…シカ……」

「いい訳ねえよ」

 性急に進められる事ではないし、そんな風にナルトを扱いたくもない。

「ちが……シカマルが、欲し、いの…オレも同じ…んっ、はあ…っ」

 シカマルの手を引きはがしたナルトは、自分の中心で熱くなっている欲望の塊に彼を導く。

「ほら…」

 ナルトが浮かべた笑みは、淫猥な雰囲気をまとう。幼く見える風貌に重なるアンバランスな艶色。

「煽んなよ…」

「ふっ…あんっ…」

 布越しに性器を刺激されて、堪らなくなる。喉が引きつる様な声が止まらない。自分が欲しいものを分かっているくせに、わざとそれを逸らされている気分に陥る。

「シカ…意地悪」

 生理的な涙が目尻から落ちた。

「ば〜か…慣らさねえと、無理だっつうの」

「なら…してくれってば……」

 おねだり上手なナルトの声に、シカマルがにんまりと笑う。するりと下衣に手を忍び込ませる。柔らかい尻の割れ目に指を進めた。ナルトの陰茎から零れる先走りが、その谷間を濡らしていた。

「ンな物欲しそうな顔すんなって…」

 ハーフパンツを膝まで下ろしたシカマルは、ぐいっと下半身を露わにさせる。引き付く硬い蕾にナルトの指を誘った。

「ナル…?」

「……あ、……え?」

 ナルトの指に透明な体液を絡ませた。一本をぐいっと、後腔の中に侵入させる。ナルトは驚いたように、シカマルを見上げた。その視線がナルトに何を求めているのか、疎いナルトにも分かってしまう。

「はあ…っ、ン…」

 ナルトは自分の意志で、シカマルに導かれたはずの指を動かした。シカマルを迎え入れる為に、いつも彼がしてくれるように快感を追いかけながら、肉襞を掻きわけながら指を動かす。

「お前のイイトコ…分かるか?もっと、奥……ちょい上の方。そこ、ひっかくようにして弄ってみな?」

「ん、…はぁ…っああ、……っ」

「指、もう一本増やせるか?」

 ナルトはこくこく頷く。一瞬躊躇しながらも、シカマルの言葉通りに指を増やす。

「奥のいいとこ擦りながら……ほら、引きぬいてまた突き入れて、それから…解す様に…な?」

「あ…あんっ…ああっ……っ!」

 自分で自分の後腔を慰める様な手淫を、じっとシカマルに見られている。それだけでも、身体がどうにかなってしまいそうなくらいに熱くなる。

「や…あ、ンっ……シカが、いいっ……」

 シカマルの舌が、赤くなった乳首を口に含みながら突起を転がす。

「い…っ!…やっ、シカっ…だめ、やぁ…アアア…っ」

 シカマルは満足そうに口元に笑みを乗せながら、ナルトが己で慰めている個所に自分の指を増やす。

「あ…んっ!」

 抽出を繰り返すナルトの指の合間をぬい、シカマルの指先は的確にナルトの悦い場所を指先で擦り上げた。

「も…やっ…ンンっ……ア、ああ…っン…」

「ナルトが自分でシテるとこも、十分そそられるぜ?」

「はあ…ンっ」

 ぽろぽろと零れ出す涙が頬を濡らしている。壮絶なほど色っぽい表情にシカマルはクッと唇を噛んだ。

「シカぁ…」

懇願するようなナルトの声が、何を求めているのか分かる。ナルトの指を後腔から引きぬくと、息も整っていない彼の身体を抱き起した。そして、身体をくるりと回転させると、座ったままの自分の膝の上に座らせた。シカマルは熱くなった欲望の塊をナルトの中に侵入させながら、力の抜けた身体を後ろから抱きしめた。

「シカマ…」

 自重で深くシカマルを飲み込んだナルトは苦しそうな声で、愛しい者の名を呼ぶ。右足をハーフパンツから抜くと、ナルトの足を広げてその身体の自由を完全に奪った。

「ひゃ…ぁ…っ、アアア…っ」

 膝の後ろを抱えるようにして掴んだシカマルは、そのままナルトの身体を宙に浮かせる。ずるりと後腔から抜けそうになるぎりぎりで、また落とす。

「あ…あああっ…あ。や…シカ!シカ…っ……ンン、…っあ」

 弓型に仰け反る背中が、かくかくと震えている。その震えは足の先まで伝わるほどで、ナルトが快感の波の中に居る事を示している。

「シカ…!やだ…やあ…んんっ…」

 自分の中で暴れる熱い塊が悦い場所を的確に狙って、擦り上げ突いて来る。耐えられない悦楽の中で、ナルトはシカマルの体温を背中でしか感じられない事に、僅かな不満を感じる。

