看護師 求人

 

 

 

act 5 

 

 

 どんな日でも太陽は昇って沈んで…という難しい話は置いておいても、毎日同じように朝はやってくるのである。

 ナルトは窓から差し込む光に目を擦りながら起き上がった。

「最低…眠れなかったってばよ」

 暗く思い気持ちは晴れる事はなく、寝てしまえば全て忘れられると思っていたのに眠れもしない。

「オレってば…呪われてるのかもしんねえ」

 顔を洗って歯を磨き身支度を整えた後、冷蔵庫の牛乳のパックに口を付けて飲む。いつもなら底なしの食欲も、睡眠不足の上ひどい寝起きでわいてくることもない。

 アパートの鍵を閉め、古びれたアパートの階段を下りる。ふと顔を上げると、そこにはサイとサクラが居た。

「あ、ようやく起きてきたみたいね」

「どうしたんだってばよ?サクラちゃんは大歓迎だけどサイまで」

「ナルト、おはよう。さり気にボクの存在否定するのやめてくれる?」

 ナルトは二人に交互に視線を向けた。

「集合場所ってオレんちの前じゃねえよな?」

「と、通りがかったのよ。だから、しょうがなくアンタの事待っててあげたって訳」

「え〜?だから、サクラちゃんはいいけどサイまで?」

「……まぁ、いいや。今日は仲良く集合場所まで行こうよ」

 爽やかな笑顔を向けられたナルトは胡乱な眼差しでサイを見た。

「だから、なんでサイも……」

「しっつこいわね〜!どうでもいいでしょ?行くの?行かないの?」

「サクラ…君に至ってはどうでもいい扱いってひどいんじゃないのかな」

 かみ合わない会話を続ける事に疲れてしまったナルトは肯定する意味で頷く。

「どうでもいいけど…行くってばよ。なんか、オレってば今日は早く任務終わらせて帰りてえ気分なんだってばよ」

 サイとサクラは顔を見合わせて笑みを作る。二人の間では作戦成功!といった所なのだ。今日の任務は一日で済んでしまうようなものである。だからこそ、ナルトを夜まで引きずりまわす作戦で居るのだ。

 呑気に目の前を歩くナルトの後ろで、サクラとサイは巧妙に目配せをしながらお互いの意志の確認をし合う。

 そして、他愛のない話を続けながら集合場所に向かった。そして約束の集合場所であるその橋の上には、もうすでにカカシの姿がある。

「サクラちゃん……!!」

 それを見たナルトが真剣な顔をして振り返った。

「な、なに?」

「おかしいってばよ。あのカカシ先生がオレらより先に集合場所に居るなんて考えられないってばよっ!」

 ビシっと指を差されたカカシは、ナルト達に気がついたのか軽く手など振っていた。

「…たまにはいいんじゃない?先生が遅れない日も数年に一回くらいあるでしょ」

「嵐の前兆だってばよっ。ぜってーにおかしいっ!」

「確かに…本当におかしいわね」

 力強く自分の意見を否定された事でサクラの眉間にも思わずシワが寄る。

「まぁまぁ二人とも…いいじゃないか。いつもカカシさんには待ちぼうけを食らって、時間外労働ばっかりなんだから。たまには定刻に任務につけるってのも…」

「あ〜だからサイはダメなんだってばよ。あのカカシ先生に限って、時間外労働とかそうゆうの全然関係ねえんだってば……これは、なにか良からぬ事の前兆でしかねえんだってっ!空気読めよ、空気!」

