ペット

 

 

 

define

 

 

 別に理由はないけれど、顔を上げたらいつものように隣にシカマルがいた。

 別に理由はなくても、やっぱり嬉しい。

 

 疲れ果てて昨夜ベッドにもぐり込んだ記憶がある。先に眠っていたシカマルが、自分の気配を感じて身体を抱き寄せてくれた。その温もりとか、感触とか、匂いとか。何がと特定することの難しい彼の一部分がナルトの全てを包み込んでくれたのだ。

 ホッとして、額を彼の胸に押し当てて……吐息が交じり合うくらいの距離で眠りに落ちた。

 それはいつも存在するシチュエーチョン。

 そして、現在。

 シカマルはベッドヘッドに背中を預け、任務のものと思しき書類に目を通している。ナルトはぱちぱちと瞬きをしながら、じいっと彼を見上げた。

 目が覚めて好きな人の顔が一番見られるなんて、なんだか幸せ。そんな事を考えて、くすりと笑った。

 そんなナルトに気が付いたのか、視線だけをちろりと横にシフトしたシカマル。目線が合ってナルトは自然と笑みを深くした。

「…はよ」

「ああ」

 シカマルもにこりと笑ってくれる。近づく端正な顔に自然と瞳を閉じた。重なる唇は触れるだけですぐに離れていく。

「おはようさん」

 物足りないくらいの口づけにナルトは身体を起こすと、不足している部分を埋めるつもりで彼の唇に自分のそれを寄せた。

 好きなのは見てくれだけでなくて、彼の全てなのだけれど。ひとつひとつがシカマルを形成するものであることは確かだ。たまに意地悪で、だけど優しくて、時には情熱的な彼の唇。見とれているだけではもったいなくて、甘い唇を味わいたくなる。唇を甘噛みして舌を絡めて、熱を分け合う様な奪い合う様な時間を楽しんだ。彼の首に腕を絡めて、少しの温もりも逃がさないようにぴったりとくっつく。

 唇を離して、はあっと息をつくと目の前のシカマルがにやりと笑った。まだ近くにある彼の頬に唇で触れる。

「なんかおかしいの?」

「別に?」

「今、笑ったじゃん」

「おかしいとかの意味じゃねえし」

「……じゃ、どんな意味だってばよ?」

「さあな」

 ナルトの後頭部に回った手が、ぐいっと頭を引き寄せる。

「わわっ」

 慌てるナルトを気にもしないでシカマルの唇が触れる。

唇に、触れるだけのキス。きょとんとしたナルトは顔が上気していく感覚を覚えた。

「なに照れてんだよ、お前の方から積極的に……」

「も、言うなってばよ!!」

 シカマルが楽しそうに笑って、それを見ているナルトもなんとなく嬉しい気持ちになる。

「なんか、」

「ん?」

 シカマルの隣でぺたんと座ったままのナルトは、彼の頬が少しだけ赤い事に気が付く。

「シカマル、ほっぺた赤いってばよ」

 人差し指で頬を突くとシカマルが困ったように眉を顰めた。

「柄じゃねえけどよ」

「歯切れが悪いってば……言いにくいこと?」

「柄じゃねえって事だよ、言いにくいとかじゃねえけど」

「じゃあ、なんだってばよ。余計に気になる……」

 じっと見つめてくる大きな瞳にシカマルは心の中で両手を上げる。白旗はいつだって上げている。このナルトと付き合っているのだ。ナニゴトも受け入れることが大切で、いつでも時間も気持ちも無駄にはしない。駆け引きなんてしている暇はない。ダイレクトに彼に気持ちを伝えることが先決で、かつ有効な手だと言えるのだ。

「……なんか、幸せだなとか」

「笑った意味?」

「ああ、バカにしたとかじゃねえし可笑しかった訳でもない」

「そっか」

 ナルトも無意識に笑みを浮かべる。つい先刻自分が感じた感情。それと同じ事をシカマルも感じてくれたなんて嬉しい。

「オレも思ったんだって」

「ん?」

「目が覚めて、シカマルの顔が見えて、なんか幸せだなって」

 シカマルの目が大きくなる。ナルトの言葉が意外だったのか少し驚いている風に。

「めっちゃ幸せかもって……―――――― オレのがガラじゃねえてばよ」

 へへっと笑ったナルトが可愛くて、シカマルの大きな手が金糸をがしがしとかき回す。

「ぐちゃぐちゃになるっ…!」

「寝起きなんだから元からぐちゃぐちゃだっつーの」

 シカマルは手にあった資料を床に放り投げる。床に散らばる紙の束を黙視してからナルトは不思議そうな視線をシカマルに向けてくる。

 ニヤリ、と口角が上がるのが分かって、その瞬間にはシカマルの下に組み敷かれた。

「シカマル?」

「もっとぐちゃぐちゃになったら、関係なくね?」

 覗き込む影が近くまで迫って条件反射で瞼を閉じる。

「…んっ」

 絡まる舌や咥内の熱さは先程の比でもない。

「せっかく起きたのに……」

 再びベッドの中に引きずり込まれている。

吝かでないのが本音なのだけれど……

そっと上げた腕をシカマルの首に絡めて、彼の身体を引き寄せる。この気持ちをどう伝えたらいいのか分からないけれど、幸せの始まりは彼と共有する時間が最初だから。

「気に入らねえ?」

 優しい笑顔を向けられて、ナルトもくすりと笑う。

「ンな訳ねえってばよ」

 唇が重なるのも、肌の温もりを感じるのも、相手が彼だからというそんな簡単な定義が幸福感に結びつく。

 

 大好きな君の横顔。腕の中のぬくもり。

 幸せを感じる瞬間。

 

 

 

 

 

 

 

 

なんとなく、ありきたりな感じで書いてみた(笑)

いつもこんなくだらん理由でシカナルは生まれるのであった……

ただ、いちゃついてたりラブラブだったりするシチュエーチョンが

めっちゃ好きです(*´∇`*)