 彼が自分だけを見つめる瞳を見たい。彼が自分を抱きしめてくれるように、抱きしめ返したい。

「シカ…」

「ナルト…?」

 ズンと奥までシカマルを飲み込みながら、ナルトは呼吸を整えようと肩と胸で大きく息をする。

「シカマルの顔、見えねえって…やだ」

 すんと鼻をすする音が聞こえて、シカマルはふっと笑う。ゆっくりとナルトの後腔から陰茎を抜くと、ナルトの身体を仰向きにして寝かせた。

「これで、満足か?」

「うん…」

 こくりと頷いてシカマルの首に手を回したナルトは、耳元で囁く。

「挿れて…?」

「くそ…っ、お前にはやられっぱなしだっつうの!」

 柔らかい肉襞は、シカマルを包み込むように、それでいて奥の方まで熱棒を誘うように絡みついて来る。

「う…ンンっん…は…ああ、んっ…」

 わざとゆっくりと挿入させる事で、ナルトの中に刻みこむ溶け合う感触。求めあうように激しく舌を絡ませながら腰を進める。ナルトは、シカマルの舌と指と、その熱い欲望の塊によって昇りつめていた。

 がくがくと揺すられて浮遊する身体が、快楽という現実に引き戻す。摩擦によって生まれる悦楽と、それ以上の安堵感。誰にも埋める事の叶わない自分中にぽっかり空いている穴。シカマルという存在がぴったりと当てはまる。汗ばむ身体に脱ぐ事を忘れていたTシャツが張り付く。ナルトの指はシカマルの髪に埋まる。

「シカ…好き…シカマル…!」

「ナルト」

「あ…はっんっ…あ、あ、あ……っ。ンン、あんっ…」

 何度抱き合っても、何度精を放っても、貪欲に求めあう。揺れているのは視界ではなく、自分自身。

「シカ、シカっ!」

 名前を呼ばれる度に、ナルトの中にいるもう一人の自分が硬度を増す。

 止められないし、止まらない。そして、止まりたくない。

「ナルト…全部、くれよ」

 シカマルの言葉が聞こえているのかナルトは、腕と足をシカマルに絡み付けた。

「ンン…あんっ、シカ…ああっ、あ、あ、あ…っ、ンっ」

 かくりとしたナルトの肉襞がシカマルに絡みついて締め付ける。

「ナル…」

「や…シカ…ああっ…あんっ、アア…っ!」

 揺れた視界の中でナルトに見えたのは、シカマルの優しい笑顔だった。

 

 

 

 すうすうと寝息をたてる愛しい人。

「せっかく風呂上がりだってのに、ドロドロじゃねえか…」

 そうさせたのが自分である事に、ある種の優越感を感じている。Tシャツ一枚で布団に包まるナルトは心地良さそうな寝顔をシカマルに見せていた。

 一応は身体を清め、そのまま疲れているだろうナルトを起こさないようにベッドに寝かした。穏やかなナルトの寝顔を見られる事でシカマルも満たされる。

「俺の誕生日なんて、クソくらえだろうが…変な事に拘りやがって……」

 濡れていた髪は乾いている。柔らかい金糸に指を絡めたシカマルはベストを着用して報告書を手にした。

「しゃーねえ…ケーキ買ってくっか」

 目を覚ましたナルトが喜ぶ顔が目に浮かぶ。動くのも辛いだろう状況に追い込んでしまったのは自分なのだから。ケーキの一つや二つお安い御用だ。

 柔らかい頬にキスを落としたシカマルは、上機嫌でナルトのアパートを後にしたのだった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

前回に引き続き〜…で、シカマルがナルトをおいしく頂きました。

いや、けっこうナルトも楽しんで…(という問題ではない?)

 

おかしいっす。

なんで、赤文字指定はこんなに長くなるんでしょうか?

いや、でも少しでも楽しんでいただけました?

シカマル気分で、ナルトをおいしく頂きましょう(*^_^*