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 ふと、目を開けると窓から零れてくる月明かりが部屋を照らしていた。

 ナルトは掛け布団をずりあげる。いつもなら、そう…彼が居る時はこんな事は心配しなくてもいい。

布団を蹴飛ばしてしまっても、掛けてくれるし。何より、その温かい腕が自分を包んでいる。

 だから、なんの心配もないのだ。

 夜中に、ふと目覚める事もない。こんな風に寂しさを感じる事もない。

 

「シカマル……」

 

 彼が任務から帰ってくるのは、早くても明後日くらいになるだろう。

 

 独り寝なんて慣れたはずだったのに。

 彼の温もりに抱かれる事に慣れた身体が寒さを訴える。呟いて寒さが一層に増した。感情に煽られる様に、その寒さが寂しさだと実感したのだ。

 

 自分の帰る場所は決まっていて、そんな現実に口元がほころぶから。好きだと愛しいと思う事で、心の中の穴を埋める。

 楽しい事を考えよう。

 彼が帰ってきたら一番に抱きしめよう。そして、好きだと告げよう。唇を合わせて、抱き合って。

 それだけじゃ足りないかもしれない。少し我儘を言って、彼を困らせてみようか。困った時に口元に浮かべる笑みが好きだ。しょうがない…と思って言うる表情が好きだ。自分の事だけを考えてくれる瞬間が好きだ。

 

 目を閉じて闇の中にさらわれながら、心の周波数を合わせる。

 彼に通じるこの思いを、心の中に浮かべる。届くかも、……届けばいいのに。

 電波にでも風にでもなんでも乗って、この気持ちが届けばいいのに。

 

 

■■■

 

 

 暗闇に紛れる紫煙。その行方は目で追ってもどこかに消える。

「明日には木の葉に帰れそうっすね」

 焚火のまわりに座っている部下たちが、嬉しそうに話しかけてきた。

「そうだな…」

「シカマル隊長の作戦のお陰っすよ!」

「ンな事ねえよ」

 たまたま、事が上手く運んだだけ。ラッキーが重なったのだ。だから、自分はやるべき事をやり、やるべき指示を与え、任務を遂行しただけ。

「寝ようぜ」

 シカマルが声をかけると、一人が火を消した。そうすると、この暗闇には月明かりだけが光源となる。

 

 シン…とした空間。

 雑音がなくなった世界で、シカマルはまた煙草の先に火を灯した。

 どうしてだろうか。眠れそうにない。

 金色に輝く月に重なるのは、愛しい恋人の影。いや、違うのかもしれない。彼の髪の色は太陽と同じ色、瞳は青い空の色。こんな夜の色ではない。

 離れたのはほんの二日ほど前だと言うのに、心の中で彼を求めている自分が居る。思わず白いフィルターを銜えた口元が緩む。

 

 おかえり、と言いながらすり寄ってくる身体。鼻につく香りは石鹸の匂いでそれに慣れてしまっていた。すぐに柔らかい唇を探して、優しく重ねよう。そして、それだけで足りなくなってすぐに熱い舌を絡める。

 青い瞳が電気の光に反射して見上げてくる瞬間がいい。潤んだ瞳の色が深くなるのがいい。

 どうしようもなく誘われて、掻き抱いて……それからどうしよう?

 

 決まっているではないか。決まってしまっている。愚問を繰り返す心が、恋人を求める。

 はにかむように笑う顔も、誘う様に見上げてくる瞳も、視線も。全てを飲み込んで……この気持ちが伝わればいい。

 

 全ての感情が、彼に向う瞬間。

 心のヘルツはいつも、彼に合わせられる。

 

 時間も闇夜も回って、巡って、彼に行きつく。この思いを届けるのに必要な物なんて一つしかないのだ。

 灰がぽたりと地面に落ちた。

 吸っても居ない銜えただけの煙草の先から上がる紫煙が、闇の中に紛れる。

 

 月夜の夜。

 静かなこの時間だけが、彼の事を思う事を許された時間。

そして、腕の中にない温もりに寂しさを感じてしまう瞬間。

 

「なぁ…ナルト」

 

 何してる?

 寝てるか? 涎垂らしながら、布団蹴飛ばして……

 何を考えている? どんな、夢を見ている?

 

「今夜は寒みぃな…」

 

 温もりがない分、寒くてそれが寂しさだと感じる。シカマルは焦げたフィルタを地面に擦りつけて、ごろりと横になった。

 明日には、この腕の中に彼を抱く夢を見る為に。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

雰囲気的に、SS風なシカナル。

離れててもお互いの事を思ってる二人。

よくよく考えると、RUIはこのパターンが好きだ。

ナルトは自分の思っていたよりも早く帰ってくるシカマルに驚いて喜ぶ…みたいな()

 

えっと、これはいつもRUIを応援してくれてる大好きなさとみちゃんへ。

Happy Birthday!!彼女は私の書くシカナルを気に入ってくれてるので(*^_^*