 サイはふうっと溜息をつくと、お決まりの作り笑顔を張りつける。

「もう、この際良いから。なんでも構わないから!ナルトもサクラも早く行こうよ…ね?」

 渋い顔つきのナルトとサクラは、本当に渋々といった調子で歩みを進めた。

「やあ〜オハヨ。諸君!今日も太陽が眩しいねぇ…」

 多分にへらにへらと笑っているはずのマスクの向こう側を想像するだけで、ナルトは辟易する。

「カカシ先生、多分午後は嵐になるってばよ」

「なんだ〜?ナルト、このピカピカのお天道様を見てみなさいよ。雲ひとつない晴天でしょうが!あはははは〜…」

 サクラはナルトの袖をちょいちょいと引っ張った。

「ナルト、なんかカカシ先生の様子がおかしくない?やっぱ、アンタの言う通りなんかありそうな…」

「はい、サクラ〜!先生の悪口言わないの〜!今日も元気にカカシ班出動だよぉ〜」

 渋い顔つきのナルトとサクラをよそに、サイは機嫌良さそうな笑みを浮かべる。

「はい、カカシさん」

「お〜!サイは素直で可愛いねえ。それに比べて、ナルトとサクラは……ま、とりあえず朝食ついでに茶屋にでも寄りますか」

「え?あの…カカシさん、任務は…?」

「まずは体力つけないとねぇ。茶屋のくせに、美味しい朝定食出す店見つけちゃったのよ、俺」

 笑顔のカカシの前で、三人は軽く固まる。それがカカシの第一目的だった事は必須である。むすりと不機嫌を露にしているナルトに、カカシはいつもの調子で話しかけるだけだ。

「それと、今日の任務でちょっと変更があって、その打ち合わせも兼ねてってことなんだけど?なんか不服ある?隊長は俺ね、俺」

「了解っす〜」

「はいはい、ぶうたれないの〜。事の成り行き上、奢ってやるから」

 くすりと笑って背を向けるカカシに、顔を見合わせた三人は溜息をつきながら後を就いて行ったのである。

 新装開店したような茶屋の暖簾を潜ったナルトは固まってしまう。先にテーブルについたカカシは「どうした〜?」とちょいちょいと手招きをした。

「あ…なんで、シカマルが居るんだってばよ?」

「それは食事がてら話すって言ってんでしょうが〜。ほら、三人とも席に着きなさいな」

 ナルトは迷いながら、迷いながらも自然を装いながらシカマルの隣に席を取った。

「お姉ちゃん、オススメ朝定食四人前ね〜」

 オーダーを通したカカシは、にこにこしながら固まっているナルトに視線を向けた。それを、忌々しい気持ちで見つめているのはサクラだ。昨日の今日で何故、シカマルがここにいるのか。彼の出した「すれ違い作戦」の条件は分かっているつもりだが、心の中は「人の気遣い無駄にすんじゃねえよ、コノヤロー」と言ったようなものである。鋭い視線を無視したシカマルは、上機嫌でナルトに話しかけている。

「シカマル!任務って、そのさ…」

「ああ、急だったからな。これといった打ち合わせも出来てねえし、カカシ先生に頼んだって訳だよ」

「シカマル、ホントに任務だったんだ…」

「ん?」

「な、なんでもないってばよ」

 ナルトは起きた時に感じた気分の悪さを忘れて、気分が急上昇だ。でれでれの顔付きのナルトを尻目に雑穀米の粥を口にしたサクラは、めらめらと心の中で炎を滾らせていた。

 それに反比例してナルトは機嫌良さそうに、煮物に手を付けている。仲睦まじく話をするシカマルとナルトを睨みつけながら、サクラは鼻息が荒くなるのを押さえられない程に憤慨していた。

「しゃーんなろー…!こうなったら、マジで裂いて裂いて裂きまくり作戦決行!」

「サクラ、そんなに怖い顔してたらナルトに怪しまれるって」

「サイ!これからは非情で行くわよ、非情!」

「そうだね…とりあえず、最後の逢瀬って事で許してあげたら?」

「空気読めよ、空気!しゃーんなろ〜っ!」

 ギロリとサクラの眼光に貫かれたサイは、力なく笑ってみる。

 カカシとシカマルの話は簡単だった。シカマルの担当する小隊を、カカシ班に同行させるだけのもの。もちろん、実戦経験の少ない下忍にカカシ班の任務の様子を観察させるようなものだ。

「シカマル、こうやってメシ食うの…めちゃ久し振りだってばよ」

「あ〜…昨日は悪かったな。俺も立てこんでてよ」

「それはいいんだってば…」

 本当はどうしようもないくらい落ち込んで居た気持ちは、たかがシカマルと一緒に食事をすると言う事で晴れている。美味しそうに食事を平らげて行くナルトの隣で、シカマルは苦笑した。少し安心したのだ。昨夜のナルトの笑い顔が気になってしょうがなく、カカシに無理やり頼み込んだ事はこの際どうでもいい。それよりも射抜く様なサクラの視線が気になる。

「まぁ…今日の任務の報告書とかあるから、今夜は顔出せそうにねえけどな」

「え…?」

 ナルトとしては、自分の中に生まれた甘い感覚に少しだけ亀裂が入った気分だ。

「そ…そうだよな。うん、それはオッケーだってば」

 寂しそうに笑みを浮かべたナルト心痛まない訳ではない。

「明日の夜は少し寄れそうだから、邪魔する予定」

「…うん」

 ナルトは自然と笑顔になる。いつも約束なんてない。それなのに、シカマルからそれが聞けた事だけでも嬉しい。

「シカマルも忙しいんだから、無理する事ないってばよ」

 そして、強がりが口をつく。

「無理なんてするつもりねえよ」

 ナルトに分かる程度で笑みを見せたシカマルは、食後のお茶を口にしている。全てが自分の考え過ぎだったのだ。シカマルとの間に距離を感じてしまっていた事も。

 どこか嬉しい気持ちになりながら、ナルトも食事を進めている。

 

 シカマルがサクラの不敵な笑みに気が付く事がないくらいに、シカマルとナルトは自分の世界に入り込みながら「最後の晩餐」(もとい朝食)を口にしているのだった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ちょっと小休止的なお話です〜。

この後に、お決まりのシカナルバカップルを入れて、最後の仕上げっすよ!

さすけさん登場!!イエイ。これにはやりたい事あるので、頑張ります!

結局は、シカとナルが一緒にいるとラブラブのアマアマなんですわ(^^

前回までの、切ない感はちょっとだけお休み!

でも、終わった訳ではないのです〜