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Flavor
ジッポを取り出して、火をつける。暗闇に紫煙が立ち昇った。大きく吸い込んで吐き出す煙が、突然に吹いた風に流れる。 シカマルは慣れた様に、灰を携帯灰皿に落とした。ナルトは部屋で吸えばいいと言うけれど、喫煙者でない彼の前で煙草を吸うのはさけている。いつかその言葉に甘えて煙草を吸ったとき、ナルトが咽て咳をしたのも気になった。煙たいのが苦手なら、部屋で吸えばいいなんて事言わなければいいのに。それとも、言わせてしまったのは自分かと思うと、ナルトと一緒に居るときはなるべくそれに手を出さなくなった。 ぼうっとしいると、フィルターの焼ける臭いが鼻を付く。それを灰皿に押し付けて火を消したシカマルは、新しい煙草を取り出して銜える。 いきなり扉が急に開いたと思ったら、ナルトが顔をぴょこんと出した。 「シカマル?」 シカマルが銜えているものを見たナルトは「あ…」と声を漏らす。 「どうした?ナルト」 「…ん、なかなか入って来ねぇからどうしたんかなって…」 「悪りぃ」 シカマルは銜えていた煙草をパッケージの中にしまった。それを見たナルトは少し困ったような顔をする。 「ごめん。邪魔したよな…ゆっくり吸えばいいってばよ」 「いんや。もう一本吸ったからいいわ」 金色の頭をひと撫ぜすると、ナルトははにかんだ様な笑みを見せた。ナルトの背中を押すように部屋の中に入ると、後ろから身体を抱き締める。項に唇を寄せるとくすぐったそうに身をよじる。金の髪が鼻先を掠めて、ふんわりと石鹸のいい香りがした。 「シカマル、やっぱ部屋の中で吸えばいいってばよ」 「吸わねぇ…」 「なんで?」 「臭い…移るのやなんだよ」 「別に構わねぇのに…」 「俺が構う」 くるりとナルトの身体を回転させると、じっと顔を覗きこんだ。見つめられて恥ずかしそうにしたナルトがふっと瞼を閉じる。当たり前のように唇を寄せて、抱き寄せた。 柔らかい舌を味わうように絡めて、歯列を割った。 「ふ…ん…っ」 シカマルはやばいなぁと思う。これ以上口付けを深くしたら、その先へ進んでしまいそうだ。自分はいいが、それはナルトの身体に負担をかける事になる。明日は朝から任務が入っているはずだ。そんな事を思いながら唇を解放すると、肩口にナルトは額を預けてくる。ぎゅっと首に巻き着いてきた腕を愛しいと感じながら、そっと身体を離した。すると、不思議そうな顔でナルトがシカマルを見上げる。 「…続き、しねぇのかってばよ?」 「なんだよ…してえのか?」 シカマルがくすりと笑うと、ナルトの頬が赤くなる。それからギロリと睨み付けてきた。 「シカマルの事好きなんだから……したいに決まってるってばよ!シカマルは…」 視線でその先の言葉が語られる。
『オレとしたくないの?』
シカマルはサンダルを脱ぐと、部屋の中に上がった。その後を裸足のままのナルトが着いてくる。フローリングにぺたぺたと響く足音。 「お前、明日朝イチで任務入ってんだろうが」 振り向くと、ナルトの肩が項垂れている。じっとりと見上げられてシカマルはため息をついた。 「好きだぜ、ナルト」 「シカマル…」 一緒に過ごす時間が好き。 笑顔を見るのが好き。泣き顔も好き。怒った顔も好き。困った顔も、眠った時の無防備な表情も。 悶える顔も、甘い声も、好き。 存在が好き。 身体を合わせるのも唇を合わせるのも、舌が絡み合う感触も。 掌に感じる温もりも、指先に感じる熱い滴りも。 「好きに決まってんだろ。めんどくせーこと言うな」 ナルトが近づいてくる。シカマルはその身体をぐっと抱き寄せた。もう身体は大人に近づいているというのに、言う事は子供臭くてそのギャップが可愛い。 「別にシテもしなくても、そんなの変わんねぇだろ」 「変わるってばよ…」 「バーカ。変わんねぇよ…変わってたまるかよ」 「でも、シタイ」 「…煽んな、バカ。折角、俺が我慢してやってんだから」 「我慢なんてしなくていいってばよっ」 不安そうな顔で見つめられて、シカマルは喉が乾くのを感じた。 「だから煽んなって言ってんだろうが…襲うぞ」 シカマルの言葉を奪うように、ナルトの唇が重ねられる。 「じゃ、オレが襲うってばよ」 唇が触れたまま囁かれて、理性の糸が切れる音が聞こえたような気がした。何時の間に誘うのがこんなに上手くなったのか。シカマルはふっと笑うと、ペロリとナルトの唇を舐める。そのままお互いの舌を絡めて、長い口付けを交わした。角度を変えながら、何度も何度も、貪るように舌を絡める。深く深く隙間がないくらい唇を密接させた。 「オレ…煙草の味がするキスも……好きだってば…よ」 掠れた声が本能を刺激する。一番深い所にある欲望を、なんなく引き出す声にシカマルはそっと目を閉じた。
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煙草を吸うシカマルが書きたくて…
ただ、それだけです。
喫煙を推奨してる訳ではないです (^^ゞ
未成年の喫煙はダメですよ。もちろん!
親父に殴られます(体験談)